日本の交通環境で使うなら、CX-60よりもむしろCX-5の方が向いている【マツダ CX-5深掘りインプレッション】

巷では縦置き直6+FRプラットフォームを採用するCX-60の話題で持ちきり。とはいえ、現在に続くマツダの土台を固めたのは、CX-5に他ならない。特別仕様車フィールドジャーニーで、日本市場ベストの性能を再確認!
REPORT:安藤 眞(ANDO Makoto)

スカイアクティブ思想をフル活用して設計された1台目

プレミアムカーメーカーへの脱皮に向けて、着々と地歩を固めているマツダだが、その端緒となったのがCX-5。原理原則に立ち返って理想を追求する“スカイアクティブ”思想をフル活用して設計された最初の1台だ。

現行モデルは2017年にフルモデルチェンジした第2世代。年次改良によって進化し続けており、5年目を迎える今もなお、まったく古さを感じさせない。

シートステッチやパイピングが特別感を演出する「フィールドジャーニー」

 CX-5のパワーユニットといえば、「うるさい、臭い、煙が出る」というイメージを変えた2.2Lターボディーゼルエンジンが真っ先に思い浮かぶが、ガソリンエンジンも、なかなかの高性能。ディーゼルは極低速で交差点を曲がる際など、わずかなターボラグを感じることがあるし、街乗りばかりだとDPFへの負担が大きい。

送迎や買い物など短距離走行が多いユーザーなら、ガソリン車のほうがむしろ適している。特に18年のマイナーチェンジでは、大きな改良が加えられ、パワー&トルクアップを実施。2.5Lエンジンには軽負荷時に2気筒を休ませる“気筒休止システム”を採用するなど、メカ的な面白さもある。

CX-60は、ボディは大きいもののFRレイアウトを採用するため、後席の前後方向の広さについては、CX-5と比べてもあまり違いを感じない。

19年のマイナーチェンジでは、悪路でスタックした際に脱出を助ける“オフロード・トラクション・アシスト”制御をAWDモデルに追加。21年のマイナーチェンジでは、ボディのクロスメンバーを強化して構造用接着剤を追加したり、シートレールの取り付け剛性を高めたりするなど、乗り心地向上のための改良も続けられている。

このところCX-60の話題で持ちきりのマツダだが、車格的にはCX-5も存続していくはず。日本の交通環境で使うなら、むしろCX-5のほうが向いているだろう。

バランスの良さを感じさせる65扁平タイヤ

今回の試乗車は、2.0Lガソリンエンジンを搭載したAWD仕様。グレードは20Sの特別仕様車“フィールドジャーニー”だ。20S Proactive をベースに専用加飾を施したほか、タイヤにはヨコハマのオールシーズンタイヤ“ジオランダーG91”を装着。サイズは225/65R17とほどよく、前後とも230kPaの空気圧で使用する。

ヨコハマ ジオランダーのサイズは225/65R17サイズと、今どきにしては低扁平。当たりが柔らかくバランスの良い乗り味をもたらす。

さらに、パワートレーンやトラクションコントロールの制御をシーンに応じて選択できる“Mi-DRIVE”には“オフロード”モードを装備するなど、機能面でも“特別仕様”だ。

乗り込んで最初に感じるのは、ステアリングホイールに巻かれた本革の上質感。車両本体価格が300万円を超えるから、プレミアムカーの領域とはいえ、シボのきめの細かさは「ただ革を巻きました」というレベルとは明らかに違う。オーナーになれば、これだけで「いいクルマ買った」感が味わえるだろう。

ライムグリーンのフロントグリルアクセント。

エンジンノイズは、ちょっとディーゼルっぽい音質。直噴+高圧縮で燃焼速度が速いためだ。今どきのエンジンとしては少し荒々しさを感じるが、SUVとしては悪くはない。発進の加速応答はマイルドだが、変に飛び出し感を演出しているより扱いやすい。加速時のトルク感はなかなか力強く、「これ2.5Lだっけ? FWDで軽いやつ?」と確認してしまったくらいだ。

うねりのある路面では、ボディのしっかり感が際立ち、脚がよく動いているのがわかる。65扁平のタイヤも当たりが柔らかく、ザラついた路面でも極端にロードノイズは大きくならない。最近はSUVでも薄いタイヤを付けたがるが、性能的にバランスが良いのは65〜70扁平だ。

エアコンルーバーベゼルも含め、内外装ともにライムグリーン加飾で統一。

操舵フィールも、すっかり上質になった。最初の頃は、重い操舵力とキレキレの応答性が持ち味だった(のは先代だっけ?)が、今やシットリとした手応えから、素直かつリニアにノーズが入る。ブレーキの食いつきも良いし、抜き側のコントロールもしやすい。

性能的に、これといった“凄み”はないが、“自然で乗りやすい”という点では非常にハイレベル。荷物を満載して峠を登ったりすると、また違った印象になるかも知れないが、そういう人はXDを選べば良い。

試乗は郊外路と空いた市街地を約10km走り、燃費計の数値は13.6km/l。WLTCモードが14.0km/lだから、まずまず優秀な成績だ。

ラゲッジは定員乗車でもゴルフバッグ4つを飲み込む。写真のジルコンサンドメタリックが良く似合う。
MAZDA CX-5 20S Field Journey 

全長×全幅×全高 4575mm×1845mm×1690mm
ホイールベース 2700mm
最小回転半径 5.5m
車両重量 1600kg
駆動方式 四輪駆動
サスペンション F:マクファーソンストラット R:マルチリンク
タイヤ 225/65R17

エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
エンジン型式 PE-VPS型
総排気量 1997cc
最高出力 115kW(156ps)/6000rpm
最大トルク 199Nm(20.3kgm)/4000rpm

燃費消費率(WLTC) 14.0km/l

価格 3,234,000円

著者プロフィール

安藤 眞 近影

安藤 眞

大学卒業後、国産自動車メーカーのシャシー設計部門に勤務。英国スポーツカーメーカーとの共同プロジェク…