当時欲しかったあのクルマをプレイバック! 【トヨタ・プリウスアルファ(40系前期)編】

5人乗りと7人乗りを用意! トヨタ・プリウスα(2011年5月〜2014年11月)【当時は高嶺!? いま気になる中古車の新車当時レビュー】

クルマ選びで迷うことのひとつが、新車か中古車のどちらを選ぶか。新車であれば、最新の機能を体感できるうえ、購入時にある程度自分好みにオーダーすることも可能。しかし現実的な予算を考えると厳しい場合も。一方、予算的にグッと抑えられるのが中古車だ。年式やクルマの状態によって金額は変わってくるが、新車当時買えなかった憧れのクルマが手の届く可能性もある。そこで、いま狙ってみたいクルマが登場した当時の仕様、そして試乗レポートをプレイバック。今回はトヨタ・プリウスアルファ(40系前期)。主要諸元表付き! 全長・全幅・全高、室内長、車重、最高出力や最小回転半径、乗車定員をはじめ、燃料タンク容量までわかります。

2つの個性が走るスペース系ハイブリッド

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TOYOTA/PRIUSα
トヨタ/プリウスアルファ(40系前期) 2011年5月発表

正式発売前の時点で2万5000台。5月末には4万台オーバーの受注。今からだと納期待ちが10カ月とも1年ともいわれ、のっけから強烈な人気ぶりをしめしているプリウスα。

あらためて近年のハイブリッドカーに対する関心度の高さを見せつけられた感があり、試乗前から期待度は高かった。

ハイブリッドシステムはプリウスと同じ1.8Lエンジン+モーターのTHSⅡであり、パワースペックもまったく同じ。一方でプリウスに比べてボディは大きく、重量は約100㎏重く、空力も若干劣るといった具合に、走りの上では不利になる要素を抱えている。

走り出してみると絶対加速を比較してしまうと厳しいものの、ボディ重量を苦にすることはなく、タウンから郊外、高速巡航まで過不足のない快適なドライブが楽しめる。

また、バッテリーの充電状態が良ければ、ゼロ発進からのEV走行ももちろん可能。動き出しのアクセルを緩やかに踏み込めばスルリとクルマは動きだして60㎞/hまでの走行が可能だ。

とはいえ、プリウスとは同じTHSⅡでありながらフィーリングはかなり異なる印象がある。主に発進加速や中間加速、高速での追い越し、合流加速といった強めの加速を求めたシーンで顕著に感じられるのだが、これはおそらくボディ重量の差に起因した制御の違いと思われる。

プリウスだと加速時のフィーリングが、エンジン4対モーター6といった程度にモーターアシストの加速感が強く感じられることが多いのだが、プリウスアルファではエンジン5対モーター5程度の体感度であることが大半だ。

けして耳障りではないが、エンジン音が思ったよりも耳に届くことも影響しているかもしれない。いってみればプリウスは、モーターの加速感がある種のハイブリッドカーらしさをドライバーに感じさせてくれるが、プリウスアルファはそういった特徴は感じにくく、良くも悪くもハイブリッド車に乗っている感覚がプリウスよりも希薄だ。

10・15モード31㎞/ℓ達成!優れた燃費性能はプリウス譲り
今回試乗したグレードは、5人乗りが「S“ツーリングセレクション”」と「G」。7人乗りが「G“ツーリングセレクション”スカイライトパッケージ」と「G」の計4タイプだった。

5人乗り仕様と7人乗り仕様とではバッテリーの種類と搭載位置が異なっている。そのためボディバランスの違いなど走りへの影響があるのではと思ったが、前後重量バランスは5人乗りと7人乗りでほぼ同等とのこと。

足まわりも両車共通だが、タイヤサイズ(16インチと17インチを設定)の違いに応じてダンパーの減衰力は異なるチューニングが施されている。

もっとも好感度が高かったのは5人乗りの「S“ツーリングセレクション”」。全体に走りの軽快感があり、標準の17インチタイヤによる走り、ハンドリングと乗り心地のバランスがもっとも良好に感じられた。

同じ17インチでも7人乗りの「G“ツーリングセレクション”スカイライトパッケージ」では、「S“ツーリングセレクション”」のような軽快感は薄く、乗り心地は全般に突き上げ感が強めに感じられた。こちらの方が、ボディ重量が30㎏重いことや、パノラマルーフによるボディ剛性(厳密には標準ルーフよりも劣る)の違いなどの影響かもしれない。

最上級グレードであることを考えると、もう少しマイルドな乗り心地や本来の上質感が乗員に判りやすく伝わるような乗り味が欲しかったように思う。なお、5人乗りの「G」、7人乗りの「G」はどちらも16インチを履いていたが、17インチ車よりも全般に当たりの柔らかい乗り心地になっている。

ハンドリングは予想以上に良好だ。応答性はマイルド傾向だがダルさは皆無。直進時の操舵感や走行フィールから察すると、思った以上に安定感のある気持ちの良いロール感を示してくれる。これは路面の凹凸に応じてモータートルクを制御することでピッチングを抑制するという新採用のバネ上制振制御の恩恵が少なからずあるようだ。

この制御による走行中の違和感はまるでない代わりに、通常走行時にはその仕事っぷりがわかりにくいのだが、どうやら全域を通じて制御が効果的に働いているらしい。

横方向の広さと、プリウスよりやや上の車格感が感じられるキャビンは、後席の広さも充分に感じられる快適な空間が広がる。

5人乗りの後席シートは、乗り込む際にラゲッジの広大さも目に飛び込んでくるせいか、より以上に広く感じられる。ヘッドクリアランス、レッグスペースともに余裕たっぷりだ。

7人乗りの3列目は見た目からして広くはない。だが、いざ座ってみると身長175㎝程度の乗員なら許容してくれる。丈の短いスカートやヒールの高い靴などでは少々苦しい座面高だし、リクライニングを倒すとヘッドクリアランスが苦しいものの、無理に背もたれを倒さなくても窮屈でない角度だし、2列目シート下につま先が入るのも有り難い。
ハイブリッドシステムはプリウスと同じ1.8ℓエンジン+モーターのTHSⅡを搭載する。プリウスより100kgほど重いが10・15モード燃費で31km/ℓを達成した。

水平方向に広がるインパネでワイド感を強調したコクピットデザイン。インパネシフトやスターターボタンなどにはシルバー加飾が施されている。


ナビ画面には「ESPOエコドライブ情報」や「エネルギーモニター」を表示。エコドライブをアシストする。

セカンセカンドシートは5人乗り/7人乗りともに6:4分割可倒機構、180mm/12 段階のシートスライド、最大45度のリクライニング機構を採用する。

7人乗サードシートは5:5分割可倒式、最大33度のリクライニング機構、チルトダウン格納機能を装備。3点式シートベルトも採用された。

モデルバリエーションはスペック表のとおりだが、5 人乗りと7 人乗りでエクステリアデザインの違いはない。

7人乗り

5人乗り
フル乗車時のラゲッジ容量はアンダートレイも含め5人乗りで535ℓ、7人乗りで200ℓとなる。それぞれの荷室長は985mmと375mmと大きく異なる。

7人乗り

5人乗り
サードシートのある7人乗りはコンパクトなリチウムイオン電池をセンターコンソールボックス内に搭載。5人乗りに比べ前後方向に長く、ボックス容量もかなり少ない。これに対し5人乗りでは、プリウスと同じニッケル水素電池をラゲッジフロア下にレイアウト。

※記事の内容、価格、スペック等は2011年5月のデビュー当時のものです。その後の一部改良等で変更になっている可能性もあります。

※スタイルワゴン2011年6月号より

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