「元F1ドライバーのテクを盗め!?」トーヨータイヤが初の鈴鹿サーキットイベントを開催!

初開催の鈴鹿サーキットイベントに見たトーヨータイヤの本気!

2024年はタイムアタックシーンを賑わせる!?

1980~1990年代のトーヨータイヤ(当時は東洋ゴム工業)は、国内サーキットで圧倒的な存在感を誇っていた。

1985年から開催された全日本ツーリングカー選手権(JTC、いわゆるグループAレース)で、並み居る大排気量車を抑え、総合優勝を飾ったのはディビジョン3の「トランピオ・レビン(トーヨーは全日本選手権初挑戦でのデビュー・ウィンだった)」であり、1987年~1988年はトップカテゴリーのディビジョン1で2年連続総合王者にも輝いた。

その後、2.0Lセダンで争うJTCCやグループAのバトンを受け継いだ全日本GT選手権(JGTC)で活躍。モータースポーツという華やかな舞台でトーヨータイヤは躍動し、トランピオはポテンザ、アドバン、フォーミュラらと並ぶスポーツタイヤの代名詞としてファンの心に刻まれるブランドだった。

国内レースのトップカテゴリーから撤退したのは1999年のこと。以後、サーキットのフィールドでトーヨーの名前を聞く機会はめっきり減ってしまった。しかし、市販タイヤではマーケットのトレンドを上手くキャッチし、ミニバン専用の「トランパス」が大ヒット。オフロードタイヤのジャンルでも「オープンカントリー」がトップブランドとして席巻するなど、トーヨータイヤの名前は広く一般に認知されている。

とはいえ、トーヨータイヤはスポーツタイヤの開発を止めていたわけではない。

スポーツタイヤブランドは、トランピオからグローバルフラッグシップブランドである「プロクセス」へと移行、ドリフトの分野では2007年から「Team TOYO TIRES DRIFT」を発足し、ワークス体制でD1GPに参戦。幾度もシリーズ優勝に輝くなど、今や欠かせない存在にまで成長した。

さらに、2009~2010年の技術研鑽を兼ねた欧州レース参戦を経験し、2020年には世界一過酷な耐久レースであるニュル24時間レースとNLS(ニュルブルクリンク・ロング・ディスタンス・シリーズ)へスープラGT4での継続的な挑戦を開始。3年目の2022年にはNLSシリーズ計2戦でクラス優勝を果たした。

結果、ドイツ市場では「コストパフォーマンスにも優れた優秀なスポーツタイヤ」として日本国内以上に認められている。

こうして、地道に実績と熟成を重ねてきたプロクセスを「国内のスポーツカーオーナー&ファンにもっと知ってもらいたい」という思いが芽生えても不思議ではない。そのひとつが、2023年、プロクセスブランドアンバサダーの任命。木下隆之選手が就任し、メディアを通じて広く周知を始めた。

そして、その第2弾とも言えるのが、2023年12月13日に鈴鹿サーキットで初開催された走行イベント「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」だ。ユーザーとの交流を深めて、認知、関心を高めてもらうことはもちろん、様々な意見を吸い上げ、今後の開発の参考とすることが狙いだ。

「正直、国内でサーキット走行を楽しんでらっしゃるユーザーの方々にはプロクセスの名前が浸透していません。トーヨータイヤとして、こうしたサーキットイベントに今後も力を入れていきますよ、というアピールを踏まえて第1回は国際レーシングコースとして名高い鈴鹿サーキットで開催を決定。メーカー/ショップの皆様のご協力もあり、何とか形にすることができました」とは、トーヨータイヤ事業統括部門商品企画本部グローバルマーケティング部の松本さん。

「今回はショップの皆さまに協力をいただき、参加者を募っていただきました。また、トーヨータイヤ装着車両に限定せず、サーキット走行を楽しんでいただくことが大前提。その上で、トーヨータイヤについて知っていただき、触れていただければと考えました。今後はどのような形で継続するかは未定ですが、例えば、もう少しコンパクトな形態でハードルを少し下げつつ、回数を増やしていくことも検討中です」。

まずは大きく風呂敷を広げ、参加された方々の反応を見て次を考えようというお試し的なスタンス。徐々に回数を増やし、認知が高まり、いずれはトーヨータイヤユーザーが集まるイベントになれば、というのがスタッフの思いだ。

当日は49台のユーザーが結集。プロクセスブランドを知るための座学に始まり、その後に走行会という流れ。ドライバーのレベルに合わせたグループ分けもなく、1枠は60分の2本というゆとりある時間組み。台数が少なかったこともあり、60分×2本、合計120分みっちり走り込むこともできた。時間に追われることなく、自分のペースで走れるのは嬉しいかぎり。

パドックエリアには全国から有力メーカー/ショップがブース出展もしくはデモカーを展示。トーヨータイヤのデモカーを含めると11台が並び、イベントに華を添えた。

また、サーキット走行以外にもプロドライバーによる同乗走行も実施。プロクセスアンバサダーの木下隆之選手、元F1ドライバーの中野信治選手、GT300ドライバーの小山美姫選手が、R35GT-R/WRX/BRZで鈴鹿のフルコースを激走。

自分の想像を超える限界領域の世界を体感でき、プロのドライビングテクニックを間近に見られるまたとないチャンスにいずれの参加者も大興奮。時間の関係で12人に限定されてしまったが、こうしたドラテクを見て学べる催しはぜひ継続してほしいものだ。

目を三角にしてシャカリキにタイムを狙うイベントではなく、時間をたっぷりと取り、安全に配慮しながら、思い思いにサーキットを満喫することにウエイトが置かれた走行会。今後の開催日程、来シーズンに向けた新たなコンテンツも現在企画中とのことなので、2回目の開催を心待ちにしていただきたい。

また、2024年シーズンはD1GPとドイツのニュル24時間/NLS参戦はほぼ確定的だが、2024年2月に筑波で開催されるATTACK筑波にプロクセス最強の「R888RD」を履いたアタッカーが複数台参戦するとの情報もキャッチ! トーヨーのスポーツタイヤ復権への思いはかなり本気の様子。そのタイムにも注目だ。

●問い合わせ:TOYO TIRES フリーダイヤル:0800-3001456

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