S30のマルーンを彷彿とさせるバーガンディー
バーガンディーのZを見た瞬間に「おお、格好いいなあ」と思わず声を漏らしてしまった。フロントグリルの四角い形状が目立たず、それよりもボンネットの光の陰影による美しさの方に目を奪われる。初代フェアレディZ 240ZG(S30)のイメージカラー「マルーン」を彷彿とさせるこのボディカラーはZの美しさを際立たせ、50年以上に渡る歴史の重みを感じさせる。
それは、ただ単に落ち着いたワインレッド系というだけではなく、色に深みがあってボディの陰影がとてもはっきりと出る。光が強く当たる部分は明るめのレッドメタリック、陰の部分は黒っぽいダークブラウンのマルーンのようだ。最新の技術を駆使してデザインされた新型フェアレディZ(RZ34)のボディの複雑な曲面の美しさ、エッジの効いたプレスラインのシャープさが際立ち、新型Zのデザインの隠れた魅力を実に上手く表現してくれる。
新型フェアレディZ(RZ34)のボディカラーはルーフをブラックに塗装した2トーンカラーを6色、モノトーンは特別塗装色のミッドナイトブラック(P)と追加料金のかからない標準塗装色のバーガンディー(PM)、ダークメタルグレー(M)の2色を加えた3色だ。
ルーフ、リヤゲートの一部だけでなく、Aピラー、ドアミラーもボディ同色となるモノトーンは、2トーンとはかなり印象が異なる。サイドビューはボディ同色となったルーフ周りのボリューム感が増して、相対的にドアやボンネットが薄く見える。またボディ側面はその陰影によって、薄く伸びやかな印象だ。
ブラックのライトベゼルやディフューザー、サイドシルなどとは微妙に色が異なるのもこれに寄与している。ミッドナイトブラックも格好良かったがバーガンディーはさらにロングノーズ、ショートデッキのS30に近いスタイリングが強調される。ダーク系の色だけあって、車両がグッと引き締まって、コンパクトに感じられ、ドアやフューエルリッドの隙間などあまり気にならないのはミッドナイトブラック同様だ。
バーガンディーはブラックとの相性が良い。モール類やテールランプ周り、そしてインテリアのブラックとの組み合わせはグッと質感が上がったかのように感じられる。またレッド系でもあるため、赤いブレーキキャリパーとの相性も良い。派手さと控えめさが同居した絶妙なバランスのカラーだ。
ガンメタリックのレイズ製19インチ鍛造ホイールとの組み合わせも落ち着いた雰囲気で素敵だ。そういえば、初代240ZGもガンメタリックのホイール、オーバーフェンダーなどでマルーンとの相性が良かった。落ち着いた中にもどこか凄みと重厚感のあるバーガンディーは、新型フェアレディZ(RZ34)の「大人のスポーツカー」としてのデザインの魅力を際立たせている。