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オープン2シーターに380馬力のロータリーターボ搭載!
国産フルチューン勢と勝負できるポテンシャル
手頃なインポートオープン2シーターとして、中古車市場での割安感が強かったBMW Z3を選択。以後、オンリーワンの個性を求めて全方位に手を入れ続けた結果、とんでもない怪物に成長させてしまったというオーナーの愛機が今回の主役だ。
エクステリアはダーティーなイメージを意識し、BMW 7シリーズのブラウンメタリックにフレークをプラスしたオリジナルカラーでペイント。RB型オデッセイ純正ヘッドライトを流用して精悍さをアピールしているのもポイントだ。
一方のリヤセクションは、後期純正フェンダーを使ってワイド化。ストリート感が強いウイングレス仕様だが、カーボン製のアンダーディフューザーとボーテックジェネレーターによってダウンフォースを増強する。これら攻撃的なエアロパーツは全てワンオフだ。
エクステリアのカスタムだけでも相当なレベルだが、それだけでは終わらないのがこのZ3の凄いところ。ボンネットをオープンすると、そこには1.8Lの直4ユニットではなく、マツダの13B型ロータリーエンジンが鎮座しているのである。
「NAの1.8L直4は遅すぎる。弾けるようなパワーが欲しい!」と感じてエンジンスワップに踏み切ったそうだが、レシプロではなくロータリーを選択するあたりにオーナーの強い拘りを感じてしまう。
なお、換装したロータリーエンジンはFD3Sの13B-REWで、ストリートでの扱いやすさや耐久性を考慮してポート形状はノーマルをキープ。そこにウエストゲート式のTO4Eタービンを組み合わせることで、約380psのパワーを獲得している。
Z3本来の切れ味がスポイルしないよう、エンジン搭載位置も徹底追及。純正フロントサスメンバーを大加工することで、フロント車軸より内側にパワーユニットの全てが収まる完全フロントミッドシップを実現しているのだ。
クーリングチューンも抜かりない。HKSのGTコアを使用したインタークーラーをフロントに置き、ワンオフのアルミ3層ラジエターとエアコンコンデンサーとともにVマウントを構築。オイルクーラーはFD3S純正のツイン式をそのまま流用している。
重要なエンジンマネージメントは、ハーネスを引き直した上で13B-REWのセッティングノウハウが豊富に用意されているアペックスのパワーFCを投入。
足回りも独特だ。フロントはKWがリリースしているZ3用の車高調を装着しているが、リヤはスプリングとダンパーが分離する構造のノーマルに対し、テインのBNR34用(フロント)車高調を使うことでコイルオーバー化しているのである。これは、自由長の長いスプリングを使ってセットアップの自由度を広げるための策に他ならない。
ホイールはグラムライツG07WT(F8.0J-17+40 R9.0J-17+30)で、タイヤにはトーヨープロクセスR888(F225/45-17 R255/40-17)を組み合わせる。
“マツダの魂”をボンネットの奥に閉じ込めた異色のZ3。戦闘力は凄まじく、3.2L直6を搭載する上級グレードのMロードスターを凌ぐどころか、国産フルチューン勢と真っ向勝負できるレベル。まごうことなきスーパーチューンドだ。
●取材協力:チューニングガレージ グラック TEL:0729-63-8838