上海モーターショーはBEVだらけだった

【これからどうなる自動運転】内燃機関の復権か!? 自動運転は「様子見」に

連載企画第6回/存在感を高めるBEVと自動運転の今【これからどうなる自動運転】
過去5回の講義で自動運転についての知識を深めてきた。そこで今回と次回は自動運転の総集編として、改めて気になる“キーワード”を解説。多くのクルマが獲得したレベル2から手の届くところまできたレベル3など、その全容を探る。

モーターショーの主役はもはやBEVが独占状態

自動運転って、本当のところこれからどうなるのだろう?そんなふうに思っている読者が少なくないのではないでしょうか。

 「なんだか最近、世の中はBEV(電気自動車)の話題が多いよなぁ」とか、「BEVに比べて、自動運転関連の話題のニュースはだいぶ減ったような気がするなぁ」といった声がSNS上で数多く見られると感じます。
こうした状況の背景には、何があるのでしょうか?

例えば、中国上海モーターショーでは、中国メーカーがこぞって新型BEVを出展し、また日系メーカーでもトヨタやホンダが、日本では未発表の新型BEVを中国市場専用車として初披露しました。

少し前の上海モーターショーではBEVはもとより、自動運転技術を前面に押し出したコンセプトモデルや量産を目指すモデルがいろいろ登場しました。それが今、完全に姿を消したとまでは言えませんが、BEVの存在があまりにも大きくなり、正直なところ自動運転はその陰に隠れているような印象を受けます。

欧州に目を移しますと、CO2排出量削減の厳しい規制の中で2035年には欧州域内で事実上、乗用車と小型商用車ではBEVまたは燃料電池車のみしか販売できないことで、欧州議会で合意し可決。ところが、ドイツがe–フューエルの利用も認めるべきとの要請を出し、結果的にドイツの意向が通ってしまいました。

e–フューエルとは、再生可能エネルギーを由来とする合成燃料のことで、これからコスト削減に向けて多くの課題があるとも言われています。結果的に、BEVや燃料電池車以外の内燃機関であるエンジン搭載車が2035年以降も欧州で生き残れる道が切り開かれることになったと言えます。

それでも、欧州のユーザーの関心は「いま乗っているウチのガソリン車もそのうち規制で乗れなくなるのか?」とか「BEVを買えと言われても、ウチの集合住宅じゃ充電インフラがまだないから、いちいち外で充電するのも面倒だ」といった声があるのも事実です。

BEVの場合、ユーザーにとって日々の生活に直結する話なので、国や地域の政治的な方針に関心が高いのです。

一方で、話が自動運転になると「いろいろ実証実験をやっているけれど、あれって、まだまだ先の話」とか「高級車の装備の話」といった印象が多いようです。

そんな欧州各地でも、自動運転に関するさまざまな実証実験が行われ、メルセデス・ベンツやBMWなどは自動運転レベル3の実需化に向けて着実に技術開発を進めているところです。

こうしたBEV優先で、自動運転の実用化についてのイメージが沸かないというのは、アメリカでも、東南アジアでも、そして日本でも同じような状況にあると思います。

過去10年間程で、技術的や法的な面で一気に進んだ自動運転の世界ですが、今は社会実装に向けた“様子見”の段階に思えます。

それでも将来的には、自動運転はユーザーにもっと身近な存在になる可能性は高いはずです。そのためにも、いま改めて自動運転の基本知識を知っておいても良いのではないでしょうか。

PROFILE 桃田健史
1962年8月、東京生まれ。日米を拠点に、世界自動車産業をメインに取材執筆活動を行う。インディカー、NASCARなどレーシングドライバーとしての経歴を活かし、レース番組の解説及び海外モーターショーなどのテレビ解説も務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員

これからどうなる自動運転 まとめはこちら

[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]

アリアらしい高品質感あるアクセントをエクステリアに

自動車メーカーが積極的に開発を進めているBEV化。今後その需要は間違いなく高まるだろう。そんなBEVをカスタムするエアロキット、用意してます!

【これからどうなる自動運転】中国はアンタッチャブル!?|第5回/日本と海外では異なる自動運転へのアプローチ 中国編

やはり、海外は日本より先に進んでいるのでしょうか。最新技術である自動運転については実際、海外は日本より高度な技術で、 しかも実用化が始まっているのでしょうか。今回はその背景をご紹介するのですが、どうも自動運転は『自動車業界の常識』が通用しない感じがします。なぜ、そんなふうに感じてしまうのか。国や地域、自動車メーカー、そしてIT系企業の動きをチェックしながら、その謎を紐解いていきましょう。

【これからどうなる自動運転】最上級EV「EQS」に搭載する先進運転支援システム「ドライブパイロット」による自動運転レベル3をアメリカで実用化|第5回/日本と海外では異なる自動運転へのアプローチ メルセデス・ベンツ編

やはり、海外は日本より先に進んでいるのでしょうか。最新技術である自動運転については実際、海外は日本より高度な技術で、 しかも実用化が始まっているのでしょうか。今回はその背景をご紹介するのですが、どうも自動運転は『自動車業界の常識』が通用しない感じがします。なぜ、そんなふうに感じてしまうのか。国や地域、自動車メーカー、そしてIT系企業の動きをチェックしながら、その謎を紐解いていきましょう。

キーワードで検索する

著者プロフィール

stylewagon 近影

stylewagon