モータージャーナリスト2人がランクルを比較試乗【TOYOTA・ランドクルーザー300】最新の技術が投入されたトップモデル、GRスポーツで走りの喜びの満喫!

【ランクル2人試乗】さすがフラッグシップ! 3兄弟の長兄「ランドクルーザー300」は、やっぱり最強!?

ランドクルーザーの象徴的存在として、シリーズのトップレンジモデルとなるのが【300】系。最新技術によって、総合的な悪路走破性や運動性能を向上させ、どんな道でも運転しやすく疲れにくい設計をキモとしている。ハイパフォーマンス仕様となる“GRスポーツ”を設定しているのもモデル唯一だ。

POWER TRAIN

SUSPENSION

軽量化された違いは明らか低中速の力強さと加速感◎

「250」が出たことで、「300」の位置づけがより明確になった。フラッグシップとしてより特別な存在になり、上質かつ快適で、装備が充実していて先進技術がふんだんに盛り込まれている。ボディサイズは「250」と同等ながら広く大きく見えて、派手な面構えや豪華な車内も印象的だ。

TNGAに基づくGA-Fプラットフォームの採用に加えて、高張力鋼板の採用が拡大されたほか、外板の大半がアルミ化されている。

さらにパワートレインがダウンサイジングされた。これらにより前身の「ランドクルーザー200」と比較して、約200kgもの軽量化を実現しており、実際に乗ってもかなり軽くなった印象を受ける。

「250」とはステアリングが異なり、過酷な環境での使用に耐えることを優先して油圧式パワーステアリングを採用し、操舵支援できるよう操舵アクチュエーターを追加したことには驚いたものだが、やや制御に遅れが見受けられる。

2種類のエンジンは、3.5L V6ガソリンターボと、3.3L V6 ディーゼルターボとなり、いずれも10速ATが組み合わされる。ガソリンは従来の自然吸気エンジンのV8を上回るトルクを目指しATとセットで開発したとのことで、たしかに低中速の力強さは十分でターボらしい加速の伸びもある。

エンジン音ができるだけ聞こえないようにされており、非常に静かなのも印象的だ。

ディーゼルは低速トルクをしっかり出すため、シーケンシャルツインターボを採用したのが特徴だ。エンジン音は車外ではそれなりに聞こえるものの、乗ってしまえば気にならないほどこちらも対策されている。

なめらかで快適な走りには、電子制御の足まわりも効いている。20インチを履くZXは乗り心地にやや硬さを感じるのに対し、18インチのGRスポーツは硬さがあまりない。

電動パワーサーボ式のブレーキによる最適な前後配分の制御に加えて、AVSの装着されるZXとGRスポーツは、よりフラットな姿勢を実現しているのも特徴だ。

さらにGRスポーツはオフロードでも前後スタビライザーのロックとフリーを自動的に切り替えるE-KDSSが効いて、モーグルでも足がよく伸びて車体の揺れが小さく、専用足まわりの効果もあいまって一体感のある走りが楽しめる。他のグレードとは明らかに違い、ロールもかなり抑えられていて気持ちよく走れる。おかげで荒れた路面を走り続けても、運転がしやすく、あまり疲れずにすみそうだ。

違いが歴然のGRスポーツ様々なシーンで能力を発揮

これはライバルたちとはちょっと違うなあ。進化の方向性が違う。

それが「300」を運転しての印象だ。ライバルたちとは、ランドクルーザー同様に世界各地でオフローダーとしても活躍する「メルセデス・ベンツGクラス」や「ランドローバー・ディフェンダー」のことである。

Gクラスやディフェンダーが近年の全面刷新で進化したのは主にオンロード走行性能だ。「悪路走破性は従来モデル以上」としつつ、舗装路におけるハンドリングや乗り心地を大きく引き上げられている。乗り味がかなりオンロードカー寄りになったのだが、それは、今どきのSYVの使われ方をみれば当然ともいえる流れだ。

しかし「300」はそうではない。運転して感じたのは、舗装路での走りにもオフローダーとしての血筋が色濃く受け継がれているということ。

乗り心地は路面からの極めて細かい突き上げと上下振動があっていかにもラダーフレーム車らしいし、ロールが多めでおっとりとしたハンドリングも伝統的なクロスカントリーモデルの味を継承している。これぞ真のオフローダー。「300」の乗り味はそう実感できる。

GRスポーツは「300」のトップグレードで、他にはない特別装備と、凝りまくりのサスペンションが自慢だ。E-KDSSと呼ぶ機構によりオンロードではサスペンションストロークを縮めてロールを抑える一方、オフロードではストロークを拡大してタイヤが路面をしっかり捉える足まわりを自動制御。その効果は大きく、通常モデルよりも舗装路は車体の落ち着きが増してキビキビ走れるし高速域の安定感も向上。オフロードではタイヤの接地性能が高まり悪路走破性を引き上げてくれる。オンロードから険しいオフロードまで能力を発揮できるシーンの幅広さが見事だ。

エンジンは、好みに応じて選べばいいだろう。ディーゼルエンジンは、わずか1600回転で71.4kgf-mもの極太トルクを発生させるのが自慢で、発進加速から2.5トンという車両重量を感じさせないほど力強く、とにかく扱いやすい。そして速さも十分。

いっぽう6000回転手前までキッチリと回るガソリンエンジンは力強い上に、マルチシリンダーのエンジンらしく感触は繊細。高回転域まで回す気持ち良さがある。音も静かで速さも格別。

ドライバビリティを重視するなら、高回転域の盛り上がりを楽しめるガソリンエンジンの方がいい。一方、コストパフォーマンスや普段使いでの扱いやすさを考えれば、ディーゼルエンジンが魅力的だ。

TOYOTA・ランドクルーザー比較試乗 まとめはこちら

TOYOTA・ランドクルーザー購入ガイドより

[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]

伝統のラダーフレームに世界初のE-KDSSも搭載、「トヨタ・ランドクルーザー300」は過酷な状況下でも最高の走りが可能

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