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1955年に日産ブルーバードの前身となる、ダットサン110がデビュー(その後1957年に110系の改良型210型となる)し、市場で高い評価を受け人気を博していた。初代コロナは1957年に、このダットサンのライバルとして投入された。しかし1959年には、ダットサン210の後継モデルとして、初代ブルーバードがデビュー。初代コロナはダットサンにもブルーバードにも販売面で水をあけられてしまった。
二代目は文字通り「すべてが一新」された。そんなこともあり、国内初のティザーキャンペーン(発売前告知)を展開。「新しくないのは車輪が4つあることだけ」という挑戦的コピーはいまも語り継がれている。
二代目の登場は1960年3月19日。自動車専門誌「モーターファン」の当時の記事を読むと、「カンチレバー式」という、リヤサスペンション構造の特徴がクローズアップされていた。「スバルとやや似た、板の単ばねと巻きばねとを組み合わせ、ゴムをはさみ、トルクロッドで連結した、外国にも稀な独特な新設計」と紹介していた。
「すべてに新しい」とも言われた二代目コロナは、しがらみがほとんどなく開発されたのだが、唯一のしがらみは「タクシー規格」。当時初乗り70円の小型タクシー規格に合わせるため、全長が4mを切る3990mm(スタンダード)となっており、「伸びやかさが足りない」という指摘が当時のモーターファンに記されていた。デビュー当時の搭載エンジンは1ℓ直4P型エンジン。しかし翌年にはクラウンと同じ1.5ℓ直4R型に換装されているのも、小型タクシー枠拡大に合わせてのもの(ライバルブルーバードが1.2ℓだったので差をつける意味もあったとする話もある)。1961年の改良では、セミオートマチック「2速トヨグライド」も追加されている。
新設計目白押しの二代目コロナには耐久性を疑問視する声がついてまわったようだ。そのため「トーチャーキャンペーン」という、荒野を駆け巡るコロナが崖から落とされても、そのままエンジンをかけ再び走り出すものや、荒野でドラム缶のスラローム走行やドラム缶の山に突っ込むなど、過酷な走りでクルマの耐久性能をアピールするCMを放映していた(ドラム缶編は日本で最初のカラーCM)。
しかし、新設計が多いためタクシー需要のなかでの細かい不具合などもあったようで、耐久性では最後まで問題が多い結果となり、初代コロナの敵を打つことはできなかった。
何とコンバーチブルモデルが存在した!
SPECIFICATIONS:Corona 1500 Deluxe (1963)
〈寸法重量〉
全長×全幅×全高:4030×1490×1445mm
ホイールベース:2400mm
トレッド前/後:1230/1230mm
車両重量:1000kg
乗車定員:5人
〈エンジン〉
直列4気筒OHV
ボア×ストローク:77.0×78.0mm
総排気量:1453
最高出力:62ps/4500rpm
最大トルク:11.2kgm/3000rpm
〈トランスミッション〉
3MT
〈駆動方式〉
RWD
〈サスペンション〉
前・ダブルウイッシュボーン式、後・カンチレバー式リジッド
67.9万円