【海外技術情報】ダイムラー:メルセデスベンツが持続可能な未来に向けた変革として、ベルリン工場で軸方向磁束電気モーターの製造を開始

Der Mercedes-Benz Standort Berlin wird zum Kompetenzzentrum für Digitalisierung im globalen Mercedes-Benz Produktionsnetzwerk mit Fokus auf Entwicklung und Implementierung von MO360-Anwendungen sowie Standort für die Montage von Komponenten der E-Mobilität. Mercedes-Benz Berlin site to become competence centre for the digitalization of the global Mercedes-Benz production network by focusing on the development and implementation of MO360 applications as well as a location for e-mobility components assembly.
メルセデス・ベンツは、ベルリン工場で超高性能な軸方向磁束電気モーターを製造する。世界有数の高級車ブランドが、市場の状況が許す限り、2030年までにすべての自動車を電動化する準備をしているためである。ベルリン工場の変革により、メルセデスベンツは持続可能で排出物のない未来に向けて、デジタル化と電化のマイルストーンに到達するという。
TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

 ベルリン工場は、電気駆動部品を調達することで、将来に向けた新たな方向性を示し、製品ポートフォリオを拡大している。

 今夏、メルセデス・ベンツはイギリスを拠点とする超高性能電気モーターのメーカーであるYASAを買収したと発表した。これにより独自の軸方向磁束技術へのアクセスが確保されたため、開発と生産における垂直統合と価値創造が深まる。

 ベルリン工場のポートフォリオには、すでに電気駆動ユニットと、いわゆるEEコンパートメント(筆者注;最大12個のセルモジュールやパワーエレクトロニクスが一体設計されている)の組立が含まれている。

メルセデス・ベンツデジタルファクトリーキャンパスの内部。先駆的なMO360(Mercedes-Benz Cars Operations 360)ソフトウェアアプリケーションの開発、テスト、および実装のためのキャンパスの構築は進展している。

 さらに、先駆的な『MO360ソフトウェアアプリケーション』の開発、テスト、それに実装のためのキャンパスである『メルセデス・ベンツ・デジタル・ファクトリー・キャンパス』の構築が進展している。同所における最先端のパイロットラインが来年稼働する。これによりベルリンはメルセデス・ベンツのグローバルな生産ネットワークにおけるデジタル化のコンピテンスセンターとなり、『MO360エコシステム』における新しいアプリケーションの展開をサポートすることが可能になる。それと同時に、このベルリンのキャンパスは、MO360トレーニングと、資格認定センターとして機能する。

 ベルリンは、グローバルなトレーニングと資格取得活動のハブになる。生産ネットワーク全体の将来におけるトレーニングプログラムは、革新的かつ柔軟なデジタル学習プラットフォームを使用して、ベルリンで開発および実装される。さらに、資格取得活動のポートフォリオが再定義される。今後の資格には、デジタルネットワーキングのITスペシャリスト、データおよびプロセス分析のITスペシャリストが含まれることになる。

 製造スタッフに新たな機会を与えるように設計された新資格プログラムを導入することで、ベルリンのデジタル雇用プロファイルも調整された。製造スタッフはパイロットプロジェクトの一環として新たにデジタルジョブのトレーニングを受けており、変革の形成に積極的な役割を果たす機会を得ているという。

 メルセデス・ベンツ工場の変革は、従業員の代表と経営陣の間の相互協力のプロセスを通じて前進している。労使協議会と経営陣との間で結ばれた合意には、構造的措置と人的措置の両方が含まれている。現場の従業員の再訓練と資格取得に焦点を当てると同時に、退職やバイアウトを含む自然なスタッフの離職も活用する。雇用プロファイルに影響を与える構造的および人的措置を、社会的に受け入れられる方法で実施することに配慮している。

MO360-デジタルエコシステム

 生産のデジタル化は、メルセデス・ベンツが成功するための重要な要因である。デジタルMO360エコシステムは2020年に立ち上げられた。モジュール式で拡張可能なシステムの多くは、世界中に存在する約30のメルセデスベンツ工場で使用されている。『メルセデス・ベンツ・デジタル・ファクトリー・キャンパス』は、デジタル化のコンピテンシーセンターとして、来年以降、実際の稼働環境で、MO360ソフトウェアアプリケーションとコンセプトの開発、テスト、検証を推進する。そしてベルリンでテストされた新開発サービスをグローバルに展開して行く。MO360のハイライトは以下である。

・MO360の使用による生産効率の向上
・統一されたユーザーインターフェイスを備えたツールファミリーに組み合わされた、多様なツールを備える
・生産を組織するのに役立つデジタル製造現場管理
・集会を支援するためのデジタル労働者支援
・Quality Live(筆者注;メルセデスベンツが導入する品質管理システム)が品質を管理
・MO360データプラットフォームは、ITスキルに関係なく、担当分野のあらゆるデータにアクセスして分析するための基本的な基盤を労働者に提供する。MO360データプラットフォームは「生産のデジタルツイン」である。これはデータの民主化(筆者注;誰でもデータを活用できる、の意味)に貢献して、さらに人工知能と予測ツールの助けを借りることで、変革における従業員の資格取得をサポートする。

『メルセデス・ベンツ・デジタル・ファクトリー・キャンパス』は産学連携のフィールド

『メルセデス・ベンツ・デジタル・ファクトリー・キャンパス』は幅広いMO360ソフトウェアアプリケーションを備えており、新たなビジネスパートナーやアカデミアとのコラボレーションも目指している。大学、研究機関、革新的な企業が対象となる。メルセデス・ベンツとシーメンスは、2021年3月、ベルリン州の支援を受けて、自動車産業の持続可能なデジタル化と自動化に協力することを発表した。シーメンスは自動化、産業用ソフトウェア、インテリジェントインフラストラクチャの分野におけるリーディングプロバイダーである。同社とメルセデス・ベンツとは協力して、柔軟性が高く効率的、そして持続可能な自動車生産技術を開発する。

著者プロフィール

川島礼二郎 近影

川島礼二郎

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系…