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最高速チューンの名手“レヴォルフェS.A.”が製作したアリストの登場だ。排気量を3.2Lに拡大して低中速トルクを補い、ビッグシングルタービンで高回転域の鋭さを増強。踏み切れば200マイルを狙えるほどのスペックだが、オートマでイージードライブも可能という懐の深さこそ、このチューンドの魅力だ。(OPTION 2004年2月号より抜粋)
全回転域で600馬力の出力が炸裂する高速巡洋艦
快適性を最重視した各部のセットアップも注目!
全方位、死角無しのスーパーセダンとして“レヴォルフェS.A.”が製作したJZS161アリスト。踏めば200マイルオーバーまで加速を続ける怒涛のスペックを秘めているが、単なるビッグタービン仕様と侮ることなかれ。最高速チューンを知り尽くした名匠ならではのアプローチが、各所に散りばめられているのだ。
エンジンはJUNの87φ鍛造ピストンと、ストローク90mmの削り出しクランクシャフトで3.2L化。ヘッドもポートの段付き修正と研磨が行われ、タービンのビッグシングル化に合わせた吸排気効率の適正化も図られている。その他、ヘッドにはHKSのバルコンVカムキット(IN264度8.6mmリフト EX264度9.0mmリフト)やオリジナルの強化バルブスプリングなども組み込まれる。
タービンはHKSから限定発売されたGTシリーズ最大のGT3540をセット。許容馬力は600ps前後ということで、容量をほぼ使い切っていることになる。これにHKSのGTシリーズウエストゲートを組み合わせる。
吸気を一度溜め、各シリンダーに効率よく送り込むためにサージタンクは純正加工品を使用。タービンサイズのアップに合わせてサージ容量を稼いでいるのだ。
メインコンピュータはトムスTECII。プログラム変更によって、電子制御スロットルの作動レスポンスを高めている。また、F-CON Vプロでエアフロレス化を図りながら、燃調と点火時期もコントロール。
マフラーはアミューズコーポレーションのエクストラWチタンマフラーのレヴォルフェ仕様を装着。メインパイプ径はフロントパイプから80φ、テール130φとなっている。また、リヤバンパースポイラーは、高速域でのパラシュート降下を抑えるべく、走行風が抜けるダクト加工を施している。
許容馬力400ps前後の純正ATでは役不足ということで、ディスク素材やライン圧力が変更されたSARDの600ps対応強化ATに変更。加えて、トラブルに直結するATF油温上昇を抑えるためにSARDのATFクーラーとアブフラッグのオイルパンヒートシンクを装着する万全の体制を取っている。LSDはOS技研のスーパーロックLSDだ。
サスペンションダンパーは前後ともにトムスアドヴォクスを装着。快適性は申し分無いものの、よりダイレクトなハンドリング性能や、超高速域での操安性を手に入れるために近々クァンタムに交換されるとのこと。
ブレーキは、フロントにTRDの324mmローターと4ポットキャリパーをセット。リヤはTRDのローターに純正キャリパーという組み合わせだ。パッドはプロジェクトμのHCチタンKAI。
剛性アップチューンも万全だ。トムスのメンバーブレースをフルで組み込んで車体下部を補強。元々ブッシュ類がやわらかめのJZS161は、メンバーブレースの装着で足回りの剛性感が格段に向上するという。また、リヤタイヤを操舵するARSのキャンセルも行われている。
インテリアはAピラーにセットされた追加メーターとHKSのEVC4が目立つくらいで、ステアリングからシートに至るまでフルノーマルを維持。室内はラグジュアリーそのもので、とても600psのチューニングカーであることを感じさせる要素は無い。
エアロパーツはブリッツ製で統一。ボンネットはトムスプリプレグボンネット、フロントフェンダーはアーティシャンスピリッツ製だ。ホイールはワークのレザックスMAGICを装備。
高速走行を続けていると、走行風圧によって外れることが多いという純正の樹脂製アンダーカバー。そこでリブ補強を入れたプレートを介してフロントバンパースポイラーと固定。アンダーカバーの脱落を抑制している。
パワーユニットまで含めてほとんどフルチューンスペックだが、2000rpm付近から発生する大トルクが7000rpmまで続くフラットトルク特性はストリートでも非常に扱いやすい。200マイルオーバーを追求した生粋の最高速仕様かと思いきや、その中身はどんなシチュエーションでも安定して速く走ることができるという、アリスト本来のグランドツーリングカー要素を伸ばした理想的チューンドだったのだ。
●取材協力:レヴォルフェ・エス・アー 神奈川県横浜市都筑区池辺町3960 TEL:045-929-6087
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レヴォルフェS.A.
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