「キミは覚えているか!?」クルマ好きの記憶からも消えてしまった6気筒界の名(迷?)脇役エンジン達!

全モデル知っていたらマニア確定!

RB系やJZ系といった定番モデルが存在する一方、同じ6気筒でもクルマ好きの記憶からすっかり消えてしまったエンジンもある。そこをあえてほじくり返してみようというのが本記事だ。マニアックすぎる6気筒界の名(迷?)脇役エンジンたちを振り返っていこう。

6G系唯一のSC仕様:6G71スーパーチャージャー(三菱)

搭載車種:S11AデボネアV

駆動方式をFFに改めて1986年に登場した2代目デボネアV。エンジンは当初6G71(2.0L・V6)と6G72(3.0L・V6)の2種類で、いずれもNAのSOHCだった。翌年加わったのが6G71スーパーチャージャー仕様。スペックはNAの105ps&16.1kgmから150ps&22.5kgmへと大幅に向上。しかし、6G72のDOHC化に伴い、6G71スーパーチャージャーはわずか2年でカタログ落ち。S11/12AデボネアVのカタログモデルの中でも珍種として崇められている。

スペック詐称疑惑あり:6G72 MIVEC(三菱)

搭載車種:F36Aディアマンテ

6G72と聞いて思い浮かぶのはZ15/16A GTOに搭載された、280ps&42.5kgm(後期型43.5kgm)を誇るツインターボ仕様。その陰に隠れた感があるものの、2代目F36Aディアマンテ30M/同SEに搭載された6G72 MIVEC仕様を忘れてはならない。カタログスペックは270ps&30.7kgmだが、「実は280ps出ていたんじゃないか!?」という噂が絶えない。しかし、ツインターボ仕様がある手前、あえて270psに抑えたというのが真実のようだ。

NAで280psを達成:6G74 MIVEC(三菱)

搭載車種:V55Wパジェロエボリューション

1983年から三菱がパジェロで続けてきたダカールラリー参戦。市販車ベースのマシンで争うT2クラスにエントリーするために開発されたのが1997年発売のパジェロエボリューションだ。その専用エンジンが6G74(3.5L・V6)MIVEC仕様。カタログスペックは280ps&35.5kgmを謳い、6G系NAエンジンの頂点に君臨する。ハイカムに切り替わった後のパンチが強烈で、2トンに迫る車重をモノともしない豪快な加速を楽しませてくれるのだ。

三菱…いやニッポンの宝!:6A10(三菱)

搭載車種:CB6AランサーV6他

バブル期に三菱とマツダの間で繰り広げられた実に不毛な“世界最小V6”戦争。軍配が上がったのは三菱で1991年、CB6Aランサー/ミラージュに搭載された6A10(1.6L・V6)が、その称号を勝ち取った。気筒あたりの排気量が約266ccと小さく、ショートストローク型(73.0φ×63.6mm)なこともあって、最高出力140psを7000rpmで、最大トルク15.0kgmを4500rpmで発揮するという高回転志向のエンジンになってしまったのはご愛敬。

二番手じゃダメですか?:K8-ZE(マツダ)

搭載車種:EC8SユーノスプレッソGT-A他

1991年に登場した時は“世界最小V6”だったのに、わずか3ヵ月天下で三菱6A10にその座を奪われた悲運のエンジン(!?)が、カタログ値145ps&16.2kgmを発揮したK8-ZE(1.8L・V6)。当初はユーノスプレッソのみに搭載され、兄弟車オートザムAZ-3には設定されなかったエンジンだが、1993年のマイチェン時にAZ-3にも搭載されたあたりに、販売店5チャンネル化の敗戦が濃厚となったマツダの迷走ぶりがうかがえる。

世界初のミラーサイクル:KJ-ZEM(マツダ)

搭載車種:TA3Aユーノス800MC

1993年にユーノスブランドのフラッグシップセダンとして登場したユーノス800。搭載されたのは、低圧縮比と高膨張費を両立した世界初の自動車用ミラーサイクルエンジンKJ-ZEM(2.3L・V6)だった。Vバンクの間にIHI製リショルム式コンプレッサーを備え、吸気効率を改善。マツダは「3.0Lクラスのトルクと2.0Lクラスの燃費を実現」と謳ったが、実際に乗ってみると、コンプレッサーの駆動ロスが大きいのか燃費も3.0Lクラスというのが現実。

スイングバルブがない!?:C20Aターボ(ホンダ)

搭載車種:KA5レジェンドV6Ti

アイルトン・セナとアラン・プロストの強力タッグがマクラーレンMP4/4(ホンダ1.5L・V6ターボ搭載)でF1GP全16戦中15勝というとんでもない記録を打ち立てた1988年。この年に発売されたのがC20A(2.0L・V6)ターボ搭載のKA5レジェンドV6Tiだ。特徴はタービンブレードの周りに4枚のフラップを備え、A/Rを連続可変させるウイングターボの採用。ターボラグを最小限に抑え、良好なトルク特性とレスポンスを実現した。スペックは190ps&24.6kgm。

緻密な気筒休止システム:J35A(ホンダ)

搭載車種:CP3インスパイア他

J35A(3.5L・V6)で話題になるのは2004年に登場した4代目KB1レジェンドに搭載され、長らく続いた自主規制280psを打破し、カタログで300psを謳ったこと。が、ここで注目したいのは同じJ35Aでも5代目CP3インスパイアに載ったエンジンだ。レギュラーガソリン仕様で最高出力は280psに抑えられるが、走行状況に応じて6気筒、4気筒、3気筒を切り替える新型VCMを採用。環境性能や燃費を考えたホンダらしいシステムだ。

スバル初のフラット6:ER27(スバル)

搭載車種:AX9アルシオーネ2.7VX

排気量1.0Lからスタートし、段階的に1.8Lまで拡大したフラット4のEA型エンジン。その最終進化型となるEA82をベースに2気筒を追加したのがER27(2.7Lフラット6)だ。それを搭載したのは3代目AA/AGレオーネと基本コンポーネントを共用し、1988年に発売された初代アルシオーネ。エアサスを標準装備する最上級グレード2.7VXのパワーユニットに選ばれたが、150ps&21.5kgmというスペックの弱さもあって販売面では惨敗した。

6気筒として専用設計:EZ36(スバル)

搭載車種:BRFレガシィアウトバック他

EA82ベースのER27、EJ22ベースのEG33(3.3Lフラット6)とは異なり、当初からフラット6として専用設計されたのがEZシリーズ。まず2003年にEZ30(3.0Lフラット6)がレガシィランカスター6などに搭載され、それをベースにボア、ストローク共に拡大したEZ36(3.6Lフラット6)が2007年に登場した。国内モデルでは5代目BRFレガシィアウトバックに搭載。AVCSとダイレクト可変バルブリフト機構の採用で260ps&34.2kgmを誇った。

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