-米国プロテラ社との2つ目の協業を発表-

コマツ:坑内掘りハードロック向け鉱山機械を電動化

コマツは、今回、坑内掘りハードロック向けの鉱山機械の電動化の実現に向け、米国のプロテラ社よりリチウムイオンバッテリーシステムの供給を受ける協業契約を締結した。坑内掘りハードロック向けの鉱山機械であるバッテリーLHD(ロードホールダンプ)、ドリル(ドリルジャンボ)、ボルタ(ロックボルト打設機)の電動化開発を進め、21年度より順次試作機の完成、2022年度の量産開始を目指す。
メイン画像:プロテラ社のバッテリーを搭載したバッテリーLHDのイメージ

 気候変動への意識の高まりや環境問題の深刻化に対応するため、コマツは坑内掘り石炭(ソフトロック)向け鉱山機械の生産再編を進めると同時に、坑内掘りハードロック向け鉱山機械の開発については、「No Blasting(発破の必要がない掘削性能)、No Batch(バッチ処理をおこなわない連続掘削)、No Diesel(ディーゼル不使用)」というスローガンを掲げて注力してきた。

 プロテラ社は、商用車の電動化技術のリーディングカンパニーであり、世界の各分野の高負荷や商用の車両向けにバッテリーシステムと電動化技術を提供している。今回のプロテラ社との協業は、このスローガンを具現化する取り組みの一つであり、大気汚染や騒音を軽減することが期待される。特に、安全性と耐久性が重要視される坑内の採掘現場において、プロテラ社のバッテリーは特徴ある構造と制御技術により優れた性能を発揮する。

プロテラ社のバッテリーを搭載したドリルのイメージ

 コマツとプロテラ社は、中小型の油圧ショベルの電動化において、高性能バッテリーと周辺機器の提供を受けるとともに、実証実験の戦略的パートナーの1社として協業を開始しており、今回はそれに次ぐ2つめの協業となる。

 コマツは中期経営計画において、2030年目標として2010年比でCO2排出量の50%削減と、再生可能エネルギーの比率を50%とすることを掲げており、その延長として2050年までにCO2の排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルに向けた取り組みに関する長期ビジョンを新たに掲げた。また鉱山オペレーションにおける温室効果ガス(GHG)削減を加速するため、コマツの顧客である大手鉱山企業とともに「コマツGHGアライアンス」を発足させるなど、世界的な気候変動への意識の高まりが加速する中、積極的に取り組みを進めている。

 これまで培ってきたハイブリッド建設機械やバッテリー駆動式ミニショベルの技術も活かし、また今後は様々な戦略的パートナーとも協業を進めながら、顧客の鉱山オペレーションの変革の実現に向けて取り組んでいく。

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