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話題のニューモデルは正式発表前に予約するが吉
このところ自動車メディアの存在意義が揺らいでいると感じることが多い。かつては、新型車の試乗記を出せば、その記事を見たユーザーが購入するという流れだった。しかし、いまや新車が欲しくても納期未定となっていることが多い。人気モデルになれば、そうした傾向はなおさら強くなる。
もはや新車インプレッションを読み、ディーラーで試乗をして購入を決めるというフローでは納期はいつになるかわからない時代だ。注目の新車が登場するとなれば、ティザー広告がはじまったタイミングでディーラーに行き、先行予約を受けてもらわなければ納期は年単位で先になってしまうことも珍しくないのだ。
かつての買い替えタイミングは通用しない時代
クルマの買い替えについても、動き出すタイミングを大幅に早める必要がある。
日本では車検制度(乗用車で初回3年、二回目以降は2年ごと)があり、車検のタイミングでクルマを乗り換えるというインセンティブを感じるユーザーが少なくないのも事実。かつては2回目、3回目の車検を前にして、そろそろ新車に買い替えるなどと考えることが多かった。
しかし、2020年ごろから状況は変わってきている。半導体不足、新型コロナウイルスによる流通網の寸断などにより、新車の納期は大きく伸びてしまっている。
車検の半年前に動き出しても納期が伸びてしまい、車検を通すことになったという話も耳にすることもある。また、納期が見えなさすぎて下取り価格が確定できないという話もある。
そもそも、あまりにも納期が未確定なため販売店単位では受注停止になっているようなモデルが存在していることも珍しくない。
受注可能なモデルであっても、生産の具合や納車時期の情報が重視されている面もある。いまや値引きよりも納期のほうがユーザーの優先順位は高くなっている印象すらあるほどだ。
即納可能な中古車は新車の価格を超えることも
そうした市場マインドにおいて、現物がある中古車の価値は相対的・絶対的に高まっている。
ナンバーの取得や納車整備はあるにせよ、基本的には納期が2週間以内となるのは魅力だ。新車が納期未定という状況になるほど中古車の相場は上がっているのは間違いない。四輪はまだマシなほうで、二輪などは低走行距離の中古車全般が新車より高いプレミアム価格をつけているのは、もはや当たり前の状況となっている。もちろん、四輪でも一部の人気モデルについては新車価格をずっと上回るプレミアム価格を掲げているケースは少なくない。
いつ納車になるかわからない新車を定価(メーカー希望小売価格)で購入するか、すぐにでも手元に届く高年式・中古車をプレミアム価格で買うかという選択になっている。
減価償却的な意味での資産価値でいえば、新車のほうが高いのは言うまでもなく、プレミアム価格の中古車を購入するというのは経済的にはあり得ない判断といえる。しかし、誰しも人生の時間は有限であり、時間を有効に活用するという視点では待ち時間を減らすことに金銭的価値を見出すこともできる。あまりにも納期が伸びていることで後者のように考える人が増えているからこそ中古車価格は高騰しているのであろう。
「お金と時間」どちらを大切にするかで、結論は変わる
というわけで、「割高な中古車と納期のかかる新車。どちらを買うべきか?」という疑問への回答は、お金を重視するのであれば新車、時間を重視するのであれば中古車が吉ということになるだろう。
とくに中高年以降のご同輩においては、元気なうちにクルマ趣味を楽しみたいと思ったら、時間を選ぶという結論に至ることもあるだろう。経済性重視で新車を待っている時間に、どれだけドライブを楽しめるのかを考えれば、プレミアム価格の中古車を選ぶことを否定することは難しい。
もし、あなたが新車派だとしても、人生を楽しむことを大切に思うのならば中古車という選択肢を積極的に考えるべきなのが「withコロナ時代の愛車探しのコツ」といえるのかもしれない。
一方で、とくにこだわりがなく、いま所有しているクルマにも不満がないのであれば、車検を通しつつ大事に乗っていくのも悪くない。かつてのように、新車が即納という時代には戻らないかもしれないが、様々な状況が落ちついて、納期が明確に提示できるようになった頃に買い替えを検討するほうがストレスを感じなくて済むだろうからだ。
いずれにしても、正解はひとつではない。時間、お金、感情…自分にとって何が大事なのかを考え、ベストの選択をしてほしい。