デンソー、高効率なSOFCを活用した工場におけるエネルギーマネジメントシステムの実証を開始

西尾製作所 ポケットパーク全景
デンソーは工場から排出されるCO₂ゼロを目指し、西尾製作所において工場におけるエネルギーマネジメントシステムの実証実験 を5月15日より開始したことを発表した。同社は2030年の長期方針で「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」をスローガンに掲げ、「環境」と「安心」分野における提供価値の最大化に取り組んでいる。

今回実証される工場のエネルギーマネジメントシステムは、デンソーが開発したSOFC(Solid Oxide Fuel Cell / 固体酸化物形燃料電池)を中心に、電気を工場に送電する蓄電池およびV2G(Vehicle-to-Grid / 電気自動車を「蓄電池」として活用し、電力会社の電力系統に接続し相互に利用する技術)ならびに太陽光発電パネルで構成され、新たに西尾製作所の「ポケットパーク」内に設置している。SOFCは水素を燃料として発電する装置で、太陽光発電と比べて天候に左右されることなく、安定的に発電することが可能。デンソーが開発したSOFCは、自動車用部品で培った熱マネジメント技術やエジェクターの燃料リサイクル技術※1が導入されたもので、世界最高レベルの発電効率65%を目指して開発されている。

西尾製作所では、工場の電力需要に応じて、太陽光発電による電力を貯めた蓄電池の充放電や、SOFCの発電量の制御を行い、より効率的なエネルギーマネジメントを目指した実証が行われる。実証開始時におけるSOFCの発電燃料となる水素は都市ガスから精製されるが、今後は社会動向に合わせて柔軟に変化させることができるよう、都市ガスとカーボンニュートラル燃料との混合利用やカーボンニュートラル燃料のみでの実証が目指される。なお、この実証で得た成果は、デンソー福島において導入される予定。

※1 利用できなかった燃料を、高温部内でも作動可能なエジェクターを用いて効率的にリサイクルする技術。

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