水素燃料で走行するFCEV 使いやすい室内で静粛性も◎

CR-Vといえば、ホンダ屈指の販売台数を誇るグローバルSUVだが、日本ではなかなか腰を据えて売ってくれない。

エクステリア

駆動用バッテリーや高圧水素タンクを擁する設計だが、最低地上高は170㎜を確保しているのはSUVらしさだ。フロントグリルは燃料電池機構などを冷やすため大開口となっている。最小回転半径は5.5m。

新しい6代目も北米では2022年に登場したのに……と思っていたら、24年夏についに日本でも発売された。ただ、それは燃料電池車の「e:FCEV」のみで、日本ではリース専用販売となる。

インストルメントパネル

10.2インチ画面のデジタルメーターは左側にパワー/チャージを表示、右側に速度計を置くのが基本レイアウト。ハニカムメタルパネルでエアコン吹き出し口を隠すデザインはシビックやZR-Vでお馴染みで、ホンダらしさを感じる。

CR-V e:FCEVは、ホンダとしては21年に販売終了したクラリティフューエルセル以来の市販燃料電池車となる。クラリティでの反省もあって、今回は世界的人気者であるCR-Vをベースに、17.4kWhの電池を搭載して、充電と水素の二刀流のエネルギーで走るプラグインハイブリッド車とした。これによって生産コストや使い勝手を大きく改善して、燃料電池車がより広く普及することを目指すという。

居住性

燃料電池スタックは米GMとの共同による完全新開発で、クルマ自体も北米で生産される輸入車となる。日本初見参となる新型CR-Vは、いかにもZR-Vの上級という印象で、内装の雰囲気は似るが、外観はより立派で押し出しが強い。床下の水素タンクのせいで荷室が大きく削られるが、室内自体は広く使いやすい。

うれしい装備

後席にはリクライニング機構が備わる。最大まで傾けると、オットマンが欲しくなるほどだ。後席用のエアコン吹き出し口が備わるのも美点。
駆動用バッテリーを充電する際は普通充電のみ(最大6.4kWまで対応)。充電ポートに、標準装備される外部給電器をつなげば家電を利用できる。
標準装備されるホンダコネクトナビに備わる水素ステーション検索機能は、リアルタイムで稼働情報などが更新されるのが便利。
月間販売台数             10台 (24年10月~25年2月平均値)
現行型発表     24年7月
一充填走行距離※WLTCモード  621㎞  

ラゲッジルーム

走りは純電動車らしい滑らかなもので、フル加速しても燃料電池に酸素を送り込むブロワー音がほとんど聞こえないのは、クラリティ時代から大きく進化したポイントだ。e:FCEVはさすが完成度も高く、社会的な意義もあるが、良くも悪くも特殊な存在だけに、今後は普通のCR-Vの国内発売も期待したい。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.167「2025-2026年 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。

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