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STEP2/最新編〜残価設定ローン〜
クルマを買うと言えば、下取り車を出して、次のクルマを丸々自分のモノにする、というのが普通だ。だが最近はクルマを「半分くらいしか所有しない」買い方が主流になっている。それが「残価設定ローン(クレジット)」だ。
その名の通り将来予想される価値、つまり「残価」を設定し、それを先に引いて残りの金額でローンを組む。
グレードアップが可能な残価設定は本当にお得なのか? リアルに迫る
例えば、300万円のクルマなら、3年後の下取り価格を120万円とする。300万円から120万円を先に引いて、残りの180万円をローンで支払う。実質、300万円のクルマが180万円の支払いで済む。
そして3年後にはクルマを返すのが一般的だ。つまり規定年後の下取り査定分の前払いということになる。
最大のメリットは、通常の車両購入に比べ大幅に少ない支払いになること。
しかも通常のローンに比べ、残価設定ローンのほうが一般に金利が抑えられており、さらに支払額は少なくなる。なので、月々の支払いを考えるとこのグレードしか……、だったのが、残価設定ローンではさらに上のグレードでも買うことができるケースもある。
ただし「縛り」もある。返却時の査定が想定を下回るのは基本的に御法度。
例えば走行距離。月に1000〜1500㎞程度が上限。長距離を走る人は過走行になって追加料金を取られる。車両を改造するのも基本的
にダメ。事故を起こしてしまうとそれも査定に響くので、差額を負担しなくてはならなくなる。
また、返却時に人気が出てしまった場合は、ローンを組んで自分のものにして売却したほうが得なこともある。
ただし、もともと人気車だと残価が大きくて負担なく乗れるから、ここの判断は微妙だ。
また、終了時に自分のものにしたくなって、買い取ったり、再ローンとなると、総額がかなり大きくなることもあるのは注意したい。見積書を作ってもらい、検討するといい。
いまや残クレは新車購入におけるスタンダード
●残価の支払い方法も選べる
クルマを気に入ってしまい、返却したくなくなったらどうするか? 一括で払うか、再ローンを組めば自分のものになる。
●月々の支払いが抑えられる
価格の半分ぐらいを支払うだけなので負担は小さい。今やメーカーによっては利用率7割ぐらいになるほどの人気だ。
月々の支払いがグッと抑えられるのが大きなメリット
ハリアーハイブリッド Z Leather Package(FF) 36 回払い/頭金無し/ボーナス支払い無しの例
ステップアップ例・その1
ステップアップ例・その2
ステップアップ例・その3
人気車になればなるほど、どんどんお得!
ここまで紹介したように、残価設定ローンのカギは残価にある。残価とはつまり、そのクルマの人気だ。だから、人気車が多く、値落ち幅が小さいトヨタ車は有利とされる。
そのなかでもアルファードやランドクルーザープラドは3年後の残価率は驚異の70%ほどで、残りの30%を支払えば乗れるのは大きな魅力だ。
賢いポイント① 残価保証条件を満たさないと追加金が請求される!?
返却時に過走行だったり、事故歴があると査定が下がってしまって、追加料金を請求される場合がある。カスタムはどうか? 基本的には元に戻せればOK。ホイールなどは問題ないが、エアロの装着などはNGだったりする。ディーラーオプションは問題なしで、レス仕様への一般的なカーナビなどの装着も大丈夫なことが多い。基本的には残価設定ローンは本格的なカスタマイズ派には不向きと言える。
「カスタマイズやドレスアップは要注意」
アルミホイール&タイヤなどの装着は問題なし。要は元に戻せることができれば問題なし。なので、ノーマルパーツに戻せるのなら、足まわりの交換などもできる。
バンパーやボディを加工するような大物パーツの装着は不可。基本的には買ったときの状態で返却する。ただし、チューニングパーツでも純正オプションにあればOKではある。
今時は多少のキズにも寛容になっている
賢いポイント② 残価設定ローンとカーリースの違いを考える
個人向けカーリースとの違いは何か? カーリースは定額料金でクルマに乗る仕組みだが、ローンではないので金利がない。また、税金や自賠責保険なども含まれるのでリース料以外の出費は抑えられる。一般に残価設定ローンは3〜5年だが、リース契約は7〜9年と長いものもある。料金はリース料のほうが高めだが、終了後、クルマをもらえることもある。
■カーリースならではの点 ・所有者は残価設定ローンでは購入者だが、カーリースではリース会社 ・頭金や諸費用が不要 ・残価を引いた部分から月々の支払い額が決められる
リースは似て非なるもの。支払い額にはランニングコストも含まれて、それを毎月払う。経費で落とせるので法人向けと言える。
賢いポイント③ 契約年数が終了したあとはどうする?
返却時にはチェックされ、最初の残価より低くなると追加料金が発生する場合がある。また残価設定ローンでは、次のクルマにスイッチするのが一般的。気に入れば乗り続けられるが、残価部分を現金一括払いか再ローンとなる。ただし、再ローンは残価部分に再度金利がかかるし、また金利が通常より高く設定されることもあるので注意が必要だ。
お得に買えるのは大きなメリットだけど残価設定ローンはこんなユーザーに不向き
残価設定ローンに決定的に向かないのは、まずクルマを自分の所有物として長く乗り続けたい人。そして頻繁に長い距離を走る人で、過走行で査定が下がれば、追加料金を請求される。また運転が苦手な人も不向きで、事故や接触によって査定は大きく下がってしまう恐れがあるからだ。カスタマイズ好きもボディを加工するのは御法度ゆえ、限られたカスタマイズしかできなくなってしまう。
賢いポイント④ メンテナンスや修理はどうなる?
残価設定ローンで購入したクルマでもメンテナンスは自腹。そこで最近加入者が増えているのが「メンテナンスパック」だ。加入すると点検やオイル交換などが無料になる。これは3〜5年で乗り換えられることが多いクルマに対し、しっかりディーラーでメンテナンスを行うことで、その価値を下げない効果もあり、販売店とオーナーがウィンウィンになる。ぜひ加入したい。
新車でバイトってどういう仕組み?
クルマに貼るだけで安くなる〜埼玉トヨペット「ハルバイト」〜
埼玉トヨペットのサービス。残価設定を利用した車両にステッカーを貼るだけで、広告料がもらえる。いわば宣伝カーだ。車種によるが3年間で18万円、ポイントなら21万6000円分と、お得! これを利用してグレードアップが可能だ。
アルファード/ヴェルファイアの例