サウンドレベルメータ及び音響校正器は、低速走行中の電気自動車やハイブリッドのような電動自動車に搭載された「車両接近通報装置」の接近通報音が適正な大きさかどうかを試験し、歩行者の安全を確保するための重要な計測器。今回NITEの認定を受けたリオンサービスセンターによって校正されたサウンドレベルメータ及び音響校正器を自動車メーカーが用いて接近通報音の試験を行うことで、試験結果の信頼性が向上する。
低速走行中の電気自動車やハイブリッド自動車のような電動自動車では、走行音が静かすぎるため歩行者がそれらの接近に気付きにくく、事故の原因にもなり得るため、人工的な接近通報音を発する「車両接近通報装置」の搭載について普及が進んできた。「車両接近通報装置」の仕様について以前は統一した基準がなかったが、国内では、2018年3月以降の新型車には「車両接近通報装置」の搭載が義務化され、接近通報音に対する基準が保安基準の中に明確に規定された。
この保安基準を満たし歩行者に対する安全性を確保するには、接近通報音が適正な大きさであるかどうかを確認する試験が重要であり、試験の際に用いられるサウンドレベルメータ及び音響校正器の正確さが重要な鍵となる。従来は、この試験で用いられるサウンドレベルメータ及び音響校正器の正確さは、自動車メーカー自身が保証していたが、近年、品質要求の高まりにより、電動自動車の海外輸出時には、ISO/IEC 17025※2に基づく認定を受けた校正事業者により保証されることが求められるようになった。
このような背景から、NITEは2021年12月3日、接近通報音の試験で用いられるサウンドレベルメータ及び音響校正器のメーカーの校正事業者として、リオンサービスセンター エンジニアリングビジネスユニットを、ISO/IEC 17025に基づき国内で初めて認定した。今後、同社が発行するサウンドレベルメータ及び音響校正器の校正証明書は、これまでよりも高い信頼性が確保されていることの証明となり、そのサウンドレベルメータ及び音響校正器の校正結果に基づいて自動車メーカーが実施する接近通報音の試験において必要とされる信頼性の確保に寄与する。また、電動自動車を海外に輸出する際には、校正証明書によって、ISO/IEC 17025で認定を受けた校正事業者により校正された計測器を用いていることが容易に証明され、試験結果及び電動自動車の受入れが加速されることが期待される。
※1:接近通報音の試験に用いるサウンドレベルメータの校正方法である、IEC 61672-3(電気音響-サウンドレベルメータ(サウンドレベルメータ)-第3部:定期試験)、及び、当該サウンドレベルメータを校正するための音響校正器の校正方法である、IEC 60942(電気音響-音響校正器)について、サウンドレベルメータ及び音響校正器のメーカーの校正事業者として国内で初めて認定。
※2:ISO/IEC 17025(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)