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見た目は丸く、力は強く太いワークスへ
2335mmのホイールベースはクラス最大
2代目ワークスは、3代目アルトとともに登場した。
アルトは角目ヘッドライトで、丸目のマスクはワークス専用の意匠である。顔つきは、見る角度によって愛らしく映り、一方からは特徴的なロングホイールベースと調和する、ワイドなローフォルムに魅せた。
そのホイールベース長は当時、クラス最大を謳った2335mm。アルト系の新ボディはタイヤを車体の四隅に配す。初代の2175mmから160mm延びたのだ(参考までに、後発の初代ワゴンRも2335mm)。
結果、ワークスではゆとりある室内空間や、運転しやすい非対称ドライバーズシートレイアウトなど、実用面の進化が叶った。
テレスコ付きステアリング、2WAYリフター付きドライバーズシート等の装備もクラス初で新しい。グレードはFFがRS/X、フルタイム4WDがRS/R。5MTと、RS/Xはワークスの性能を身近にする3ATも選べた。
F5B型DOHCエンジンを直立状に搭載
DOHC4バルブの3気筒ターボエンジンは、初代に載るF5A型の後継機、F5B型だ。ボア65.0mm×ストローク55.0mmの比で、オーバースクエアが際立つ。総排気量は543ccが547ccになった。
車両への搭載状態も注目点だ。初代のF5A型は、車両前方やや傾斜して積まれた。そして、インマニが車両後方へ延びた。
いっぽう、2代目はF5B型が直立状に収まる。インマニ、インタークーラー等の周辺部品はエンジンに寄せた。
丸目ライトも意味あり? そんなわけで2代目のエンジンルームは奥行が短く、小ぶり。それもあって室内が広い。
最大トルクは0.5kgm増、7.8kgmに向上
ターボは、初代と同じIHI製RHB31型だ。F5B用は、排気側のタービン径が少し大きい。タービンハウジングのA/RはP7。中高回転に強みを持つ、ショートストロークエンジンに合わせた仕様といえる。レッドゾーンの9000rpm近くまで、綺麗に回ったのを覚えている。もちろん、定格値も高まった。
最大ブースト0.9㎏/㎠で最高出力64㎰/7500rpmは、自主規制値ゆえに不変だ。その代わり最大トルクは7.8kgm/4000rpmと0.5㎏-mも上り、新車時では一番だ。この増加にはインマニ系とインタークーラーの形状変更、加えてエンジンの搭載角度も奏効したと思う。ターボで圧縮された空気の流路、つまりパイピングを効率的な取り回しにできた。
SOHCターボ仕様もラインアップ
F5B型SOHCターボエンジンを搭載するFFのターボ S/Xと、フルタイム4WD のターボS/Rも展開した。定格は最高出力58㎰/6500rpm、最大トルク7.4kgm/4000rpm。扱いやすい低中速トルクは評判だった。S/Xは3ATも設定。89年5月には快適装備が充実、スペシャルモデルのターボ i.e.を発売する。
サス周辺と駆動系は要所を改良
サスはダンパー、スプリングともに2代目専用の特性だ。I.T.L.式のリヤは、初代ではアルト系のリーフリジッドからの置き換えだった。新ボディの2代目は車軸の位置が修正され、ホイールベース160mm増の内訳になっている。
駆動系では、5MTのギア比がすべて変わった。現行型まで採用が続く4.705のファイナル比は、この2代目が始まりなのだ。RS/Rのフルタイム4WDについては、仕組みの基本を初代から受け継ぐ。
装着タイヤは総幅が10mm拡がり、サイズが155/65R13。フロントブレーキはキャリパーの変更で13インチ用ディスクを対にするなど、要所が改良を受けた。
2代目は新軽自動規格対応への基礎づくり
登場から半年、1989年春に購入したRS/Xは、俺にとって初のワークスだった。
楽しんでいたものの1990年春、練習会で桜木にヒット。軽傷で済むも、翌月に同じ会場で左旋回中に横転……。
板金も考えたが、軽自動車の規格変更を迎え、新ワークスの注文に踏み切った。
そう、2代目の販売期間は短く、1990年1月頃に終えたと記憶する。2代目投入は1990(平成2)年1月の規格改定に向けた、基礎づくりだった。そして1990年2月、マイナーチェンジで改まる。
次回に続く
仕様・諸元(一部) 駆動方式(RS/X):2WD(FF) (RS/R):フルタイム4WD 型式(RS/X):M-CL11V (RS/R):M-CM11V エンジン:F5B型DOHC4バルブ直列3気筒インタークーラー付きターボ ボア×ストローク:65.0mm×55.0mm 総排気量:547cc トランスミッション:5速MT/3速AT(RS/Xに設定) 全長×全幅×全高:3195mm×1395mm×1375mm(RS/R 1400mm) ホイールベース:2335mm トレッド:フロント1225mm(RS/R1220mm)/リヤ1200mm 車両重量:RS/X 610㎏(3AT 630㎏)/RS/R 660㎏ 乗車定員:2名(後部座席使用時4名) 最大積載量:200kg(2名乗車時)/ 100㎏(4名乗車時) タイヤ:155/65R13 車両規格:昭和51年1月施行 旧々軽自動車規格 ※DOHCターボエンジン搭載車の初期モデルを掲載