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16万5000円で2GR-FSEは生まれ変わるんです
20馬力アップでも体感度はそれ以上だ!
V6 ・3.5Lの2GR-FSEを搭載するマークX350。同型式のエンジンは180~210系クラウンにも搭載されたが、マークX(とレクサスGS/IS)は、クラウンを3ps&0.3kgm上回る318ps&38.7kgmがカタログ値として記載された。
メカニズム面における2GRの大きな見どころは、各気筒に直噴用とポート噴射用2本のインジェクターを備えた世界初のエンジンであること。トヨタが「D4-S」と呼ぶこの方式は、走行状況によって2本のインジェクターの噴射量をきめ細かく制御し、高い次元でパワーと燃費を両立させる。
取材車両は吸排気系を含めてエンジンノーマル、足回りとホイール&タイヤのみを交換した完全なストリート仕様。東京に住むオーナーは仕事柄、関東近郊だけでなく、名古屋や大阪などにも自走で向かう機会が多く、「長距離移動をもっと速く、快適に」ということから、“トライアル”での純正ECUチューンに踏み切った。
トライアル鶴田さんが言う。「排気量で4GRを1000cc上回る2GRはノーマルでも十分なパフォーマンスを持ってます。これまでボルトオンスーパーチャージャー仕様も作りましたけど、純正コンロッドの強度がそれほど高くなく、安全マージンを確保すると370psくらいが上限。スーパーチャージャーの過給効果を最大限に活かせないのが現実なんです。なので、NAのまま純正ECUを書き換えるケースが多いですね」。
この純正ECUチューン、ピーク値だけを見るとパワーアップ幅はせいぜい20psに留まるけど、試乗してみての印象はノーマルから激変。特に大きな変化を体感するのは、格段に増した中間トルクと全域におけるレスポンスの向上だ。もちろん、6000rpmオーバーまで超スムーズに回ってパワーもキッチリ付いてくる。
サードCUVUエボリューションでのデータ書き換えは純正ECUのカプラーを外し、そこに車種別専用ハーネスを接続してダイレクトに行なう。OBDIIポート経由より確実性が高く、書き替えに要する時間も若干短くて済むという。「トライアルでは基本的にこのやり方。実走でのデータ取りやセッティングを行なう時はOBDIIポートに繋ぎますけどね」と作業を担当したトライアル山下さん。
データ書き換え作業は15~20分ほどで完了。スピード&レブリミッターの変更を始め、燃調、点火時期、可変バルタイ、電子制御スロットルといった基本的なパラメーターはもちろん、GR系エンジンでは直噴インジェクターとポート噴射インジェクターの噴射量バランスも調整することが可能。
日常域の使い勝手をスポイルすることなく、スポーティなフィーリングが倍増。フル加速を試みると、「2GRってECUだけでここまで変わるの!?」と、誰もが驚くに違いない速さを見せてくれる。例えば、相手がJZX100のブーストアップ仕様だとしよう。直線加速では全く負ける気がしないほどだ。
ノーマルだと『スポーティな雰囲気のセダン』という印象だけど、それを文字通り『スポーツセダン』に変身させるのが純正ECUチューン。当然、スピードリミッターも解除されたこの仕様なら、「速く、快適に」というオーナーの希望も叶えられていることは確実だ。
●取材協力:トライアル 大阪府堺市美原区丹上87-1 TEL:072-369-3539
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