「これがカスタムの頂点に立つR35GT-Rだ!」タイヤひとつにも神経を尖らせる魔改造スペック

問答無用の超絶カスタムGT-R

アップデートのポイントは足元のADVAN APEX V601!?

ホワイト&グリーンのグラデーションカラーで彩られたこのR35GT-Rは、東京オートサロンを始めとする数々のカーショーでアワードを総なめにしてきた超絶カスタムカーだ。

ベースは国内販売モデルではなく、日本に1台しか存在しないはずの中期北米仕様、つまり左ハンドルだ。これは、「カスタムはベース車選びから勝負が始まっている」というオーナーの矜持に基づいた選択に他ならない。

チルト式ボンネット同様、左右ドアの開閉アクションも逆開きのスーサイド方式に変更。アウタードアハンドルをフェンダーオーナメントの延長線上に配置しつつ、ドアのプレスラインも大幅に変更することで、違和感の完全払拭に成功している。

改造のスケールも完全に異次元レベル。日本を代表する名門エアロパーツメーカー“バリス”が展開するチョップドカーボン仕様のボディキット“マグナムオーパス”で武装したエクステリアには、さらにスーサイドドアやチルトボンネット等の超大技を連発。フィニッシュを飾るフルラッピングも完全オリジナルデザインだ。

ワンオフメイドのカーボン製オーバーヘッドコンソールには、オーディオのコントロールユニットとスピーカーを魅せるようにレイアウト。ミラー位置にはデジタルバックミラーを仕込み、その下段にハルテックのiC-7 OBD-II カラーディスプレイダッシュを吊り下げマウント。
シートアレンジも凄まじい。左右にセットされるロータス・エヴォーラ純正レカロは、シェルをカーボン加工(市販モデルとは異なる部位)&インペリアルミント塗装し、さらに表皮も一新。完全なオリジナルスペックへと生まれ変わらせているのだ。
リアシート位置に配備された4機のMBクォート製アンプは、マフラー職人によるチタンの手曲げステーによって固定される。
トランクルームも強烈。インテリアの意匠を受け継ぐようにカーボンパネルをセンターに這わせ、その左右にNXボトル(エアサス用)をシンメトリカルに配置している。

インテリアメイクにも手を抜かず、ワンオフメイドのオーバーヘッドコンソールを軸にしたカスタムオーディオ空間を展開。カーボンやチタン等のハイエンドマテリアルを巧みに使い分け、独特の近未来感を演出している点も見逃せない。

足回りはエアレックスのエアサスでセットアップ。ホイールはIMLAにオーダーしたワンオフのセンターロック式3ピース、その奥で存在感を主張するブレーキはインペリアルミントカラーで塗装されたレーシングブレンボだ。

そしてホイール&タイヤ。以前は21インチのサヴィーニSV-F6を履いていたが、トラックスタンス的な要素を強めるために、IMLAというメーカーにオーダーしたワンオフのセンターロック式20インチ(F9.5J+1 R11J+3)へとチェンジ。それに伴い、タイヤもミシュランのパイロットスポーツから横浜ゴムのADVAN APEX V601(アドバン エイペックス ブイロクマルイチ)へと切り替えた。

このAPEX V601は、元々、北米メインで展開されていたストリートラジアルだが、2023年から日本国内での販売を本格化。現在、トレンドセッターを中心に勢力を伸ばしているアドバンの強力な新戦力だったりする。

サイズは275/40R20と305/35R20(国内未導入サイズ)をインストールしているが「国産ブランドの安心感と、トレッドデザインのカッコ良さが決め手です。もちろんアドバンブランドなので、グリップレベルは想像以上に高いし、乗り心地もかなり良い。イメージは、ネオバAD09とアドバンスポーツの中間。サーキットレベルの尖った性能は要らないけど、絶対的な安心感が欲しいって人にはベストな選択肢だと思います。悩みは、これから間違いなくドレスアップ系で流行るタイヤだってこと。増えたら目立たなくなっちゃいますからね(笑)」と評価する。

カスタムを知り尽くした男は、タイヤ選択すらも妥協しないというわけだ。

サージタンクおよびインテークパイプをチタン製のスペシャルに変更し、機能美を前面に押し出すようモディファイされたエンジンベイ。出力はストリートでの使い勝手を重視し、ブーストアップの700ps仕様としている。

もちろん、動力性能についてもルックスに違わぬスペックが与えられている。エンジン本体こそノーマルながら、吸排気環境とECUを徹底的に煮詰め上げることで、実測700psを発生する強心臓へとアップデート済みだ。

エクステリアはバリスの「マグナムオーパス」でフル武装。素材にチョップドカーボン(フォージドカーボン)を使った、泣く子も黙るメイド・イン・ジャパンのハイエンドエアロシステムだが、オーナーはオンリーワンの個性を求めてフェンダーダクト追加などのモディファイを加えている。

「目指したのはSEMAクオリティ。ジャンルに拘らず、やりたい事を詰め込んだ仕様という感じですね。今後も継続的にアップデートを重ねて、常に最新式でありたいと思ってます」。

2022年スペックがこちら。以前の仕様はエッジの効いたデザインのフルラッピングが全身を覆っていた。2023年スペックと主要エアロパーツは同一だが、まるで印象が異なるから不思議だ。

そんなオーナーの発言を裏付けるかのように、このR35GT-Rは市販車の年次変更の如く勢いで進化を続けており、撮影時も2023年スペックにアップデートした直後だった。そう、常に最新式を追い求め続けるカスタムスペックなのである。

理解など出来なくてもいい。しかし、どんなジャンルでも突き抜けた改造車には作り手の尋常ならざる想いと魂が込められているものだ。そして、それは日本人の“ものづくり”に対する美学そのもののようにも思う。まさに最強だ。

PHOTO:土屋勇人

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