「若きオーナーが駆る700馬力の闘魂GT-R」第二世代Rと最高速に魅せられた男の愛機

21歳からBNR34一筋で徹底チューン!

ポルシェ911GT3RSを軽く引き離す戦闘力

700psを誇るチューンドGT-Rのオーナーが24歳と聞いて驚いた。と同時に、なぜBNR34を選んだのか? という素朴な疑問も湧いてきた。

「BNR34を強く意識するようになったのは、星野(一義)さんが乗るカルソニックカラーのJGTCマシンとHKSのデモカーの影響が大きいです。また、BNR34は走り屋のクルマ、チューニングカーというイメージをずっと持っていたので、いつか手に入れてチューニングしたいとも思っていました。それで21歳の時に購入したんです」。

希望はベイサイドブルーのVスペックだったが、チューニングベースとするには可能な限りボディの状態が良い個体を探したい。そこで巡り合ったのが、ホワイトパールのベースグレードだった。

「しばらくノーマルで乗って、知り合いを通じて紹介してもらったのがペントルーフ。エンジンオーバーホールを機にチューニングをお願いしました。参考にしたのはHKSのデモカーですね。RB26は高回転高出力志向のチューニングが多いと思いますが、アクセルを踏んだ時に一瞬でもモタつくと加速勝負で現行スポーツカーに置いていかれるので、3000rpmからトルクが立ち上がる仕様をリクエストしました」。

そこで組まれたのが、N1ブロックをベースにHKS2.8LキャパシティアップグレードキットSTEP2+Vカム仕様のRB26。タービンはGTIII-RSがセットされ、最大ブースト圧1.5キロ時に690.7ps/7348rpm、78.1kgm/4784rpmを発揮。これにより、オーナーがリクエストした「3000rpmから使えるエンジン」が実現したのである。

チタンタワーバーは“ニスモ”と“大森ファクトリー”のプレートが装着されたスペシャル品。カムカバーやホース類をブルーで統一しているのがオーナーの拘りだ。

ミッション、ファイナルともにギヤ比は変更なし。駆動系ではエンジンスペックに合わせてクラッチをHKSツインプレートに交換、前後デフにはATS LSDを装着することで、強大なパワー&トルクを伝えるようにしている。

また、排気系はEXマニとフロントパイプがステンレス製、バルブ付きマフラーがチタン製で、いずれもワンオフ品。そこにサード製メタルキャタライザーを組み合わせる。

車高調はオーリンズDFVで、フロント9kg/mm、リヤ8kg/mmのスプリングをセット。アッパーアームはクスコ製に交換され、アライメントセッティングの幅を拡げている。ホイールは18×10.5JのBBS RI-A、タイヤは275/35サイズのミシュランパイロットスポーツ4Sを履く。

ブレーキは6ポットキャリパーにフロント370mm、リヤ355mmローターを組み合わせたエンドレスレーシングMONO6キットを装着。キャリパーに開けられた穴から軽量化バージョンということが分かる。

「自分の理想の形に仕上がったと思います。レブリミットの8000rpmでシフトアップしていけば、ポルシェ911GT3RSくらいなら軽く引き離せますし、200km/hからの加速もブーストアップ仕様のR35より速いです。最高速での最大のライバルはJZA80スープラ。トップスピードでは及ぼないかもしれませんが、そこに至るまでの中間加速は負けていません」。

実は、BNR34の前にR35GT-Rの2018年モデルと2020年モデルを乗り継いできたオーナーだけあって、その言葉には説得力がある。VR38はRB26に対して1.5倍の排気量があることも含め、第二世代と第三世代のGT-Rは設計年次に15年以上の隔たりがあり、中間加速性能を含めた最高速はR35GT-Rの圧勝に思える。

しかし、R35(の仕様にもよるが)に負けないどころか、それを上回るパフォーマンスを発揮するのがチューンドBNR34のリアル。そこで、現行スポーツモデルに肩を並べる速さを身に付けながら、“最大のライバルはJZA80”と言うオーナーの真意に迫ってみた。

「一つは同じ世代のクルマということ。もう一つは、最高速シーンでまだまだ現役マシンであり続けていることですね。後は同じ2ドアでも、ピュアスポーツのスープラに対してGT-Rはツーリングカー的なスポーツカーという性格の違いも“意識”する理由だと思います」。

●取材協力:ペントルーフ 東京都大田区大森東2-28-2 TEL:03-5493-0840

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