レゾナックの仮固定フィルムと、PulseForgeの光照射システムを組み合わせることで、半導体パッケージの高い歩留まりと生産性を実現する。 両社は、2026年内に本技術を量産プロセスへ導入することを目標として本提携を推進し、業界トップレベルのコスト効率を目指す。

AI(人工知能)向けなどの次世代半導体パッケージ※1は、2.5Dや3Dといった複雑な構造※2のため、その製造プロセスには、歩留まりと生産性の向上が強く求められている。仮固定材は、ウエハやチップをガラスなどのキャリアに一時的に接着し、さまざまな環境下で実施される加工プロセスを経た後、ウエハやパッケージとともにキャリアから剥離される。このため、仮固定材には、あらゆる加工プロセスへ適合することに加えて、残った仮固定材を容易に除去できることが求められる。

PulseForgeは、独自の高いエネルギーを出力できる光照射システム、およびガラスキャリアを保有している。これにより、ウエハやパッケージに熱や物理的な負荷をかけることなく、短時間でキャリアから仮固定材を剥離できる。さらに、「すす」のような異物が発生せず、環境負荷の低減にも貢献する。この独自技術は、一般的なレーザー照射による剥離と比較し、高い歩留まりと生産性を実現し、コストの低減に貢献する。

光照射による仮固定プロセスイメージ
ピールオフによる仮固定フィルム除去の様子

レゾナックは、このPulseForgeの光照射システムを用いた光剥離プロセスに適した仮固定フィルムを開発。本フィルムは、膜厚均一性に優れているほか、厚さ20 μmの超薄型ウエハにも対応している。また、本フィルムは、ウエハやパッケージから容易に除去できるため、洗浄プロセスを最小限に抑えることができる。

レゾナックは、本共創を支える光剝離プロセスに関する基本的な方法特許を保有している。レゾナックは、本共創においてPulseForgeが次世代プロセスを実現する上で独自の地位を築けるよう、この方法特許において使用される光源製品および当該光源製品を適用したデボンド(剥離)装置について、PulseForgeに対して独占的なライセンスを付与している。

【注釈】

  1. 情報量の増大に対応するため高密度化、高集積化した半導体パッケージ。2.5D/3Dヘテロジーニアスインテグレーション(異種チップの統合)やWLP(ウエハレベルパッケージング)、チップレット、HBM(広帯域メモリー)などの高度な技術を採用。
  2. 2.5Dは複数のチップをインターポーザーと呼ばれるシリコン基板上に実装する技術。3Dは複数のチップを積層する技術。