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初代ハヤブサの1300cc直4エンジンを搭載!
リヤサスはカプチーノのマルチリンクを移植
ボディワークを中心に、自社でハイレベルなワンオフ作業をこなすカスタム工房“アメンド”。同社が大阪オートメッセ2024に持ち込んだのは、まさしく魔改造という言葉が相応しい一台の軽トラだった。
「元々、アメンドでは軽トラのキャリイを用いた“雨ドリ”(ウェット路面でのエンジョイドリフト)を提案していたんです。その究極形とも言えるマシンを形にするために、これまで培ってきたボディワークの技術をフル投入しました」とはアメンド代表の天野さん。
軽トラでありながら、純正の荷台部分は潔く撤去。そこに、純正フレームを軸としたパイプフレームを製作。積載性能という犠牲と引き換えに収められたのは、スズキの初代ハヤブサに搭載されていた1300ccの直4エンジンだ。
エンジン本体はノーマルのままだが、180psという純正の3倍以上ものパワーを絞り出す。制御もハヤブサ純正ECUをそのまま流用している。ちなみに、ハヤブサエンジンをチョイスした理由は「スペック的な魅力はもちろんですが、キャリイはスズキのクルマなので、同じくスズキのバイクから拝借したくて!」とのこと。
ミッションはハヤブサ純正をそのまま使用。自社製作のワンオフシフターを用いてシーケンシャルミッション化されている。変速に用いるワイヤーに関しては、太さが最適だった船舶のスロットルワイヤーを流用しているという。完全なるドリフト仕様と割り切っているため、バック機構は備えていない。チェーン駆動でスプリケットからドライブシャフトへと繋がる駆動系が、まさしくクルマとバイクのハイブリッドと呼ぶに相応しい。
リヤの足回りも見どころで、純正のリジッドアクスル式は全て撤去。部品取りのカプチーノからマルチリンク機構がフル移植されている。この際に、マイルドなドリフト特性を狙って若干のロングホイールベース化も行われた。
一方のフロントサスは、アメンドから販売されているキャリイ用のオリジナルショートナックルを投入してドリフトに必要な切れ角を手にしている。
インテリアは内張り等を全て剥がし、フル溶接のロールケージをカスタムメイド。着座位置をスポーツ走行に最適化すべく、フロアを切断してのローフロア化も実施した。シートはブリッドのジーグ4だ。
なお、リヤのブレーキは油圧サイドの投入に伴い、カプチーノ純正キャリパーを2つ使ったツインキャリパー仕様を構築している。
ペダルはウィルウッド製のブレーキ&クラッチペダルキットを投入。アクセルペダルは純正で、ハヤブサ純正スロットルにワイヤーで接続される。メーターはデフィのスポーツディスプレイに集約。
「今回はとりあえず車両を動かせる状態での展示でしたが、この後はすぐシェイクダウンに移ります。実際にサーキットで走らせて、ドリフトさせて、一つ一つトラブルシューティングをしながらマシンのポテンシャルを引き出していこうと思います」とは天野さん。
手軽なクルマ遊びの一つの提案として始まった“雨ドリ”から、これまで培ってきたノウハウを全て注ぎ込んだ作品にまで進化したアメンドの「ドリフト軽トラ」。2年以上もの歳月を費やして進められたプロジェクトのゴールに、期待が高まるばかりだ。
●取材協力:AMEND 大阪府河内長野市上原町725-2 TEL:0721-55-4479
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