地元の勝田貴元は見せ場をつくったが総合7位でフィニッシュ

ラリージャパンの最終日は愛知県が舞台となり、「ヌカタ」「レイク・ミカワコ」という定番ステージを2本走行した後、岡崎市の中央総合公園で「オカザキSSS」を2本連続で実施。その後、TFZ(タイヤフィッティングゾーン)を経て午後は「ヌカタ」と「レイク・ミカワコ」を再走した。4本のステージ合計距離は72.38km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は198.61km。前日までとは一転し、日曜日は朝から雨が降り続け、路面はウェットコンディション。全車がウェットタイヤを装着してステージに臨んだ。

オープニングステージのSS15「ヌカタ1」ではロバンペラが2番手タイム。前日のデイリタイアを経て再出走した勝田が3番手、総合2位のエバンスが4番手、首位のオジエが5番手となり、オジエとエバンスの差は5.7秒に縮まった。続くSS16「レイク・ミカワコ1」ではオジエがベストタイムを記録し、2番手エバンスとの差を6.7秒に拡大。さらにSS17「オカザキSSS1」でもオジエはベストタイムを勝田と分け合い、差を7.8秒に広げた。続くSS18「オカザキSSS2」では勝田が単独でベストタイムを記録し、オジエは3番手、エバンスは4番手。トップ2の差は8.3秒となった。

勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)

TFZを経て始まった再走ステージの1本目、SS19「ヌカタ2」ではオジエが2番手のエバンスに3.2秒差をつけるベストタイムをマークし、差は11.5秒に拡大。最終のパワーステージ、SS20「レイク・ミカワコ2」でもオジエは勢いを保ちベストタイムを記録。総合2位のエバンスに11.6秒差をつけてラリージャパン初優勝を果たし、今シーズン6勝目を挙げた。

セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)

また、オジエは日曜日のみの合計タイムで競われる「スーパーサンデー」でも2番手エバンスを抑えて1位となったことで、パワーステージの5ポイントとスーパーサンデーの5ポイントを追加で獲得。1戦で獲得可能な最大ポイントである35ポイントを加算し、ドライバー選手権では単独2位に浮上した。オジエの勝利により、TGR-WRTは2023年から3大会連続となるホームラリー優勝を達成した。

総合優勝を飾ったセバスチャン・オジエ。

総合2位でフィニッシュしたエバンスは、パワーステージでオジエとわずか0.096秒差の2番手タイムを記録。スーパーサンデー2位で合計8ポイントのボーナスを獲得した。ドライバー選手権でのリードは前戦の13ポイントから3ポイントへと縮まったものの、首位を守った。

エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)

Rally1車両によるラリージャパン初参戦だったパヤリは、最終日も安定した走りを継続。総合3位につけていたアドリアン・フォルモー(ヒョンデ)がクラッシュでリタイアしたことで順位を上げ、キャリア初の表彰台を獲得した。その結果、TGR-WRTはホームイベントで2023年大会に続く2度目の1-2-3フィニッシュを達成した。

表彰台では“モリゾウ”ことトヨタ自動車の豊田章男会長も喜びの表情を見せた。

デイ2で車両にダメージを負いながらも総合7位まで挽回していたロバンペラは、最終的に総合6位でフィニッシュ。パワーステージ3番手、スーパーサンデー3位により6ポイントを加算し、ドライバー選手権では首位エバンスと24ポイント差の3位に。タイトル獲得の望みを最終戦ラリー・サウジアラビアへとつなげた。

首位争いに加わりながらもデイ3でクラッシュしデイリタイアとなった勝田は、修理を終えた車両で再出走。多くの観客が見守る中、SS17と18でベストタイムを記録し、スーパーサンデーでは5位。総合17位でホームイベントを締めくくった。

GR Yaris Rally2で参戦した2025年WRC2王者オリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)は、Rally2クラストップの総合7位でフィニッシュ。同じくGR Yaris Rally2で出場したアレハンドロ・カチョン(スペイン/トヨタ・スペイン テオ・マルティン・モータースポーツ)はRally2クラス2位、総合8位で走り切り、WRC2で初優勝を飾った。チームメイトのヤン・ソランス(スペイン/テオ・マルティン・モータースポーツ)はWRC2クラス3位でフィニッシュした。

2025年WRC第13戦ラリージャパン 結果

  1. セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) 3h21m08.9s
  2. エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +11.6s
  3. サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m16.6s
  4. オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +3m18.1s
  5. グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +6m48.7s
  6. カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +7m01.5s
  7. オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +9m35.5s
  8. アレハンドロ・カチョン/ボルハ・ロサダ (トヨタ GR Yaris Rally2) +10m41.6s
  9. ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +11m36.2s
  10. ヤン・ソランス/ロドリゴ・Sンファン (トヨタ GR Yaris Rally2) +12m26.0s
  11. 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +40m24.6s

第13戦終了時点 ドライバー選手権順位

  1. エルフィン・エバンス 272ポイント
  2. セバスチャン・オジエ 269ポイント
  3. カッレ・ロバンペラ 248ポイント
  4. オィット・タナック 213ポイント
  5. ティエリー・ヌービル 166ポイント
  6. 勝田 貴元 111ポイント
  7. アドリアン・フォルモー 96ポイント
  8. サミ・パヤリ 94ポイント
  9. オリバー・ソルベルグ 70ポイント
  10. グレゴワール・ミュンスター 36ポイント

第13戦終了時点 マニュファクチャラー選手権順位

  1. TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 692ポイント
  2. Hyundai Shell Mobis World Rally Team 464ポイント
  3. M-Sport Ford World Rally Team 191ポイント
  4. TOYOTA GAZOO Racing WRT2 145ポイント

次戦情報

WRC最終戦「ラリー・サウジアラビア」は11月26日(木)〜29日(日)に初開催。舞台は中東サウジアラビア西部の大都市ジッダ周辺で、路面はグラベル(未舗装路)。山岳地帯や火山地帯、砂漠のルートがステージに設定されている。

TGR-WRT出場予定車両:

  • 33号車 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン
  • 69号車 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン
  • 18号車 勝田貴元/アーロン・ジョンストン
  • 5号車 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン