住友ゴム工業: ゴム材料開発における解析時間を100分の1以下に短縮~トヨタ自動車の材料解析クラウドサービスを活用~

住友ゴム工業は、トヨタ自動車が事業化に向けて実証実験を進めているクラウド材料解析プラットフォームサービス「WAVEBASE (ウエイブベイス)」を活用し、データサイエンスを駆使することで、ゴム材料開発に重要な先端研究施設から得られるデータの解析プロセスを効率化し、解析時間を100分の1以下に短縮することに成功した。

「WAVEBASE」の活用にあたっては、住友ゴムで培ってきたゴムの材料解析における知見をトヨタ自動車と共有し、ゴムの材料解析に最適なプラットフォームのカスタマイズを進めた。住友ゴムは同サービスの継続利用を通し、AIやビッグデータをより効果的に活用することで創造的かつ生産性の高い研究開発環境を整え、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献する安全・安心な高性能タイヤ開発に繋げていく。

 住友ゴムでは、かねて大型放射光施設「SPring-8※1」、大強度陽子加速器施設「J-PARC※2」、スーパーコンピュータなど、世界水準の最先端研究施設を活用した材料開発を行ってきた。計測技術の進化※3や装置の高度化によって、短時間で大量のデータの取得が可能となる中、重要な情報になり得る材料中のわずかな変化に至るまで余すことなく解析することが求められるようになってきた。

 一方トヨタ自動車では、同社が持つ自動車に使われる材料開発のために培ってきたデータ処理技術を応用した、様々な材料解析サービスの展開を検討していた。

 そこで住友ゴムはMI(マテリアルズ・インフォマティクス)による解析力のさらなる向上と、研究開発のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目的とし、2020年6月よりトヨタ自動車と共同で実証実験を開始し、ゴム材料開発に重要な先端研究施設から得られるデータの解析プロセスを効率化することで、このたび解析時間を100分の1以下に短縮することに成功した。

ビッグデータ化に伴う課題

 今後住友ゴムでは「WAVEBASE」を活用し、最先端実験施設での現場でリアルタイム解析を行うほか、さまざまな実験室系分析装置で得られるデータを統合し、ビッグデータとして解析することで、研究開発の効率化・高速化・省力化に繋げていく。また従来は気づくことができなかった新たな着眼点を得ることで、独自の材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド フォーディー ナノ デザイン)」を進化させ、さらに安全性能と環境性能を備えたタイヤの開発を目指す。


※1 世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設(兵庫県佐用郡佐用町)
※2 最先端研究を行うための陽子加速器群と実験施設群(茨城県那珂郡東海村)
※3 住友ゴムと東北大学がゴム破壊のX線CT撮影の約1,000倍速化に成功~住友ゴムの新材料開発技術『ADVANCED 4D NANO DESIGN』がさらに進化~(2021年3月8日発行リリース)

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