5Gの次の通信規格である「Beyond 5G」が導入される2030年に向けて、生活のあらゆる場面で通信技術が活用されることによる通信量の大幅な増加や、多様化するネットワークへの要求に対し、人の手を介することなく、ネットワーク自体が自律的に対応していくことが必要となる。自律ネットワークは、人間のエンジニアのようにネットワークを管理できる人工知能(AI)をネットワークのシステムに組み込むことで、将来的にすべてのオペレーションをネットワーク自体が単独でこなし、多様なニーズにも自律的に対応できるモバイルネットワークである。
本研究開発において、OKI、名古屋大学、楽天モバイルは、ネットワークのオペレーションをこれまで以上に自動化するための自律ネットワークに関する基盤技術とその応用技術の構築を目指す。自律ネットワーク基盤技術と連携して周囲の環境に適応しながら移動できる自律移動ロボットを開発し、このロボットによる効率的な映像配信サービスやIoTサービス提供の実現を目指す。具体的な研究開発内容は以下の通りである。
実施内容
- 研究開発項目: 「協調型自律ネットワークの研究開発」
- 概要: 本研究開発では、協調型自律ネットワーク基盤技術の確立と、自律移動ロボットの連携による効率的な映像配信サービスやIoTサービスの実現を目指す。映像コンテンツの配信においては、従来のサーバーからのコンテンツ配信だけでなく、自律移動ロボット側で撮影したコンテンツを蓄積し、他の端末やサーバーに送信するなど、双方向のコンテンツ配信を効率的に行う(双方向CDN*制御)。三者はこれらの基盤技術・応用技術の確立に向け、それぞれ以下の研究開発を行う。
* CDN(Contents Delivery Network):大容量のデジタルコンテンツをインターネット上で効率的に配信するために、コンテンツを蓄積するキャッシュサーバーなどを配置した、最適化されたネットワーク - OKI:自律ネットワーク上で、自律移動ロボットやモバイル端末などが高画質映像を高品質で受信・送信できるよう、自律ネットワーク上の双方向CDN制御の研究開発を行う。
- 名古屋大学:自律移動のためのモジュールや、カメラ・マイク・スピーカー・ディスプレイ、ロボットハンドや録画用ディスクなど、様々なサービスモジュールを組み込み、必要に応じてネットワークに帯域などのサービス要求を行う自律移動ロボットの研究開発を行う。
- 楽天モバイル:CDNや自律移動ロボットを含む多様なサービスの要求に自律的に対応できるモバイルネットワークの実現に向けた研究開発を行う。
- 期間:2021年10月~2025年3月末(予定)
OKI、名古屋大学、楽天モバイルは本研究開発を通じて、自律ネットワークおよび自律移動ロボットを用いた新たなユーザー体験を創出し、日本の国際競争力向上に必要な通信技術の発展と「Beyond 5G」における新たなサービスの実現に寄与していく。