「MR2に惚れ込んだカナダ人オーナーの愛機が凄まじい!」トヨタV6エンジン換装はSW20の正常進化か!?

心臓部はトルクフルな2GR-FE型の3.5L V6にスイッチ!

1300マイルを走ってもノントラブル

カナダのバンクーバーに住むMR2オーナー、ラッセル・ターンブルは、これまでに1987年式と1985年式のAW10を乗り継ぎ、現在の1994年式SW20に辿り着いた生粋のMR2フリークだ。

職業はメカニカルエンジニアだが、プロのカービルダーというわけではなく、趣味の範囲でMR2を自らいじっている。今では好きが高じて近隣のオーナーを集めた『BCMR2(ブリティッシュ・コロンビアMR2)オーナーズグループ』を運営し、フォーラムを通じた情報交換も行なっているほどだ。

SW20はマイナーチェンジによって1型から5型まで細かく分けられているが、ラッセルが所有する1994年式は最も大幅な改良が施された3型である。

だが、カナダにおけるMR2の輸入はそれ以前の1993年で終了しており、国境を挟んだアメリカでも1995年が最後。そのため、カナダで1994年式の3型を所有することは「スーパーレア」だという。

北米仕様のSW20は、NAが2.2Lの5S-FEで、ターボは日本と同じ3S-GTEを搭載。新車当時は同じエンジン型式ながら、より最高出力が高かったカルディナGT-Tの3S-GTEへ載せ換えるのが流行ったそうだ。

しかし、時代が変わればエンジンスワップも変わる、という自然の摂理(?)に従い、ラッセルが愛車の載せ換えに選んだのが、同じトヨタの2GR-FE型3.5LのV6エンジンだった。

搭載にあたっては、アメリカのインディアナ州にあるフランケンシュタイン・モーターワークスが製作したオリジナルのマウントキットを使用。トランスミッションは、1996年式日本仕様のMR2(E153型5速MT)から流用。これらの作業は、ラッセル自ら行ったと言うから恐れ入る。エンジン制御はRAV4純正ECUが担う。

ちなみに、ラッセルが選んだ北米仕様の09年式RAV4の2GR-FEは、最高出力が270hp。北米仕様3S-GTEの200hpとは雲泥の差だ。

趣味でジムカーナも楽しんでいるラッセルは「ノンターボでもハイパワーだし、下からの蹴り出しも良いからすごく気に入っているんだ。ガソリンもレギュラー仕様だしね。コストを抑える意味でもおすすめだよ」と笑う。

足回りはKONIの車高調でセットアップ。Wilhelm Raceworksのジオメトリーキットを投入して、日常域で支障の出ないローダウンスタイルを実現した。ブレーキは前後ともウィルウッドの鍛造キャリパーとビッグローターのキットで、パーキングブレーキ用のキャリパーも備わる。

ホイールは2ピースモデルのワーク・マイスターS1、タイヤにはオートクロス用として新調したポテンザRE-71Rを組み合わせる。

レカロシートやTRDのシフトノブが装着されている以外は、一見してノーマル然としているインテリア。

しかし、シフトブーツやパーキングブレーキブーツは新品のレザー製に交換され、ルーフライニングをブラックスエードで張り替えたりと、目立たないところでしっかりリファインされている。ステアリングは2005年式のセリカ用を使用。

エクステリアは、Shine Autoのフロントリップとサイドスカート、BOMEXのリヤエクステンションなどでドレスアップ。

フロントのウインカーレンズはJDMのクリア仕様で、山のように突起した形状のサイドマーカーは同じMR2乗りのオーナーがオリジナルで製作したものだ。DIYで取り付けたというTRDカラーのデカールが、美しいホワイトのボディにワンポイントで映える。

今回の撮影は、カリフォルニア州ロングビーチで開催された『ALL Toyotafest 』で行ったのだが、ラッセルが住んでいるのはバンクーバーだ。聞くと、1300マイル(2092km)の道のりを新妻のソーニャさんと共にドライブしてきたそうな。

2泊3日のドライブもノントラブルでこなし、「良いバケーションになったよ!」と笑顔だ。やはり大陸育ちの人々は日本人と距離感覚が根本的に違うのである。

PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI

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