目次
最小限の手数でサーキット走行に応える空力性能を確保!
純正スタイルを好むユーザーにも最適なフラットボトム化
ポテンシャルアップやフットワークチューンに取り組むだけでなく、機能美に溢れるオリジナルエアロもプロデュースし、S2000の走りとスタイリングをブラッシュアップする“アミス”。
55mmワイドボディキットやラディカルボディキットがもたらしたインパクトは強く、アミス=ワイドボディといったイメージが定着しているが、今回披露したAP2は驚くことにGTウイングすら備えていないシンプルスタイルのナローボディ仕様なのである。
このAP2は「ノーマルのスタイリングを崩すことなく楽しく走りたい」というオーナーの要望を満たすために開発されたチューンドで、不安定な挙動に陥りやすい高速領域の安定化をフラットボトム+フットワークチューンによって引き出しているのだ。
そもそもアミス代表の松浦さんは、20年以上前からフラットボトムがS2000にもたらす空力効果の有効性に着眼していて、センター(10万1200円)やフロント(6万500円)のアンダーパネル、リヤディフューザー(13万2000円)を早くに完成させていた。
ただし、今回は“純正スタイル”というオーナーからの絶対的なリクエストを反映させる必要がある。そこで、純正バンパーのボトムを前方へと押し出したフロントリップ、マフラー出口など形状改良したリヤディフューザーを新たに加えたフラットボトムを完成させたのだ。
フロントセクションは、純正バンパー下部にカーボンリップをインストール。当初はワンオフ的な位置付けで取り組んでいたが、純正スタイルのニーズが高まっていることもあって予価6万円で製品化を検討中だ。
サイドにはS2000本来の美しさを活かしたカーボンディフューザー(9万9000円)をセット。前後のボリュームバランスを整えつつ、サイドビューに抑揚のあるアクセントを加えている。
リヤには試作のフローティングディフューザーをセット。デュアルエキゾーストマフラーのテールエンドが突き出すレイアウトは攻撃的だ。
パワーチューニングはメインECUの書き換え程度だが、ラジエターやキャッチタンクといった走りに必要となるポイントは対処済み。速さよりも、安心して楽しく走れることにウエイトを置いたファーストアプローチだ。
ホイールは、レーシングチタニウムブラックにブルーキャンディとブラックキャンディを重ねてクリアコートしたアドバンレーシングR6。フェンダー無加工でマッチングするため、フロント3度/リヤ3度半のネガティブキャンバーセッティングとしている。
足回りは、アラゴスタ・タイプSSベースのオリジナル車高調を軸に構築。セットアップ幅を広げるために、リヤに別タンクを備えた2ウェイ仕様だ。現状はストリートユースのため、スプリングレートはフロント14kg/mm、リヤ16kg/mmとしている。
RX-8キャリパーとRX-7ローターの組み合わせでターンインのリヤ挙動を安定させるだけでなく、ソリッドローターの熱影響で消耗しやすいリヤハブも保護。ストリートでも効果テキメンのブレーキチューニングだ。
このチューンドをサーキットでテストしたレーシングドライバーの井入宏之選手は「この年代のクルマはフロア下の空力チューンが一番効くって持論を持っていたんだけど、その考えが正しいって証明してくれたね。旋回から立ち上がり、ブレーキングまで全てに効くし、ボディ上面の抵抗物がないからトップスピードだってしっかり稼げる。正直、コースインする前はウイングレスのネオバだと、オーバーステアかピーキーな動きになるかもって不安はあったんだけど、攻め込んでもリヤが全く流れない安定した挙動だったよ」と絶賛。
「GTウイングすら備わっていない状態ですけど、フロア下のチューニングは高速走行時に不安定だった挙動が解消されますし、スポーツ走行を楽しむ方にもフラットボトムはお勧めですよ」とは松浦さん。
オリジナルに近い状態でS2000を楽しみたいというユーザーが増えてきている今、アミスが新しく手掛けた純正スタイルの空力強化は見逃せない注目アプローチとなっていくだろう。
●取材協力:カーガレージアミス 大阪府堺市中区田園578-2 TEL:072-230-1677
【関連リンク】
カーガレージアミス
http://www.cg-amis.com