この小型CO₂回収装置は、広島市の複合機能都市「ひろしま西風新都」にある出力7,000kW級のバイオマス発電所に設置されたもの。同装置の回収能力は1日に0.3トン。設置面積は全長5m×全幅2mと、コンパクトで汎用性の高い標準設計をベースとしたモジュール化の実現により、製造工場からのトラック輸送と設置を短期間かつ容易に実施することができた。排ガスから回収されたCO₂は、構内の農業ハウスで利活用される。太平電業は、こうした完全自己消費型のカーボンネガティブ発電所の設置による地球温暖化防止・脱炭素化社会の推進を目指している。なお、発電所設備は三菱重工グループの三菱重工パワーインダストリー株式会社が2019年10月に納入したもの。
MHIENGは引き続き、独自の遠隔監視システムを活用した装置の運転支援サービス実証を顧客と実施する予定で、アフターサービス、運用・保守までの一貫したワンストップサービスによるお客様サポート体制の確立を図る。また今後は、小型CO₂回収装置のラインアップを拡充するとともに、導入・運転・維持コストの低減および納期短縮のメリットを追求、産業分野など比較的小規模な施設を中心に幅広く対応する。
三菱重工グループでは、エナジートランジションの事業強化に戦略的に取り組んでおり、CO₂エコシステムの構築はその中の柱のひとつ。CO₂を回収して転換利用や貯留を行うCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)は、カーボンニュートラル社会を実現するための有効な手段として注目されている。
MHIENGのCO₂回収技術について
MHIENG(当時、三菱重工)は、1990年から関西電力と共同でCO₂回収技術KM CDR ProcessやAdvanced KM CDR Processの開発に取り組んでいる。2022年6月現在、KM CDR Processを用いた商用プラントを14基納入しており、現在、さらに2基を建設中。MHIENGは、この分野における世界のリーディングカンパニーである。