現代デザインで復刻した電気自動車「ID.バズ」登場!IDの長所を盛り込んだカーゴモデルも同時発売【欧州市場】

フォルクスワーゲン「ID.バズ」、「ID.バズ カーゴ」は、欧州初のオール電化MPV&バンシリーズとして登場した記念すべきモデルだ。空間を最大限活用したインテリアと最大航続距離424kmを実現しており、仕事にも旅行にも幅広く対応。さらに、内蔵ソフトウェアのオンラインアップデートや、豊富な充電ポートなど電気自動車の長所を詰め込んだアバンギャルドな1台となっている。

俊敏かつパワフルな電動駆動システム

ID.バズとバズ・カーゴは、フォルクスワーゲングループのモジュール式電動マトリックス(MEB)をベースに構成されている。バッテリーのエネルギー容量は77kWh、最大航続距離424kmを実現。電気モーターはリアアクスルに組み込まれ、最大出力201PS、最大トルク310Nmを発揮。0-93km/h(62mph)加速は、10.2秒となかなかに優れている。また、最高速度は電子制御によって意図的に144km/hに抑えられている。

リチウムイオンバッテリーの充電は、車両後部の接続ポイントから行う。レベル2充電器では11kWの充電で、7時間30分で0-100%充電することができ、外出先ではDC急速充電スタンドで最大170kWの充電が可能。このとき、5-80%充電が約30分で完了する。

ID.バズのホイールは18インチ、19インチ、20インチが純正で用意されているが、ID.バズ カーゴは20インチリムに限定されている。特にフロントタイヤはリアタイヤより細めに設定されているので、鋭く差し込むような俊敏なコーナリングを実現している。サスペンションは、フロントがストラット式、リアがマルチリンク式という基本的なレイアウト。ブレーキシステムはフロントがディスクブレーキ、リアが耐摩耗性に優れたドラムブレーキが搭載されている。

また、ID.バズは摩擦ブレーキを使わずに減速することができる。自動運転モードを「D(ドライブ)」に入れると、抵抗のかからない電気モーターが自由に動くため、ドライバーがドライブペダルから足を離すと自動的に走り出すようだ。自動運転モードを「B(ブレーキ)」に入れると、ドライバーがアクセルペダルから足を離したときにはID.バズは自動で減速を行う。電動ブレーキサーボによる駆動系のみの制動効果が発生するので、このときの回生効果は絶大。通常のブレーキディスクをほとんど使用しない制動が可能となっており、さらに、下り坂では大きなエネルギーが回収されるため航続距離の拡張にも貢献する。

現代に復活したレトロデザイン

ID.バズのエクステリアデザインは、初代IDのデザインコンセプトを踏襲しており、極端に短いオーバーハング、最小限サイズながらの空間活用、2トーンの車体デザイン、V型ボンネットなど様々な箇所で共通点を見つけることができる。ボディサイズは、サイドミラーを含めずに4,711×1,983×1,927(mm)。ビジネスユーズだけでなくレジャーユーズにも幅広く対応する器用さを持ち合わせた1台だ。

象徴的で明快なデザインは、走行性能にも貢献しており、ID.バズの空気抵抗係数(cd値)はわずか0.29。大きなボディながら優れた数値を確保しており、その結果、電力消費を抑え航続距離を延ばすことに成功している。

ID.バズのスタイリングで個性的なのがボディカラーリング。7色の単色塗装と4色の2トーン塗装の計11色がラインナップされ、他にないID.バズだけのキャラクターを確立させている。2トーン塗装のうち、ルーフとV字型ボンネットを含むアッパーセクションは、「キャンディホワイト」に統一されます。また、キャラクターラインから下は、「ライムイエロー」、「スターライトブルー」、「エナジェティックオレンジ」、「ベイリーフグリーン」の4色のメタリックカラーから選択することができる。

便利機能を詰め込んだインテリア

5人乗りID.バズには、運転席と助手席はアームレストを備えた独立型シートが搭載され、リアシートは、3人乗りのトリプルシートとなっており、60:40に分割して倒すことができる。後席用の2枚のスライドドアは標準装備となっており、オプションで電動開閉に変更することもできる。ラゲッジスペースは、5人乗りの通常時で既に1,121Lもの空間が確保されているが、リアシートを倒すと2,205Lもの空間を創ることができる。

ID.バズ カーゴは運転席+ダブルベンチシートの3人乗りが標準でラインナップされているが、独立の助手席も注文が可能。シート後方は、固定式のパーティションで区切られおり、カーゴスペースが用意されている。このパーティションには、オプションで窓や開口部を設け、そこから荷物を積み込むことも可能。荷室容量は3,900L、最大積載量は648kgとなっている。荷室床のラッシングリングと側壁のレールで荷物を固定することができるようになっている。

コックピットは、日本車にも似ている丸みを帯びたクリーンな空間が創出されている。エクステリアカラーに伴った2トーンカラーで見た目にも楽しい快適なインパネとなっている。ダッシュボード中央には、10インチのタッチ式インフォディスプレイが標準装備され、ドライバー席正面には、自立式の5.3インチID.Cockpitディスプレイが搭載されている。

また、ID.バズは固定SIMカード(eSIM)を組み込んだオンライン・コネクティビティ・ユニット(OCU)が搭載されており、オンラインサービスや車両機能「We Connect」にアクセスすることができるようになっている。最新の「We Connect」機能には、主に充電をサポートする「プラグ&チャージ」「温度ガイダンス」「バッテリーケアモード」が搭載されており、これらすべてを無料で無期限使用することができる。

ID.バズの室内で特徴的なのが、USB-Cポートの数だ。5人乗り仕様には最大8つ、バズ カーゴには最大5つのUSB-Cポートが用意されている。また、バズ カーゴには、最大45Wを供給する最新の充電規格USB Power Delivery(USB-PD)が採用されており、ノートパソコンや充電式ツールなどを、従来のUSB-Cポートに接続した場合と比較して3倍の速さで充電することができる。さらに、オプションを加えると、助手席シートのフレーム内に、大型家電製品用の230Vソケットを追加することができる。内燃機関搭載車とは異なり、電気自動車であるID.バズは230Vの接続が可能で、さらにモーターをオフにした状態でも使用することができる。

最新ソフトウェアとドライバーアシスタント

ID. バズ プロとID. バズ カーゴは、最新のフォルクスワーゲン ID.3.2ソフトウェアを搭載してラインナップされている。このソフトウェアにより、対応するDC急速充電ステーションでの「プラグ&チャージ」機能などがさらに効率化することができ、さらに、専用のアルゴリズムを用いた長距離移動の計画も容易になる。ナビゲーションシステムがルートプランニング(eルートプランナー)に充電ステーションをインテリジェントかつ自動的に統合するため、充電を考慮した長旅の計画も特に簡単に行うことができる。

ドライバーアシスタントには多くの機能が標準で搭載されている。例えば、直近の危険を報告するCar2X、歩行者・自電車検知を行う緊急ブレーキシステムなどその機能は豊富そのもの。特徴的なのが、ロードサインディスプレイでID.バズ プロになるとレーンキーピング機能も追加される。

ID.バズ、ID.バズ カーゴは、新型T7マルチバンとともに、フォルクスワーゲン商用車の本社であるドイツのハノーバー工場で生産されている。欧州では既に販売が開始されており、今秋からの提供が予定されている。

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