「ハチロクも積載車もお揃いのシャコタン仕様でキメ!」アメリカのドリフト野郎は派手すぎる!?

メタルワークを駆使して超改造!

SEMAで話題を呼んだドリフターの愛機×2に迫る

サーキットに行ったことがある人なら目にしたことがあるであろう運搬用トレーラー。俗に「積車(セキシャ)」と呼ばれるそれは、ここ日本においてはいすゞのエルフや三菱ふそうのキャンターなど、フラットベッドタイプの小型トラックが一般的だ。

一方、広大な国土を持つアメリカにおいては、一度に複数台のクルマを積載できる超大型トラックも珍しくない。個人ユーザーがフルサイズのピックアップトラックを所有し、トレーラーで愛車を牽引するのも日常的なことだ。

だが、カリフォルニア州のフェアオークスに住むマイルズ・シャニマンは、趣味のドリフトで使うAE86を運ぶトレーラーとして、いすゞNPR(日本国内のエルフにあたる)をチョイス。これは、日本のドリフターが小型トラックを愛用しているシーンをYouTubeなどで観たことによるものだという。

モノ作りが得意だった祖父の影響を受けて、子供の頃からメタルワークに親しんできたマイルズ。あくまで本業は別に持っているが、『リディキュラス・ファブワークス』という屋号の元、プライベートなガレージワークも行なっている。そして無類のシャコタン好きでもある彼は、いつしか「NPRを着地させたい」と考えるようになったそうだ。

NPRをどシャコにするため、マイルズはリーフスプリングが備わる前後サスペンションをフロント2リンク、リヤ4リンクのオリジナルサスにコンバート。車高およびバネレート調整用のエアバッグを装着し、ホイールクリアランスを確保するためにキャブの一部をカットした。

また「スタンスがキマるから」という理由で、ホイールベースは20インチ延長。元々ボックスタイプだった荷台は8×16フィートのウッドデッキに作り変え、車高を落とした状態で最適な角度にチルトするよう、ヒンジの役割を果たす油圧ダンパーも装着している。

ホイールはトラック用一体鍛造製品で知られるアルコア製を採用。本来は24.5インチだが、24インチ化加工を実施。エアサスはFLOエアライドのエアタンクとViAirの444コンプレッサーを2個ずつ装備し、エアリフトパフォーマンスの3Hコントロールシステムで制御する。

シートメタルで作られたフロントバンパーやフロントフェンダーはマイルズ自身が製作。ツールボックスを内蔵した便利なサイドスカートは、友人であるグラント・カスタムズのボブ・グラントによる力作とのこと。

エンジンは、しばらく使っているうちに純正のディーゼルがブローしてしまったため、シルバラードやサバーバンなどに搭載されたGM製のLQ型V8エンジンと4速ATに換装。

「V8との相性がいい」ということで、より高年式なモデルに採用されている4.3ファイナルのリヤアクスルも使用している。「トラックでも排気音に拘りたい」との理由から、エキゾーストは自らの手でカスタムメイド。

内装も凝っていて、金属製のワンオフダッシュパネルにはブラックスエードを貼り込み質感を向上。インパネにはメーター類のほか、ホーンやライトの操作に使うオリジナルのトグルスイッチも備わる。

シートはインテグラの純正を3つ備え、グリップロイヤルとコラボしたオリジナルのステアリングもセット。

一方のAE86はというと、こちらもエクステリアのメタルワークやテクノ・トイ・チューニング製パーツを使ったサスペンションの改造など、大半の作業をマイルズ自身が行なった。

以前に所有していたS13の外板はFRPを使ったそうだが、作業の大変さから今では「メタルワークが一番!」と自信たっぷり。メタルなら多少のヒットも気にならないとのことで、ちょっとラフな見た目がかえってクールだ。

パワートレインは、レクサスIS(国内のアルテッツァ)から3S-GEエンジンと6速MTを移植。リヤデフはフォードのエクスプローラーからの流用だ。

ホイールはROTA Grids(FR9.0J+15×15)。ドレッシーな気分の時は、インパルやエクイップ01を履くこともあるという。サスペンションはテクノ・トイ・チューニング製のアイテムを用いて前後ともにコイルオーバー仕様だ。

ブレーキはフロントにFC3S純正。リヤはウィルウッド製のキャリパーを追加してツインキャリパー化されている。

インテリアは徹底的な軽量化を施した上で、NASCAR仕様のロールケージを組む。リヤには室内側のステンレス製ハードウェアも含まれるテクノ・トイ・チューニングの等長4リンクキットを装備。デフ周辺のフロアもカサ上げしてクリアランスを確保している。

こうして完成した2台のスーパーカスタムマシン。アメリカでは珍しいAE86とNPRの組み合わせ、そして何よりエアサスを使ったNPRのシャコタンルックが話題となり、マイルズはエアリフトパフォーマンスのスポンサードを受ける形で2017年のSEMAにも出展。斬新なラッピングも功を奏し、SEMAの会場では大きな反響を呼んだことは言うまでもない。

“Baller Hauler(ボーラーホウラー)”の異名を取るNPRが有名になった今でも、マイルズは愛機のAE86を載せ、地元のソノマやサンダーヒルのレースウェイへと足繁く通っている。

PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI

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