目次
換気不足で車内のCO₂濃度が高くなると、集中力の低下や眠気の原因になることも
クルマのエアコンには「外気導入」と「内気循環」の2種類があり、任意で使い分けることができます。外気導入は、その名の通りで外気を取り入れて車内の換気を行い。一方、内気循環は、車内の空気を循環させることで外気の流入を抑える。
効率よく冷暖房を効かせるためには、外気を取り入れないで車内の空気を循環させる方が効率が良さそうだが、ある程度の換気をしないと、車内の二酸化炭素(CO₂)濃度が高まり、集中力の低下や眠気、頭痛など原因になることもあるという。
では、どのような条件で二酸化炭素濃度が高まるのかを、JAF(日本自動車連盟)が実施した実験でみてみよう。
「内気循環」だと車内のCO₂濃度は「外気導入」の約5.5倍まで増加
JAFが実施した、ドライブ中の車内環境についての実験によると、外気導入に比べ、内気循環だと車内のCO₂濃度は約5.5倍の数値となった。
実験方法は、ドライブ中の車内環境についての調査同じ車種を2台用意して内気循環と外気導入に分け、高速道路、郊外・山道、市街地を各1時間ほど走行。車にはそれぞれ4人乗車し、走行中の二酸化炭素(CO₂)、酸素(O₂)濃度など車内の空気の質と花粉の量を測定した。
高速道路
高速道路では、内気循環で走行した車のCO₂濃度が最大で4,520ppmとなった。また、外気導入で走行した車においては、トンネル内で走行していると、排ガスの影響もあり一時的にCO₂やCOの数値が高くなることもあった。
郊外・山道
郊外・山道では、内気循環で走行した車のCO₂の濃度が最大で4,730ppmとなった。
市街地
市街地では、内気循環で走行した車のCO₂の濃度が最大で6,770ppmとなり、外気と比べて約5.5倍の数値となった。
結果は、外気導入でCO₂の濃度は常に1,000ppm前後であったが、内気循環では最大で6,770ppm(市街地)となった。 一方、O₂の濃度はCO₂ほど差はなかったが、内気循環の方が最大1%近く低下した。また、乗車した人の中には、眠気や軽い頭痛を感じる人がいた。
花粉の量については花粉を確認することができたが、わずかな量しか確認することができなかった。最近のエアコンフィルターは、ある程度の花粉を除去できるため、外気導入でも花粉を心配する必要はあまりなく、衣類に付着した花粉や乗降時に車内に付着した花粉を除去した方が重要だと思われる。
基本的にエアコンの設定は「AUTO」がオススメ
この検証結果を受けて、健康科学・スポーツ科学を専門とする東北大学大学院医工学教授の永富良一氏は「いくつかの研究報告によるとCO₂の濃度が3,000ppmを超えると、疲労感の増加や注意力の低下、さらに、眠気や頭痛を訴える人が増加します。短時間では問題がないという結果もあるので一概には言えませんが、CO₂が増えるほど影響が大きくなるのは明らかなので、運転中はできるだけ外気導入にするか、最低でも1時間に1回は換気するといいでしょう」という。
運転中に眠気を感じた時は無理をしないで休憩をするのが一番だが、エアコンの設定で疲労感や眠気を感じにくくなるのであれば、長距離ドライブや渋滞のときなど実践してみてはいかがだろうか?
交通環境や天気など状況に応じて、内気循環と外気導入を切り替えると良いが、基本的にはエアコン設定は「AUTO」にしておけば、外気導入と内気循環を効率よく組み合わせてくれるので最適だ。そのうえで、トンネル内の走行や前方を走行する車の排ガスなどが気になる時は内気循環に切り替えると良いだろう。