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受賞内容
対象製品:被削性に優れた冷間工具鋼「SLD-f」の加工事例
受賞内容:型技術協会主催 型技術協会賞「奨励賞」
受賞者:プロテリアル 特殊鋼事業部 植木 道男
製品概要
自動車骨格部品(プレス部品)においては衝突安全性の向上や軽量化のため、高張力鋼板(ハイテン鋼板)の適用拡大が進んでいる。使用されるハイテン鋼板は、より高強度・高硬度化していることから、
加工時に金型へ与えるダメージが深刻な問題となっているのが現状だ。また、サプライチェーン全体のリードタイム短縮が求められる中、開発・生産における準備期間の短縮化へのニーズも高まっている。
SLD-f は、ベラーグ※1を生成させやすい成分構成と、炭化物の微細化・低減によって、冷間ダイス鋼として一般的な SKD11 の標準切削条件の約 3.5
倍の高効率被削性を実現しており、顧客での切削加工速度の向上および金型加工時間の短縮に貢献。また、高い靭性を持ち合わせているため、金型として使用される際の耐久性や耐チッピング性にも優れている。さらに、高温焼戻しを施す場合でも安定した硬さが得られ、PVD処理※2時の寸法変化の抑制にも有効とされる。
※1 切削中に工具のすくい面に形成される酸化物系溶着物。ベラーグ形成で潤滑効果が得られ、工具の摩耗低減につながる。
※2 Physical Vapor Deposition(物理蒸着)の略。表面改質技術のひとつで金属材料にセラミックスの薄膜を生成させる加工技術。薄膜により材料の耐摩耗性、耐かじり性、滑り性向上、耐溶着性、耐熱性、耐食性など、さまざまな特性が得られる。