目次
コクピットからの雰囲気はさながらフォーミュラマシン
その雰囲気はさながらフォーミュラマシンか、それとも前時代のオールドレーシングカーか。現代のスポーツカーをベースにこのスタイルを作り上げた例は恐らく存在しないだろう。いつも『やりすぎ』な無限が手がけた、S2000ベースの魔改造コンセプトカーである。(OPTION誌2000年4月号)
乗り降りすら大変すぎる!
妥協を知らないクルマ作りで有名なホンダワークス『無限』が、またやってくれた。そのスタイルは近未来のオープンスポーツ…、いや60年代のF1マシン風と言うべきか。東京オートサロン2000のコンプリートカー部門でグランプリに輝いた『無限Speed Star2200』である。
何はともあれ、ボディメイクだ。助手席側を埋めて完全なシングルシート仕様としているのである。ドアは機能しない(溶接固定されている)ため、車内へのアクセスはロールバーに掴まりながらボディを跨いで乗り込むしかないという潔さだ。
コクピットも完全に作り直されており、バケットシートからの眺めは乗用車のそれとはまるで異なる。さながらフォーミュラに座っているような感覚だ。
ちなみに、ボディはモノコックにパイプフレームを組み合わせた特殊な構造で、剛性面まで相当気を使って製作されたことが分かる。
一方、実測で257.8ps/7500rpmのスペックを誇るエンジンは、無限オリジナルの鍛造ピストンを組み込んだ2.2L仕様となる。ハイカムの導入と、それに合わせたCPチューンも行われており、トップエンドまで淀みなく回るNAらしいフィーリングは快感の一言だ。
サスペンションはノーマルでも十分ミニサーキットに対応するポテンシャルを持っているが、この車両はそこから適度にハード目のセッティングを施し、高速コーナーにおける懐の深さを感じさせる仕上がりを目指したそうだ。
エクステリアを覆うエアロパーツ類は、全て無限のワンオフ品。プロトタイプ的なフォルムだが、フロントバンパー、ボンネット、リヤバンパー、マフラーは市販化に向けて準備中というから恐れ入る。
リヤウイングは、バンパー貫通のバーチカル式を採用。専用設計されたエキゾーストマフラーを含め、リヤからの眺めは異形の一言。戦隊モノのテレビドラマに出てきそうな勢いだ。
無限は「F1等で培ったレース技術をフィードバックした開発車両」と言うが、どう考えても“やりすぎ”。しかし、この“全力投球感”こそが無限の真骨頂であり、多くのエンドユーザーから愛され続ける理由の一つなのだ。
●取材協力:M-TEC TEL:048-462-3131
記事が選択されていません 記事が選択されていません 記事が選択されていません【関連リンク】
M-TEC
http://www.mugen-power.com/