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4社共同開発の背景
近年需要が増えている物流倉庫や、生産施設、商業施設などの建築工事では、工事の足場として多くの高車が使用される。元請会社は高車をレンタル会社から借り受け、使用会社を割り当てる配車と高車鍵の貸出し・返却業務を日々実施する。
竹中工務店は2021年に高車の位置や予約等を統合的に管理できる『高車管理』アプリを開発し、配車業務を効率化していたが、依然として鍵の貸出し・返却時の受取り・保管など、鍵管理には多くの時間が取られていた。このような課題を解決すべく、TOKAI RIKA Digitalkeyを展開する東海理化は同社のデジタルキー技術を用いて、建設機械や農業機械におけるノウハウを持つグループ会社の東海理化クリエイトと共に高車鍵のデジタル化を目指した。
システムの搭載
本システムは、建設現場への搬入前に高車の鍵部分に予め取付ける「外付けキーレスデバイス」と、建設現場内で『高車管理』アプリの予約機能と連動して解錠信号を送信できる「解錠システム」で構成される。「解錠システム」は、東海理化のデジタルキープラットフォームと、『高車管理』アプリの予約機能が連携しており、予約者のスマートフォンのアプリから Bluetooth 通信で解錠操作を行う。「外付けキーレスデバイス」は、高車に元からある鍵のシリンダー部分の外側に取付け、「解錠システム」からの信号を受け施解錠の制御を行うデバイスで、国内で流通している 22 種類の高車に取付けが可能。
実証試験の概要・効果
竹中工務店が施工する大阪市内の建設現場において、2022年の3月から4月にかけて実証試験が実施された。効果は以下のとおりである。
・ 元請会社の業務削減効果:30 分/日(高車鍵の管理が不要になるため) ・ 協力会社の業務削減効果:15 分/日(高車鍵の貸し借りに伴う鍵の受け渡しが不要になるため)
今後の展開
今回の実証試験の結果を受け、東海理化は、現在本システムの供給体制を構築しており、「外付けキーレスデバイス」はレンタルのニッケン、『高車管理』アプリと連動する「解錠システム」は朝日興産を通じて 2022年9月頃から全国の建設現場に提供を開始する予定としている。