全国各地でさまざまな実験が行われている!

先にご紹介したように「日本は自動運転で欧米に大きな遅れを取っているんじゃないのか?」という疑問については、「一概に、そうとは言い切れない」と思います。

なぜならば、日本ではさまざまな法改正を実施しながら、全国各地でさまざまな実証実験を行ってきたからです。確かに、その多くは実用化に至っていないことは大きな課題です。それでも、重要な実証実験では十分な成果を上げていることも事実だと言えます。

日本における自動運転では2025年を大きな節目として、それに向かって重要な実証実験が継続的に行われているところです。

さて、皆さんは、自動運転について大きく2つの種類があると考えてください。

ひとつは「オーナーカー」、もうひとつが「サービスカー」です。これらは、国が自動運転の技術や法律について考える際に使う名称です。

「オーナーカー」とは、乗用車や小型商用車を指します。こうした普通のクルマでは、高度運転者支援システム(ADAS)がベースとなり、より自動運転に近づいていくイメージです。

一方、「サービスカー」と呼ばれるバスやタクシーなどの公共的な乗り物の場合、「オーナーカー」と比べると、バスの場合は走行ルートが決まっているなど、運行管理がしやすい状況では最初から自動運転の仕組みを導入することが考えられています。

今回は「サービスカー」での実証試験をいくつかご紹介します。

例えば、高速道路での大型トラックの隊列走行があります。隊列とは、同じ車線で複数の大型トラックが縦に連なって走る様子を指します。「電子的な連結」とも呼ばれるように、あたかも複数の大型トラックがひとつの動くカタマリになったような感じです。

つまり、高速道路に入るまでは各トラックが別のルートを走行してきても、サービスエリアやパーキングエリアなどでそれぞれが待ち合わせをした後で、電子的な連結での自動運転モードに入るというイメージです。走行の途中で、違う方向に向かうトラックは電子的な連結から外れてIC出口に向かうという流れです。

テストコースではかなり前から実験走行を成功させていたのですが、2018年1月にはついに公道走行を開始し、新東名高速道路で隊列走行した大型トラックが動き出しました。 

まずは、すべての車内に運転者がいる状態で走行しますが、段階的にレベルアップしていき、2025年には先頭の大型トラックだけ運転者がいて、後続の大型トラックの運転席には誰もいない状態で走行することを目指しています。つまり、後続の大型トラックの運転手は運手席にいない状態で横になって仮眠や休憩ができることになります。

また、先頭車は運転者が周囲を監視することを、条件によってトラックのシステムが肩代わりするため、運転者は運転席に座っていても周囲を監視するストレスがかなり減ります。仮に、隊列走行の間に別のクルマが入ってしまった場合、後続の大型トラックが安全に自動減速する方法などが研究されているところです。

次にご紹介するのは「ロード・トゥ・ザ・L4」です。「L4」とは、自動運転レベル4を指し、レベル4の早期実用化を進めようという国の施策です。

レベル4とは、クルマの運転はすべてクルマのシステムが行うもので、運転席に座っている人を含めて乗員には周囲を監視する必要がありません。ただし、レベル4では高速道路のみ、夜間のみといった一定の条件下で行うものです。

2025年には全国40カ所でレベル4サービスカーを実用化するべく、さまざまな準備が進んでいるところです。

皆さんのご近所でも、レベル4サービスカーに遭遇したり、またご自身や家族が利用することがあるかもしれません。

こうしたサービスカーで得られた技術的、または法的な知見がオーナーカーにフィードバックされるのです。

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著者PROFILE 桃田健史
1962年8月、東京生まれ。日米を拠点に、世界自動車産業をメインに取材執筆活動を行う。インディカー、NASCARなどレーシングドライバーとしての経歴を活かし、レース番組の解説及び海外モーターショーなどのテレビ解説も務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]