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世界でも類を見ない2000万円級ミニバン
レクサスLMは、レクサスブランドとして初のミニバン。ベースは現行型30系アルファードで、現時点では中国をはじめ、アジア、東南アジアで販売されており、日本国内は未発売だ。
中国でのグレードはハイブリッドのLM300hのみ。それぞれに4人乗りと7人乗りが設定されていて、販売価格は、7人乗りが116万6000元(日本円で約1980万)、4人乗りが146万6000元(日本円で約2490万円)。
国によって、設定グレードは異なり、例えばタイではLM300hの7人乗りのみ、香港では3.5Lガソリン車のLM350で4人乗り&7人乗りが販売されている。
2019年3月29日 お披露目前にティザーカットを公開
2019年3月29日、LEXUSの中国部門が写真1枚を公開し、4月16日より開催する「上海国際自動車ショー」にてレクサスの新しいモデルをお披露目することを伝えた。この写真を見てもまだミニバンというイメージは湧かなかったが、続いて4月9日に新たに出したティザーカットで、ミニバンであることが判明した。
4月9日のリリースでは、まったく新しい、高級MPVで、LS(セダン)、LC(クーペ)、LX(SUV)、LY(ヨット)に続く、5番目のフラッグシップモデルであることを発表した。
ティザーカットで見たシルエットは明らかにアルファードそのもの。ボディサイド全体に渡る加飾パネルが印象的で、LEXUSのデザインフィロソフィーとされるL-Finesseを思い起こさせる。
ワールドプレミアは2019年4月の上海国際自動車ショー
4月16日から開催されている上海国際自動車ショー(上海モーターショー)にて、世界で初めてお披露目されたレクサス・LM。レクサスにおいて車名に“L”が付くのは最上級の証。まずはお披露目ということで、実車では内装は公開されなかった。
日本国内でも様々なカスタム想像が広がる
晴れてお披露目されたLEXUS LMだが、日本国内での販売予定はなし。
とはいえ、日本はミニバン大国。そしてミニバンをカスタムする文化も根付いている。上海国際自動車ショーでのお披露目を機に、スタイルワゴン本誌での妄想カスタムをはじめ、多くのパーツメーカーが国内販売への希望や海外需要を見据えてCGを作成してきた。
正式発売は2020年2月24日
当初より、レクサスLMの販売は中国からスタートし、アジアの一部地域のみを予定。そのため現時点でも日本国内のレクサス公式サイトには一切情報がない。
正式な発表はレクサス中国の公式サイトで行われた。発売日は2020年2月24日。
中国での販売価格は、7人乗りが116万6000元(日本円で約1980万)、4人乗りが146万6000元(日本円で約2490万円)。
高級ミニバンと言われてきたアルファード&ヴェルファイアと比較しても、驚くほどの高額だが、中国でも高い人気を誇るアルファード&ヴェルファイアの車両価値も驚くほど高く、アルファードの新車価格が1000万円超えという実状を考えると、レクサスLMの金額も妥当!? と思えてしまう。
レクサスLMと30系アルファードとのスペック比較
レクサスLM300h(中国仕様) | 30系アルファード (日本仕様) | |
全長×全幅×全高(mm) | 5040×1850×1945 | 4945×1850×1950 |
ホイールベース(mm) | 3000 | 3000 |
トレッド(mm) | 前1600/後1595 | 前1600/後1595 |
最小回転半径(m) | 5.6 | 5.6 |
車両重量(kg) | 2290 | 2240 |
最低地上高(mm) | 170 | 165 |
タンク容量(L) | 58 | 65 |
エンジン型式 | 2AR-FXE | 2AR-FXE |
エンジン種類/総排気量(L) | 直列4気筒/2.494 | 直列4気筒/2.493 |
エンジン最高出力(kW/r.p.m) | 86/4700 | 112/5700 |
エンジン最大トルク(N・m/r.p.m) | 198/2800〜4000 | 206/4400〜4800 |
モーター最大出力(kW) | 前105/後50 | 前105/後50 |
モーター最大トルク(N・m) | 前270/後139 | 前270/後139 |
中国国内でのデリバリーは!? 2020年3月時点
2020年2月24日、中国での正式発売に至ったが、新型コロナウイルスの影響もあり、中国国内でのデリバリーは遅れていたか。
上海在住のクルマ・カスタム事情に詳しいT氏によれば、2020年3月半ばの時点では、レクサスディーラーのショールームにはまだ並んでいなかったとのこと。当然街中でも見掛けていないそうだ。
しかしながら、中国内でクルマ業界の情報交換をするグループチャットでは、これはLMでは?と思わせる画像もちらほら。確証がないのでなんとも言えないが、アルファードをLM化している可能性もあるとT氏。
2020年6月時点に納車は始まっていた
世界的な新型コロナウイルスの影響により、中国ではレクサスディーラーそのものが休業状態になっていたそうだが、2020年5月下旬からは休業規制も解除。現地でフリーライターとして活動する丁(てい)氏に、レクサスショールームでの話をレポートしてもらった。
「スタッフの話によると、発売前から事前予約されていたお客様がいたそうで、2020年6月時点で5台納車したそうです。上海にはレクサスディーラーが7店舗ありますが、LMは展示車両がどこの店舗にもありません。
生産台数が限られているようで、今回はお客様に納車前のクルマを運良く撮影することができました。またレクサスLMは、すべて日本で作られているため、注文から納車まで、最低でも4カ月はかかるそうです」と丁さん。
そんなLMが、早くも中古車市場で話題を集めているとか。
「走行距離が数キロ程度の、いわゆる"新古車"なのですが、車両価格が3000万円前後(当時のレート)。新車価格が4人乗りのロイヤルカスタムで2340万円(当時のレート)ですので、少々異常な状態です。
これはレクサスそのものが中国で高い人気があるから。そもそも中国の富裕層にとってレクサスは"メイドインジャパンによる本物の高級車"であり、成功者の証。少しでも早く現車が欲しい人にとっては、高値でも手に入れたいということだと思います」。
日本国内に並行輸入でLMがやってきた! 2020年8月時点
日本国内では、様々なカスタムショップが、アルファード→LM化の手法、純正パーツの流通経路を模索している中、突如現れたホンモノのレクサスLM。神奈川県厚木市のクラリスが、台湾から輸入。
左ハンドル仕様かつ、中央のディスプレイに表示された「電瓶」「資訊」といった中国語がホンモノの証だ。
「発表当時からレクサスLMにはとても興味がありました。金額は別として、クルマとしてかなり魅力的。中国で発売されたのを聞き、なんとか日本へ輸入するルートがないか情報を集めました。色々なコネクションを通じ、ようやく台湾から輸入できるルートを確保できました。基本的にはご希望のお客様へ販売することを前提に考えています」と、クラリスの宮内社長の当時のコメント。
並行輸入されたLMは、4人乗り仕様のロイヤルエディションで車両価格は2580万円!!
2020年夏 エイムゲインがアルファードのLM仕様を実現!!
「レクサスLMの純正パーツが入手できるかもしれません。アルファードのLM化にチャレンジしますので、一緒に検証しませんか?」。広島県のカスタマイズメーカー、エイムゲインよりスタイルワゴン編集部に頂いた1本の電話。
車両そのものが国内で販売されていないため、日本国内のレクサスディーラーでLMの純正部品を入手することは基本できない。エイムゲインでは、独自のルートでなんとか入手にこぎつけた。
エイムゲインに到着すると、ピットで出迎えてくれたのは紛れもなくレクサスLM。しかもエアサスによってローダウンされ、足元には存在感を主張するホイールとブレーキキットが装備されている。アルファードのレクサスLM化成功だ。
レクサスLMの発表当初、基本的なプラットフォームはアルファードと言われていた通り、すべてのパーツがボルトオンで取り付け可能だったそう。
「レンズ形状は異なりますが、バンパーやボンネットなどのサイドパーツを一緒に交換すれば問題ありません。固定するネジ位置なども同じ場所なので、新たにネジ穴を設けるといった必要もなかったですね。作業にほぼ丸一日かかりましたが、思ったよりもスムーズにできました」と、エイムゲインのスタッフ。
アルファードのLM仕様、完遂である。
30系アルファードとレクサスLM純正パーツの比較
レクサスLM純正パーツの移植を徹底検証!
エイムゲインが実現した30系アルファードのレクサスLM化。基本的に大きな加工はないとのことだが、交換すべきパーツが膨大。簡単に実現できるわけではない。また、作業の大変さももちろんだが、ネックはLM純正パーツの入手。この時点では、エイムゲインでも安定したパーツ入手ができず、LM化の作業は受け付けていなかった。
画像が登録されていません▼▼フロント▼▼
固定用クリップが多く脱着作業がかなり難解
アルファードに比べ全長が長いレクサスLM。実際ボンネットが長く、フロントバンパーの位置も若干前方向へ伸びている。それでも各パーツを固定するステーやネジ穴を共有できるので、取り付けに問題はなし。ただしアルファードの純正グリルを固定しているピンの数が膨大。ひとつずつ外す作業がもっともきつかったとのこと。
▼▼サイド▼▼
純正とのボルトオン交換作業もスムーズ
サイドステップの交換は、プロショップのスタッフにかかればあっという間。基本的には純正との付け替えで、メッキガーニッシュ付きのレクサスLM 仕様になる。今回、時間の都合で作業しなかったが、ウインドウ下へ設置する専用のメッキガーニッシュも、ほぼ問題なく装着できそうだ。
▼▼リア▼▼
リアゲート部の交換は固定ビスが多く少々難
リアバンパー、コーナーパネルの交換も必要となるテールレンズの移植。もっとも厄介なのがリアゲート部分の付け替え。ゲート内側で固定されているレンズとメッキガーニッシュを取りはずし、レクサス純正パーツに付け替える。ヘッドライト、テールランプともにカプラーオンでは点灯せず、配線処理等が必要になる。
2021年はアルファードLM仕様がブームに その相場は?
エイムゲインが30系アルファードのLM化を実現させた後、多くのメーカー、プロショップ、コンプリートカーショップなどが、LM化を実践。
エイムゲインではいち早くLM化のためのパーツ販売やLM化コンプリートカーの販売をスタートさせたが、他のメーカー・ショップも追随。
2021年は、LM仕様が空前のブームとなっている。LM化のみではなく、カスタムも人気。
ベース車はアルファードなので、車高調キットやエアサスなどのローダウンパーツは選択肢が豊富。ホイールも大小様々なサイズが選べる。
気になるレクサスLM化にかかる金額だが、パーツ代・工賃含めての相場は約300万円から。金額だけ見ると高価だが、そもそも日本で販売されていないためパーツ入手が困難。かつ中国での販売価格が約2000万円からと考えると、まあ納得。
次期アルファードがデビューした際、現行モデルをベースとしたレクサスLMがどうなるのか、LMも新型が出るのか、そして日本への導入は?と気になることは多いが、まだまだ現実味のあるウワサもないので、しばらくはLM化ブームが続きそう。