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トラブルフリーを求めてS13シルビアのパワートレインを移植!
日産ディーラーで全ての作業を完結
1979年にデビューした3代目シルビア、S110シリーズ。洗練されたスタイリングに最先端の装備を従え、スペシャリティカーとしての地位を確固たるものにしたモデルであり、デートカーの先駆け的存在だ。
ボディ形状はハードトップが先行で登場し、後にハッチバックを追加。バブルに向かう時期だけに、豪華装備に加えてモデル設定も多く、エンジンだけを見ても、前期・後期を通してZ18、Z18E、Z18ET、Z20、Z20E、FJ20Eというラインナップを誇った。
今回紹介するのはハッチバッククーペ。1800ccのターボエンジン(Z18ET)が搭載されていたZSEというグレードだ。
オーナーはRSグレードも含め、S110系のシルビアを何台も乗り継いだという筋金入り。今では、このクルマにトコトン惚れ込んでいて、ハッチバッククーペモデルの保存性、快適性を高めることを目的に多くの部分に手が加えられている。
まずエンジンは、“Z18ETのままでは常にトラブルや部品の調達の不安に悩まされる”とのことから、後継モデルに搭載されるSR20DETへのスワップを決意。合わせてミッションもS13の5速を流用した。
重要なマネージメントはエンジンハーネスをSR20用で引き直した上、S13純正ECUで駆動させている。
エキゾーストマフラーにはステンレスの砲弾型をワンオフ製作。このクルマの新車当時には無かったものだ。サイドマーカーは定番の輸出仕様を使っている。
足回りも大手術。フロントストラットは偶然手に入ったというS15用を使い、その他の部品の多くはS13用、スタビライザーとサイドロッドなどはDR30用をドッキング。歴代の日産車パーツを使いながらリフレッシュしているのだ。
ブレーキも、S14シルビア用の4ポッドキャリパーに280mmローターを組み合わせて強化。装着されるホイールはRSワタナベのマグタイプだ。
また、キャリパーの容量アップに合わせてマスターシリンダーもDR30用の1インチタイプに変更している。
エクステリアは、ネットオークションで探したといクリアカットレンズ+HIDで引き締まったフェイスを実現。ドアミラーは当時解禁になったばかりで専用がなく、日産純正汎用を装備。今では絶版の希少品とのこと。
リヤ周りでは、北米輸出モデル(200SX)のオプションパーツだった貴重なリヤガーニッシュを装備し、ナンバー位置をリヤバンパーに移植している。
室内はノーマル然とした仕上がりだ。シートはリフレッシュを兼ねて、そこそこホールド性が高いBNR32用を移植している。
驚かされるのは、これらの大手術がディーラーで行われたということ。なんでも、懇意にしている日産ディーラーに相談を持ちかけたところ、完全合法状態を保つことを条件に気持ち良く作業を引き受けてくれたとか。
当初は動態保存&イベント専用と考えていたオーナーだったが、あまりの楽しさに気持ちが“走り方向”へと徐々にシフト。現在は、定期的にサーキット走行を楽しむまでになっているそうだ。
車両の希少性を考えると少々もったいない気もするが、愛車の調子が良くなれば走りたくなる。これはクルマ好きにとって、ごく当たり前の感覚なのだから仕方がない。
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