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はっきり言って常人では理解不能なデータ!
四輪業界において、日本屈指のレーシングマシンビルダーの一人であるラノーズ浦野氏(以下アニキ)。フルパイプマシンなどを製作し、様々なレースでの実績を誇るアニキのカスタムは自らの経験値だけでなく、常に新しいことにチャレンジし続ける姿勢と、日本トップクラスのドライビングテクニックでの検証が、他にない完成度をもたらしている。
ジムニーのECM書き換えチューンは、新車が発売されて以降、様々なチューナーがチャレンジし続けていたのだが、システムがかなり複雑で難航していた。さらに海外で開発されたツールを使用しても、内部データの閲覧はできるが、走行時動作状態の確認や、データロガー機能がないため、何をどうすれば何が変わるのかが全くわからない。そこでアニキの走りのセンスと鋭敏な体感センサーが必要となる。カスタムの知識とセンスを両立した唯一のマシンビルダーなのだ。
アニキの解析によると、現行ジムニーのECM制御マップは、パラメーターを含めると約400前後ある。その中の180以上をアニキは解析済み。全てのマップが複雑に絡み合い、サブコンとはかなり難易度が違う。さらに、従来のECMと異なり、補正ではなく、自己学習機能があり、トルクリクエストマップという根幹となるマップの様々な制御を実際の操作や走行条件に合わせて学習していく。その方向性までも考えてマップを製作していかないと、学習で改悪という結果もありえる。アニキ曰く、解析にかかった検証走行だけで、ゆうに2万キロ近く走ったとのこと。小さな変化を見逃さない卓越したドライビングセンスと、妥協をしない探究心がなければ、ジムニーのECMを理解することはできない。
実はすでにJB64、JB74だけでなく、数多くのスズキ車の解析が完了。兄貴の探究心は、止まらないのだ。
ECMチューンはチューナーの思想を反映、弄り手が必要と思っている内容が形になる
ECMの書き換えチューニングとは、文字通り調律。内燃機の理屈上、様々な走行条件においてベストの燃焼は一つしかない。しかし、市場には様々な調整がなされたデータがある。それは何か? チューナーの思想なのだ。「この特性が最も乗りやすく速い」という内容はチューナーの走りのクセや考え方が反映される。最高速に重きを置くチューナーは、高回転域の伸びを重視、ドッグファイトでの競り合いを重視するチューナーは、中速域のレスポンスとトルク特性というふうに、重要視するポイントが異なる。
アニキの求める高性能は、まず第一に気持ちよさだ。現行ジムニーは重い。ほとんどのユーザーが、鈍重な動きに辟易している。もっと軽快に走らせたい。気持ちの良い加速ができないだろうか? と思っている。アニキが求める気持ち良さは、このポイントの改善が最重要項目。最高出力にとらわれず、特にアクセルの開け直しでの再加速が最も重要。その為には、極低速からよどみなく加速する特性とトルクが必要。ここの部分は、数字に現れにくい。なぜなら、パワー測定器は、アクセル全開でのパワーチェックとなるからだ。誌面での掲載は、どうしてもグラフなどの資料ありきとなってしまう。しかし、アニキのつくるデータは可視化できる資料ではわからない。一つ言うのであれば、間違いなく体験した人は気持ち良いと言うコメントを残すだろう。
さらに取材時に新たな情報をゲット。従来からあるJB23用にJB64とJB74が加わったのだが、さらに旧タイプのJB43も新たなツールを使用し、解析がほぼ完了。通信タイプのECMだけでなく、ROMに直接通電し、書き換えるツールを導入したことで、さらにレパートリーが増えている。もはや、アニキはECMのスペシャリストと言っても過言ではない。
●価格:ハイオク/ブーストアップ 7万9200円、ハイオク仕様Speec2アップデート 3万5200円、ハイオク/ブーストアップSpec2 9万9000円、レギュラー仕様 5万2800円
●適合:JB64ジムニー
●価格:ハイオク仕様(AT仕様) 7万9200円、ハイオク仕様(MT仕様) 8万3600円、レギュラー仕様 6万8200円
●適合:JB74シエラ
●価格:ECU現車合わせセッティング 11万8800円、ハイオク仕様(オプション付) 7万8100円、ハイオク仕様 7万4800円
●適合:JB23ジムニー
●価格:ECU現車合わせセッティング ハイオク仕様 7万9200円
●適合:JB43シエラ
まさかのJB43ジムニーユーザーに朗報
【RA-NO’S (ラノーズ)】
住所:茨城県常総市国生1421-7
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HYPER REV(ハイパーレブ) Vol.277 スズキ・ジムニー&ジムニーシエラ No.14より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]