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全車にうれしい機能が充実 前席と後席で役割を明確化
タフトはSUV感覚の軽自動車で、直線基調の比較的背の高いボディを備える。フェンダーのホイールアーチには、ブラックの樹脂製ストーンガードも備わり、SUVらしさを強調した。最低地上高も190mmと高いから、悪路のデコボコも乗り越えやすい。車内に入ると、インパネなどの内装も直線基調だ。質感は特に高くはないが、ATレバーやエアコンのスイッチがシンプルに配置されて操作性に優れる。
エクステリア
ほかの軽自動車と異なる特徴は、前席は居住空間として、後席は畳んで使う荷室と割り切ったこと。荷室には汚れを落としやすい素材が使われ、内装色も前席はブラック、後席はグレーと区分した。「G」に装着される車内側のドアハンドルも、前席はメッキだが、後席は樹脂製だ。後席はシートアレンジもシンプルで、背もたれを前側に倒せるだけ。前後スライド機能は備わらない。
乗降性
シートの座り心地は、前席は少し硬めながら身体にフィットして快適だ。後席は大腿部と座面の接する部分が短い。座り心地の点からも、後席は荷室として使うのが好ましい。
インストルメントパネル
タフトでは後席の機能をシンプルにしてコストを抑える代わりに、装備を充実させた。大型ガラスルーフのスカイフィールトップ、LEDヘッドランプ、電動パーキングブレーキは、価格が最も安い135万3000円の「X」を含めて全車に標準装着される。140万円以下の価格で、ここまで装備を充実させた軽自動車はほかにない。動力性能は、自然吸気でも運転しやすい。車両重量はFFでも800kgを超えるから、パワフルな感じではないが、最大トルクを実用域の3600rpmで発生させるエンジンと相まって、街なかをリラックスして運転できる。
居住性
ターボは1500rpm以下では駆動力が下がるが、それ以上なら1.0lエンジン並みの性能を発揮する。登坂路の多い地域のユーザーが販売店で試乗するときは、まず自然吸気で登り坂を走り、パワー不足を感じたらターボも検討したい。ターボの最大トルクは自然吸気の1.7倍で、坂道を登るときもエンジン回転数が過剰に高まらない。しかもターボのCVTは、ギヤ駆動を併用して効率を高めたから、燃費数値は自然吸気と比べて0.3km/lしか悪化しない(FF)。その割にターボの価格は割安で、装備が同等の「X」同士で比べると、価格上昇を8万8000円に抑えた。
うれしい装備
月間登録台数 4852台(21年8月〜22年1月平均値) 現行型発表 20年6月(グレード追加 21年5月) WLTCモード燃費 20.5km/l ※「G」「X」のFF車
ラゲッジルーム
プラットフォームはタントと同じDNGAの考え方に基づくタイプで、全高が1600mmを超える軽自動車としては、操舵したときの反応が正確だ。乗り心地は少し硬めで、路上の細かなデコボコを伝えやすい。段差を乗り越えた際の突き上げ感は小さいが、街なかを40km/h前後で走る状況で不満を感じないか、試乗車で確認したい。タフトを選ぶときの決め手はスカイフィールトップだろう。これを全グレードに装着したメリットは大きい。前述の通り後席がシンプルだから、2名で乗車して、荷物を積む用途に適する。
※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.140「2022年軽自動車のすべて」の再録です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/140/