目次
セドリック初のDOHCエンジンVG20DETを搭載!
新車ワンオーナーで33年目を迎える極上セドリック
国産車で初めてターボエンジン(L20ET)搭載モデルとなった430系や、同じくV6エンジン(VG20/30)を載せたY30系など、振り返るとなかなかエポックメイキングな歴史を持つセドリック/グロリア。
その中でも1987年6月に登場した7代目Y31系は、新機構が採用されたメカニズム面だけでなく、それまでのイメージを一新するスポーティな雰囲気を持ち併せていたという点でも注目に値するモデルだ。
それを最もよく表しているのが新たに設定されたグレード、“グランツーリスモ”の存在。セドグロでは初となるDOHC(+ターボ)エンジンのVG20DET搭載車が用意され、外装もラグジュアリー感を漂わせるブロアム系とは明らかに異なり、フォグランプ内蔵型フロントバンパーを始めスポーティに仕上げられたのだ。
そんなグランツーリスモSVの前期型を新車で購入し、以来32年間乗り続けてるのが今回紹介するマシンのオーナー。後期型に設定されたソニー製10連装CDチェンジャーを装着する以外、フルノーマル状態を保っている。
スピードメーターとタコメーターは日産車の多くに見られた水平ゼロ指針タイプを採用。これはブロアム系やクラシック系でも同じだ。目盛りがシンプルな水温計と燃料計も前期型の証と言える。
ミッションは4速ATを搭載。ギヤ比は1速から3.027/1.619/1.000/0.649で、ファイナル比は4.375。VG20DET搭載車は他のモデルの4速ATに対して1~2速のギヤ比が低められている。
グランツーリスモSVの運転席はスライド、リクライニング、座面高さが電動調整式。クッションの厚みがたっぷりあって座り心地に優れるのはもちろん、サポート性も良好だ。
好調維持には日常的なメンテが重要だが、これも大半の作業はオーナー自らが実施。エンジンオイルやオイルフィルターはもちろん、これまで燃料ホースやバキュームホース、さらにエンジンマウントやブレーキマスターシリンダーの交換まで行ったというから本格的だ。
また、足回りもダンパーやアッパーマウントの交換に留まらず、アーム類のブッシュも劣化したら打ち替え。さすがに新車同様とまではいかないが、少なくとも30年以上前のクルマとは思えないほどのコンディションを保つ。
マニアック過ぎるY31の子供用ペダルカートもオーナー所有のもの。「リアルさを高めるために、フロントフェンダーにエンブレムを付けて、シートにも実車と同じような生地を貼りました」というから恐れ入る。
世間一般ではすでに旧車とみなされるY31を維持していくために、避けては通れないのが純正パーツの確保。メーカーからの供給が期待できないとなれば、あとは自分でなんとかするしかない。そこでオーナーは部品取り車を購入し、内外装からエンジン、足回りまで、外せるモノはできる限り外してストックしているそうだ。
Y31デビュー時の衝撃があまりにも大きすぎて、グランツーリスモSVの購入に至ったというオーナー。惚れ込んだ1台に乗り続けていくための環境は、着々と整いつつあるわけだ。
■SPECIFICATIONS
車両型式:Y31
全長×全幅×全高:4690×1695×1400mm
ホイールベース:2735mm
トレッド(F/R):1440/1455mm
車両重量:1480kg
エンジン型式:VG20DET
エンジン形式:V6DOHC+ターボ
ボア×ストローク:78.0×69.7mm
排気量:1998cc 圧縮比:8.5:1
最高出力:185ps/6800rpm
最大トルク:22.0kgm/4800rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式(F/R):ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR205/65R15
●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
記事が選択されていません 記事が選択されていません 記事が選択されていません