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ノーマル然とした見た目は世を忍ぶ仮の姿!?
コラム4速MTのままRB20DETを搭載する
タクシーや教習車としての需要に応えて2014年まで生産され続けたY31型を除き、2004年に最終Y34型をもって日産のモデルラインナップから姿を消したセドリック。初代30型の登場が1960年だから、半世紀以上も作られてきた長寿モデルだ。
取材車両は1965年に発売された2代目130系の後期型で、L20型を搭載するスペシャルシックス。1969年式ということは、もう54年も前のクルマになる。
見た目にはフロントの車高が微妙に下がったノーマル車としか思えないが、実はRB20DET型に換装されているのだから、まさに“羊の皮を被った狼”である。
「この手のエンジン載せ換えだと普通はRB25を選ぶでしょ? でも、3ナンバーになるのが嫌だったんで、あえてのRB20。おかげでエンジンを探すのが大変でしたよ」と笑うグローバル永井さん。
ボアピッチもボアストロークも全くの同一となるRB20型は、言うまでもなくL20型の正統後継機。動力性能に余裕を持たせつつ5ナンバーのまま乗れることを考えると、130への換装にあたってこれほど相応しいエンジンはないということだ。
細部を見ていく。心臓部に収まるRB20DETは、HCR32からハーネスごと移植され、純正ECUで制御される。インタークーラーはHCR32純正で、前置きできるスペースがなかったことから、パイピングを作った上でトップマウントされることになった。また、ラジエターは容量が大きく水温も安定してるため、130純正をそのまま使用する。
ワンオフ製作されたエンジンオイルパン。R32のRB20DETはオイル溜まりが前側(ちなみにZ31だと後ろ側)にあり、そのままだとサスペンションメンバーに干渉してしまうのだ。そこでオイル溜まりをサスペンションメンバーとステアリングラックの間に移設。併せてストレーナーも加工している。
リヤサスペンション上部のフロアに装着されたMSD製フューエルポンプ。その左には燃料フィルターも確認できる。
ミッションは130純正4速コラムMT。ベルハウジングを加工してRB20DETに組み合わせている。メインシャフトのスプラインがR32に搭載されるFS5W71C型ミッションと同じため、クラッチはORC製メタルシングルが装着される。
永井さんいわく「この時代のクルマらしさは残したかったからコラムシフトは必須でしたね。オイルパンの制作と合わせてなかなか大変な作業でしたけど。ちなみに、内装もノーマルの雰囲気を壊したくなかったんで、追加メーターをはじめ余計なモノは一切つけてません」とのこと。
径が大きくグリップの細いステアリングホイールや横長のスピードメーターなど、クラシカルな雰囲気を漂わせるダッシュボード周り。当時の最上級グレードらしく、レシプロコンプレッサーを採用したエアコンも標準装備されていた。
シートは前後ともベンチタイプでセンターアームレスト付き。クッションの厚みがたっぷりしてて、アタリの柔らかい座り心地を提供してくれる。後席Cピラー部には読書灯を装備。背もたれの直後に確認できるのはスピーカーではなく、後席専用エアコンの吹き出し口(センター部は空気取り入れ口)だ。
ホイールくらい交換されていてもおかしくはないが、純正スチールにエンブレムマーク入りキャップという当時のそのままの仕様というのが奇跡的。タイヤは165/80R13サイズのホワイトリボンタイプを装着。
細いテールエンドで純正っぽく仕上げられたステンレス製ワンオフマフラー。メインパイプ径60φで、触媒はHCR32用が組み合わされる。マフラーの横にリーフスプリングが見えるようにリヤサスペンションはリーフリジッド式だ。
峰が立った前後フェンダーや多用されるメッキパーツなど、当時のアメリカ車の影響を強く受けていることを匂わせる外装デザイン。ボディサイドを大きく窪ませてるあたりもなかなか大胆で、5ナンバー枠に収まるサイズだが、それを感じさせない伸びやかさを持っている。
「エンジン以外はできるだけオリジナルに忠実に」という明確なコンセプトのもと誕生した130セドリック。これぞ日本流レストモッドの真骨頂と言えるだろう。
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎
●取材協力:グローバル 岐阜県羽島郡岐南町平成2-105 TEL:058-374-8838
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