バンコンでは珍しい本格的なギャレーもうれしいナッツRVラディッシュ
ナッツRVと言えば、キャブコンで名を馳せているビルダーだが、もちろんバンコンも造っている。「ファミモ」「トイエース」「ラディッシュ」といったラインナップがそれだが、今回スポットを当てるのは、ラディッシュだ。
従来のバンコンは、どちらかというと車中泊仕様というイメージが強かったが、中にはキャブコン顔向けのモデルも市場にはあった。OMCやリンエイ、レクビィなどがそういったモデルを得意としているが、ナッツRVも負けていないのである。
ラディッシュは個人的に好きなモデルなのだが、何がいいかというとその立体的な車内レイアウトだ。まずスライドドアから入ると、目の前にギャレーが備わっている。バンコンでは簡易的なものをインストールすることもあるが、ラディッシュのギャレーはキャブコンと変わらない。シンクに加えて、冷蔵庫も備えた本格派だ。その上、オーバーヘッドには電子レンジを入れることもできる。
キャンピングカーユーザーの中には「水回りや調理器具はほとんど使わない」という人も少なくないようだが、やはり雨天や降雪時などはあると便利だなと感じる。それに、これが車内にあると“キャンピングカーだな”という雰囲気になる。
セカンドシートは、FASP(ファスプ)製のバタフライタイプシートがインストールされている。前向き、後ろ向き、フルフラットのバリエーションが可能だ。ダイネットの時には、セカンドとサードシートが対面となって構成する。加えて、ギャレに付いたレールに折り畳みテーブルをかけることで、くつろぎ空間が生まれる。4人であればまずまず、2人であればゆったりくつろげるだろう。
さて、ラディッシュの特徴が車両、右側後部にある。この部分は通常はマットが敷かれたスペースで、荷物などを置いておくのに便利なのだが、実は跳ね上げ式の上段ベッドが装備されているのだ。兄弟車「ファミモ」との大きな違いは、この上段ベッドの有無だ。
上段ベッドなんていらない…と思う方がいるかもしれないが、この装備は意外と便利だ。例えば2人旅の場合、サードシートのみを倒してベッドにしておけば、そのままセカンドシートはダイネットとして使っても、寝る場所に困ることがない。つまり、寝食分離生活が可能になるのだ。
一緒にくっついて寝たいというラブラブカップルの場合は、居住部分すべてをフルフラットにしてベッドにし、上段ベッドは荷物置き場として活用するという使い方もある。跳ね上げて、寝具などの収納庫にするのも手だ。何より、二段ベッドという子供が喜びそうな装備は、家族の旅を大いに盛り上げてくれるはず。
ラディッシュの特徴はそれだけではない。見た目が美しく、それを長年持続させるPVC家具を装備。欧州製キャンパーに多いのだが、PVC家具が付いていると、車内のクオリティ感がまるで違って見える。カラーも4色から選べて、自分の好みにあった愛車に仕立てることができる。
また天井、壁、床に断熱加工を施しているのも、キャンパーの基本性能をアップしている。夏冬関係なく旅に出かけるキャンパーにとって、断熱性能は快適に直結する部分だからだ。断熱効果が高いということは、防音性にも繋がってくる。もちろん、暖冷房に使うランニングコストも下げることができる。
ちなみにラディッシュはレジアスエースベースだが、ハイエース・ロングワイド・ミドルルーフをベースにした「ラディッシュワゴン」、ハイエースバン・ロング・ハイルーフをベースにした「ラディッシュカーゴ」もラインナップされている。それぞれサイズなどが異なるので、自分に合ったものを選べる。
キャブコンはキャンパー垂涎の的だが、日常性や汎用性を考えると、バンコンはバランスがとれたカテゴリーだ。しかもハイエンドなモデルともなれば、キャブコン以上の楽しさを内包しているので、各社のモデルをじっくりとチェックして欲しい。