軽の枠にとらわれない最新技術満載!の上質ワゴン「日産デイズ/デイズハイウェイスター」【最新軽自動車 車種別解説】

驚きをもって迎えられた「日産ブランドの軽自動車」誕生から20年。三菱とのNMKV設立を経て、現行の2代目「デイズ/デイズハイウェイスター」は、設計開発も日産自身が手掛けた。動力性能、快適性、操縦安定性もトップクラス。上級のハイウェイスターには日産自慢の「プロパイロット」が用意され、軽自動車ながら「技術の日産」が凝縮されている。
REPORT:佐野弘宗(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:日南まみ

走りの動力性能や操安性で クラストップレベルを実現

2002年にスズキからOEM供給される「モコ」でスタートした日産の軽事業も、11年に三菱との合弁会社NMKVを設立して、独自の商品企画とデザインに踏み出した。そして、この二代目デイズ/デイズハイウェイスター(以下、デイズ)になると、設計開発も日産自身が手掛けるようになった(商用車だけは現在もスズキOEM)。日産の国内戦略においては、軽は押しも押されもせぬ主力事業ということだ。

エクステリア

「ハイウェイスター」系は専用バンパーや大きなVモーショングリルを備え、シグネチャーランプ付きLEDヘッドランプも標準装備される。ボディカラーはツートーンを含めて合計18種類もラインナップ。最小回転半径はグレードにより4.5mから4.8m。

ただ、生産は先代同様に三菱の水島製作所で行なわれる。設計と生産はクルマづくりの両輪であり、その意味では、軽を巡る日産と三菱の協業は深みを増しているということだ。 例えば、デイズのデザインでは軽らしからぬ立体感なサイドパネルが特徴的だが、これもデザイン力と生産技術が伴って初めて実現している。 また、日産は軽の枠にとらわれない性能レベルを目指したというが、その一方で「軽ならではの低コストの部品調達などは、商品としてまとめるには三菱のノウハウが不可欠だった」とも語っている。

乗降性

1640mm(FFの場合)という全高は最新ハイトワゴン軽としては平均的で、2495mmというホイールベースはホンダに次いで二番目に長い。後席はライバル同様のスライド機構が備わるが、座面は一体式で、可倒機構も背もたれを前倒しするだけだ。つまり、リヤシートのつくりは良くも悪くもライバルよりシンプルだ。ただ、後席膝前はクラストップ級に広く、後席スライドを最後端にした状態でも、荷室の奥行きは最も大きい。小手先の使い勝手より、まずは絶対的に広いのが一番便利 ……というのが日産の思いのようだ。さらに目からウロコのアイデアなのは、助手席ドアトリムに設けられた車検証収納スペース。車検証はグローブボックスに入れるのが一般的だが、考えてみれば、こんな場所を普段使わない書類(=車検証)で占拠するのは無駄というほかない。

プレミアムコンビネーションインテリア装着車は、ブラウンのレザー調インパネを装備。 販売店オプションの9インチ大画面ナビゲーションはアラウンドビューモニター対応だ。

プラットフォームからパワートレーンまですべて日産がゼロから開発されたデイズの走りは、動力性能、快適性と操安性すべてでクラストップを窺うデキだ。エンジン回転を上げずともキビキビ走ることを意識したセッティングのおかげもあって、自然吸気でもパンチ力と静粛性の両面で余裕を感じる。さらには、上級のハイウェイスターに搭載されるマイルドハイブリッドの効果もあるかもしれない。また4WDは軽では珍しいリヤモーターを備える電動式で、雪道の走破性も高い。

居住性

さらに高速直進安定性もいい。高速ではエンジンに余裕があって重厚なターボも悪くないのだが、パリッと軽快なハンドリングの自然吸気が特に好印象なのは、クルマとしての素性が優秀な証拠かもしれない。

うれしい装備

月間登録台数   4045台(21年8月~22年1月平均値)
現行型発表    19年3月(一部仕様向上 20年8月)
WLTCモード燃費  21.2km/l ※自然吸気のFF車 

ラゲッジルーム

デイズは軽だが日産自慢の「プロパイロット」が(上級のハイウェイスターに)用意されるのも注目。最近の軽では全車速対応ACCや車線維持アシストも常識となりつつあり、プロパイロットも表面的な基本機能は大きく変わりはない。しかし、実際に走ったときの滑らかさや積極的に車線中央をトレースする精度に、一日の長があるのもまた事実だ。

※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.140「2022年軽自動車のすべて」の再録です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/140/

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