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名門パーツメーカー各社の協力がRX-7の戦闘力を引き上げた
資金力に限りのある完全なプライベートチームながら、16年に渡って国内最高峰のJGTC〜スーパーGTでメーカーワークス勢と真っ向勝負を繰り広げ、見事シリーズチャンピオン(2006年)にまで登り詰めた“RE雨宮レーシング”。そんな偉業を達成したRE雨宮GT300マシン(2007スペック)のメカニズムを改めて振り返っていきたいと思う。(RE雨宮レーシングより抜粋)
レーシングクラッチ
小型軽量な作りで極限までレスポンスを追求したオグラクラッチ製のレーシングクラッチ。5.5インチ(市販は8インチ)というサイズが採用されている。コンパクトな分、伝達力を稼ぐためにディスクは3枚のトリプルプレート。レース中にクラッチ操作をするのがスタート時とシフトダウン時のみという、割り切った使い方だからこその設計とも言える。仮にこのクラッチをストリートで使用したなら、レーシングカー並のレスポンスが得られる反面、シビアな操作が要求される上、耐えうる走行距離も200kmほどだとか。
レース用と市販のRX-7用クラッチ(ORC559)を比較してみると、その違いは歴然。重量差も圧倒的で、ツインプレートのPRC559が12.6kgなのに対してレース用は7.6kgと、5kgも軽くなっている。
シーケンシャルミッション
前に押して1速、その後は手前に引くだけで2速、3速…とシフトアップしていくシーケンシャルミッション。RE雨宮RX-7が採用しているのは、英ヒューランド社のS-GTという6速&後退のモデル。許容出力は450ps/62kgmだ。50種類以上のギヤバリエーションが存在し、さらにドロップギヤというギヤ比を簡易的に変更できるパーツが3種類あるため、組み合わせは無限大だ。しかし、初めてのコースでもないかぎり、過去のデータからギヤ比は走行前に決定され、現場で変更することはない。
デフ&ファイナルギヤ
リジットマウントされたデフキャリアにスリックタイヤの強力なグリップ力…、LSDにかかる負担は想像以上だ。信頼性と確実なロック率が高いレベルで要求されるため、余程特別なモノを使っているのかと思いきや、RE雨宮RX-7のLSDは基本市販状態のOS技研スーパーロックLSD(レース用にカム角などは若干変更されている)を愛用する。
スーパーロックLSDは、スーパーGTでの過酷な使用条件にも十分耐える性能を保持しており、トラブルフリーでオーバーホールも年一回という優れものだ。ファイナルギヤは、ミッションでギヤ比セッティングのほとんどが済むため、使っているのは一種類のみとなっている。