爆売れ中の新型エクストレイルの使い勝手チェック!シートや居住性は?3列目は?

4代目にスイッチした日産エクストレイルは、それまでの個性的な装備は姿を消しているものの、ミドルサイズSUVとして理想的なパッケージングに加えて、3列シートを踏襲した。ここでは、居住性を中心とした使い勝手をお届けしよう。

TEXT:塚田勝弘 PHOTO:平野 陽

2WDは2列5人乗りのみで、3列7人乗りは4WDに設定

4代目となった新型エクストレイルもミドルサイズSUVでありながら、2列シート仕様、3列シート仕様を設定した。サードシートは、非常用、短時間用の域を出ないものの、イザという時に最大7人までの乗車が可能だ。ただし、3列シート仕様は、4WDのみの設定となる。

居住性をチェックする前に、新型のボディサイズをおさらいすると、全長4660×全幅1840×全高1720mmで、先代は全長4690×全幅1820×全高1740mm。居住性を左右するホイールベースは、先代も新型も2705mmで同値。全幅は、20mmワイドになったものの、全長は30mm短くなり、全高は20mm低くなっている。代を重ねるごとにボディサイズが肥大化するモデルが多い中、「これくらいのサイズ感が日本の道路、駐車場事情では限界」という声が開発陣から聞こえてきた。新型は、日本市場を見据えたサイズであり、横幅1850mm制限のある立体駐車場にも対応する。なお、最小回転半径は、先代の5.6mから5.4mに小さくなっていて、全幅の拡大をカバーしている。

90度近く開くリヤドアにより、リヤの乗降性も上々

乗降性はSUVの中でも良好といえる印象だ。フロントドア、リヤドアともに大きく開く上に、185-200mmという最低地上高を確保しながら床面も高すぎない。また、SUVはリヤフェンダーアーチを誇張するため、リヤドア足元の開口幅が狭くなりがちだが、90度近く開く上に、サイドシルの形状を工夫することで足さばきが格段にしやすくなっている。リヤドアの足元には、大きめのステップも設けられている。さらに、リヤドア下部がサイドシルまで覆うことで、服に泥汚れが付きにくくなるなどの工夫も盛り込まれた。

サードシートへの乗り降りは、ある程度、体格や年代などを選びそうだ。後方になるほど床面が高くなり、ルーフラインも後方になるほど若干低くなることもあって、開口部は足元も頭上もタイト。身長171cmの筆者の場合、大きく身体を屈む必要があり、アクロバティックな姿勢になる。長身の方や足腰の弱ったお年寄り、あるいは小さな子どもには厳しいかもしれない。

そのサードシートは、床から座面までの高さが低く、シートサイズも小さめだ。筆者の場合で、天井に頭が触れるか触れないか、という程度のクリアランスしか残らない。それでも短時間用と割り切るのであれば、なんとか座れる空間が確保されている。

1列目シートは、シートサイズも大きく、頭上まわりにも余裕がある。クッションのボリューム感もあり、フォールド性はそれなりだが、座り心地は上々だ。

セカンドシートは先代よりも20mmスライド量が増したことで、足元空間の調整代が増えたのが朗報だ。2列目を前寄りにスライドさせておけば、後ろに座る子どものお世話もしやすくなるなど、使い勝手が向上している。エクストレイルであっても普段使いやレジャー程度、という使い方が増えている今、こうした心遣いは求められる要素といえるだろう。また、2列目は先代よりもヒップポイントを下げて、全高が20mm低くなった影響を抑制している。筆者には少しヒール段差が低く感じられたが、リクライニング(3列すべてが可能)によりある程度姿勢の自由度も確保されている。なお、セカンドシートは、4対2対4の分割式。非常用の域を出ないサードシートを格納するなどのシート操作の手間を考えると、2列シート仕様が使いやすいのは間違いない。緊急用でも「プラス2名」の乗車が可能な3列7人仕様を設定することで、ファミリー層にも訴求するミドルサイズSUVに仕上がっている。

新型日産エクストレイル モデル開発/新旧比較/テクノロジー/価格/試乗インプレ 全方位解説

新世代e-POWERを載せて登場した新型エクストレイル。ロングセラーだった前型のデビューが2013年12月だったということは、じつに8年半ぶりのフルモデルチェンジだったわけだ。8年半分の進化がしっかり詰まった新型エクストレイル。さまざまな観点から掘り下げてみた。

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著者プロフィール

塚田 勝弘 近影

塚田 勝弘

中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー…