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本実証実験の背景
舞鶴市とOSSは2019年4月に包括連携協定を締結。2030年を見据え、地方都市が外部環境に依存せず、自ら稼ぎ、安定した地域経済を実現する持続可能な社会を目指し、日本の地域の課題解決に取り組んでいる。舞鶴市とOSSは「社会と環境と経済が調和する持続可能なまちづくり(再生可能エネルギー自給率向上への挑戦)」を掲げ、太陽光発電・蓄電システムやEMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入など、省エネ・創エネ・蓄エネなどを組み合わせたトータルなエネルギーソリューションを活用し、舞鶴市の再生可能エネルギー100%のまちづくり実現への取り組みを推進している。
■ EVおよびV2H充放電設備について
EVと再生可能エネルギー発電設備を組み合わせることでCO2排出量ゼロの電力を利用することが可能。中でもEVからの充放電を行うためのEV用パワーコンディショナであるV2H(※1)充放電設備は、EVを蓄電池のように利用でき、再生可能エネルギー発電設備からの余剰電力を無駄にせず蓄えることができるため、災害時にはEVが電力供給源となり、平常時にも電気代削減効果が期待できる。
実施内容
今回の実証実験では、舞鶴市が公用EVを提供し、OSSにて舞鶴東体育館に新たにカーポート型太陽光発電・蓄電池設備およびV2H充放電設備を導入し、EMSによる定置型の蓄電池自動制御および「DriveKarte S(※2)」での車両予約管理が実施される。自然電力では開発・提供するアグリゲート・エネルギーマネジメント・システム「Shizen Connect(※3)」でのEV制御を行う。
これにより、再生可能エネルギーの自給率向上およびピークカットによる経済性の向上などを検証する。また、V2H充放電設備により、EVを蓄電池のように利用することで、太陽光発電設備からの余剰電力を蓄え、電力使用コストの削減、および災害時の電力供給源としてのEV活用が期待されている。
検証内容
本実証実験では以下の効果が検証される。
- カーポート型太陽光発電設備から舞鶴東体育館への給電による再生可能エネルギー自給率の向上
- V2H充放電設備利用による、電力使用量の多い時間帯でのEVに蓄えた電力を使用したピークカット実施と、電力使用コストの削減と再生可能エネルギー自給率の向上
- 定置型蓄電池の自動制御とV2H充放電設備の遠隔自動制御の共存によるエネルギーマネジメントの最適化
将来的には、地域単位で再生可能エネルギー発電設備や蓄電池・EVを制御することで、複数の分散された発電所をデジタル技術で制御・統合することで一つの発電所のように機能させるVPP(※4)の地域レベルでの実現が目指される。
※1. V2H(Vehicle to Home):EVへの充電だけではなく、EVから家庭へ電気を送ること。また、災害時にもEVから給電することにより普段と同じように家電等を使用することが可能
※2. DriveKarte S(ドライブカルテS):OSSが提供するスマートフォンアプリとクラウドを用いた安全運転管理サービス
※3. Shizen Connect(シゼンコネクト):自然電力が提供する再エネ発電設備や蓄電池・EV・EQなどのエネルギーリソースを集合的に制御するアグリゲート・エネルギーマネジメント・システム
※4. VPP(Virtual Power Plant):複数の分散された発電所をデジタル技術で制御・統合した仮想発電所