公共施設や交通機関など、さまざまな場所に設置される防犯カメラや監視カメラ。人々の暮らしを見守るだけでなく、ビジネスの効率化やマーケティングの深耕にも寄与している。これらの膨大な映像データを目視で確認し解析することは大きな負担がかかるため、目視による解析の負担を軽減するべく、AIによる映像解析の発展が急速に進んでいる。
今般、商品化される「SATLYS 映像解析AI」は、東芝強みとしている映像・画像解析の技術に基づくものである。人物や物体の検出および追跡、骨格推定などの学習済み映像解析AIモデルをクラウドサービス(クラウドAPI)で提供されるほか、オンプレミス用SDK(ソフトウェア開発キット)でも提供される。東芝で検証されたAIモデルを使用することにより、新たなAIモデル開発が不要となり、AIによる映像解析機能をアプリケーションにタイムリーに組み込むことが可能となる。また、AIモデルがカメラに依存しないため、既設カメラの映像を活用することができる。
「SATLYS 映像解析AI」のAIモデル特長
- 人物/物体検出・追跡
映像内の人物や物体を検出し、対象物(人、自転車、車など)ごとに追跡。また、学習により新規の物体を検出・追跡させることも可能(学習機能は2023年春以降のリリースを予定)。 - 骨格推定
人物の関節点と顔の特徴点を推論する。推論を基に骨格を認識し、姿勢(体の向き)や視線(顔の向き)を推定する。 - 顔認識
顔領域検出、顔認証、顔向きを推論し、個人を世界トップレベルの精度で認識する。例えば、本人認証システムでの利用では、ひとり1枚の顔写真を登録するだけで、さまざまな顔の向き、暗いシーン、経年による顔の変化などにも対応し、個人を高速・高精度に認識する。 - カメラ間追跡
別々の場所で撮影された複数の映像から、人物の服装や持ち物の特徴から同一人物を認識。 - 群衆密度推定
映像内の人数を高速にカウントする。多数の人物(群衆)が写っている映像で人数をカウントする用途に適している。 - 行動認識
学習済みの定義された行動(「人が立っている」、「人が歩いている」)とは異なる行動(「転倒している」、「しゃがんでいる」など)を検知。
また、各AIモデルを単体または組み合わせてアプリケーション活用することで、次のようなユースケースが可能になる。
- 「施設ののぞき込み」、「特定の場所での徘徊」、「危険物(刃物等)の所持」など、不審または不自然な行動をする人物の検知
- ショッピングモールなど大規模な施設内で迷子になっている子供の探索
- 駅構内で倒れている人の検知
- 展示会ホールや野外イベントの密集度から混雑状況を推定 など