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アップスプリングだけでも十分スタイルは決まる!
唯一無二の〝オフロード系ミニバン〟として君臨するデリカは、サスペンション系カスタムも独特だ。一般的なミニバンでは車高は下げる、つまりローダウンが全盛となっているが、デリカでローダウン派は逆に珍しいともいえる。多くのユーザーは純正のままとする車高キープ、またはリフトアップの〝アゲ〟で楽しんでいる。
車高イジりはスプリングやショックアブソーバー(ダンパー)という、足まわりを構成するパーツを交換するごく一般的な方法のほか、よりハードにリフトアップさせる場合はボディとサスペンションまわりを支えるメンバーの間に専用ブロックなどを噛ませる、〝ボディリフト〟と呼ばれる本格四駆車などでも行われているカスタムを実践するケースもあるが、これはリフトアップ経験者など、一定のノウハウがあるハイエンドユーザー向けといえる。
もっともオーソドックスな1インチ(2.54㎝)程度のリフトであれば、スプリング交換のみで済むなど、比較的簡単に挑戦できるため、まずはそこからアゲライフを楽しんではどうだろう。
(程度にもよるが)車高を変えた場合に起こりえる、例えばダンパーのストローク不足やスタビのロアアーム干渉、乗降性の悪化などといった、乗り心地や運動性能、実用性に影響する変化にも注視する必要があるが、このあたりはプロショップが詳しいノウハウを持っているので相談したい。
アゲ/純正/サゲ、それぞれを比較してみました!
アゲるか、サゲるか!? 純正と比べればその違いは歴然だ。アーバンギアは純正でエアロが備わるためローダウンフォルムでもまったく違和感がないが、デリカD:5カスタムの主流である標準車では意見が割れている。人気は純正キープか、リフトアップだが、あえて“標準車でローダウン”というハズシを楽しむのもアリかも!?
純正のサスペンション形状を確認!
純正サスはフロントがダンパーとスプリングが同軸上にある「ストラット」、リアは両者が別軸に配置された操縦安定性の高い「マルチリンク」と、前後ともに独立懸架式だ。オフロード系ミニバンとはいっても、そこはファミリーカー。悪路走破性も意識しつつも、左右輪が車軸で連結された本格四駆車ほどのゴツい構造とはなっていない。車高の変化は、そのうちのスプリングの交換から可能ととてもシンプル。
サスイジリには「型式確認」がとくに重要!!
サスペンション系パーツを選ぶうえで、注意すべきはその対応。新型は純正ダンパーが変更されるなど、新旧は似て非なるものとなっているので、対応確認は必須。新型は「3DA-CV1W」。同じ「CV1W」でも「LDA-CV1W」は旧型。注意が必要だ。
スタンダードな手法からハードカスタムまで、アゲ方はいろいろある
(1)コイルスプリングの単純交換でまずは手軽に1インチアップ!
もっとも手軽なインチアップ法が、前後サスペンションにあるコイルスプリングを社外品に交換する方法だ。純正スプリングよりも長くて巻数の多いスプリングに交換することで、長さと反発力の分、車高が上がるという仕組み。リフト量はメーカーにより若干の差があるが、おおよそ1インチ(2.54㎝)前後。まずはアゲてみたいという、リフトアップビギナーにも最適だ。ちなみに1インチであっても、リフトアップによりキャンバーは変化する。その補正用ボルトやアジャストアームが付属する、より本格的なメーカーも一部にある。
(2)スプリングとダンパー同時交換“車高調”にもアゲ専用品が!
コイルスプリングの交換だけでなく、それ専用に開発されたダンパーを同時に交換できる手法は乗り心地の観点からも注目したい。2通りあり、まず「車高調」は(全長式では)ブラケット部の調整で車高をイジれる、ローダウン系でも人気の手法。微妙なセッティングにも重宝する。もう1つは、調整機能のないダンパーとスプリングに交換する「純正形状タイプ」。ともに減衰力と呼ぶ硬さ調整が任意でできるモノが主流と、乗り心地も自分好みにセッティングできる。ローダウン専用との買い間違いに注意。
(3)4、5、6インチとアゲるには。車体をアゲるボディリフトを!
アップコイルでリフトできるのは1インチが限界とされ、それ以上リフトさせたい場合は、ハードルの高いボディリフトを利用するのが手。ボディリフト用に開発したブロック(スペーサー)を、車体とサスペンションメンバーの間に挟み込んで強制的にリフトさせる上級技だ。デリカ界ではハートランドのキットがとくに有名。ボディリフトの見過ごせないメリットは、通常干渉してしまい履くことができない265などのワイドトレッドが履けるようになること。そのあたりのノウハウ含め、まずはショップに相談を。
(4)最近人気のアップスペーサーって?
スプリングだけのリフトアップでは純正ダンパーのストロークが、少なからず犠牲になる傾向があるが、純正ダンパーとスプリングを維持したままリフトアップできるスペーサー(ブロック)キットもある。ボディリフトほどハードではなく、純正ダンパーのトップに噛ますことで車高を強制的に上げることが可能。純正ダンパー、スプリングが継承されるため、乗り心地変化も少ない。荷室にいろいろな荷物を積んだ際に起こりえる尻下がりを解消するリア限定スペーサーや、リフトアップコイルへの換装によるダンパーストローク不足を解消するスペーサーもある。写真はアクト・オーバーテック製。
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[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]