19年7月、スカイラインに搭載された「プロパイロット2.0」
自動運転技術を使ったADASで、多くのユーザーが強いインパクトを受けたのは「やっちゃえNISSAN」でしょう。矢沢永吉さんから始まり、現在では木村拓哉さんや松たか子さんが登場する一連のテレビCMです。
これは、自動運転のレベル2における「ハンズオフ」という機能です。日産の商品名としては、ProPILOT(プロパイロット)2.0(二ーテンゼロ)に組み込まれています。
日産によると、2020年12月時点で「高速道路のナビ連動ルート走行と同一車線でのハンズオフ機能の同時採用として世界初」でした。
その特徴は、高精度な3次元地図に基づくナビ連動型という点でしょう。高速道路の分岐や合流などの道路設計データを把握していることで、ハンズオフのままナビが誘導してくれるシステムです。
また、ProPILOT 2.0には、「車線変更追い越し支援」があります。これは、高速道路で前車に追従するACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)作動の状態で、前車との速度差があり、なおかつ追い越し車線の状況をクルマが安全だと判断すれば、自動で車線変更をすることをドライバーに提案してくる機能です。
こうしたレベル2による高精度な走行を可能にするには、車載センサーによる自車周辺360度センシングがベースにあります。カメラは7個、レーダーが5個、そしてソナー12個で常にデータを収集しながら走行しています。
一方、アクティブ・クルーズ・コントロールや車線を逸脱しないようなハンドル支援、そしてカーブの大きさに応じて自動で減速するなどのナビリンク機能を持ったProPILOTは、軽自動車からSUVまで日産の主要モデルに導入されています。
筆者は、日産がProPILOTを導入する前から、日産の実験車両で最新ADAS機能の進化を体験してきました。画像認識技術では、米インテル社が買収したイスラエルのモービルアイ社とかなり早い段階で連携し、最初は単眼カメラを活用したシステムの量産化を進めてきました。
こうしたインテル(モービルアイ)の技術は、欧米メーカーでも日産と並行して市場導入されたのですが、これらを乗り比べると、特にハンドル支援では”メーカーの個性”がはっきり出るように感じてきました。
例えば、初期のProPILOTでは、同一車線の中央付近でクルマの走行ラインを維持するように、やや強めにハンドル支援が作動した印象でした。それが、徐々に改善され、最新版では自然な感じでクルマが運転を支援してくれます。
著者PROFILE 桃田健史
1962年8月、東京生まれ。日米を拠点に、世界自動車産業をメインに取材執筆活動を行う。インディカー、NASCARなどレーシングドライバーとしての経歴を活かし、レース番組の解説及び海外モーターショーなどのテレビ解説も務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員
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[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]